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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ガール×ミーツ×パンツ

作者: 藩津 判九朗

ギャグです。


勢いで読んでください。

 道具の反乱、道具による集団ボイコット、ドウグズベーアンビシャス…… まあ呼び方はいろいろあるが、有る時この地球のすべての道具は付喪神になったのだ! 理由はよく分からない。たぶん嘘八百が並べられた求人票に嫌気でも射したんじゃないかな!


 トーキョー、オーサカ、キタキューシュー、グンマ。街という街は機能を失い、そして野心を持つ付喪神と、今では作ることの出来ない道具をものにしての一獲千金を求めるビッグドリーマーの集まる無法地帯になり果てた。世はまさに大山賊時代!


 野良の道具にフルボッコにされたり、自分たちの道具に反乱を起こされたりして早々に駆逐された山賊さん達のことは忘却の彼方においやって、町から逃げ延びた人々が作った疎開村、その裏山から物語は始まるのだ。物語は! 始まるのだ!


「あれ? 珍しい。こんなところに道具箱が有る」


 道具箱。それは再び人間に使われてあげてもいいかなーなんて考えた道具によるアピールタイム。言うなれば拾ってくださいと書かれたダンボール箱を自前で用意した捨て猫。

ついでにフッカフカのオフトゥンと快適な子守歌、別にそうまでして使われなくてもいいやという思いで形作られた道具の道具による道具の為の快適空間!

 見つけたあなたは超ラッキー! 優秀で便利な道具との出会いは貴方の生活を原始人レベルから遥かにジャンプアップさせること間違いなし!


 いかにも素晴らしい道具が入っていそうな絢爛豪華な道具箱を見つけた人生の激アツリーチ演出真っただ中な少女の名前は、草華 幸乃。

外見? みすぼらしいの一言である。なにせ道具がない生活では仕方ない。髪をアップにするために使ってるつる草が生活レベルのすべてを物語っている。

しかあし! それも今日までの話! きっと何か伝説っぽい道具を手に入れて、伝説っぽい冒険をして、伝説に残るような弱肉強食酒池肉林の生活が始まるのだ!


「まっ。気難しい道具が入ってたら嫌だから開けないけどね。明日になればどこかに行ってるでしょ」


 始ま…… あれぇ……?


~第一部 完~



 まだだっ! まだ終わらんよ!

 ロボットに乗って戦ってそうなどこかの誰かの思いが通じたのか、薪を集め終えて帰宅しようとした幸乃ちゃんに予期せぬアクシデントが!


「嘘っ! こんな山奥に野良の道具が!?」

「ワー、ワインオープナー」


 使い手を求めることをやめた道具は野生に帰る。野生に帰った道具は母なる大地の記憶がどーたらこーたらみたいな感じで足が生えたりパーツの大きさの比率が変わったりする。そしてたいてい犬っぽい何かになる。

 きっとそこには何か壮大なストーリーが有ったのだろう…… 犬はと猫派による全面戦争だとか…… 単にクリーチャーとしてイヌ科の方が序盤の登場頻度が高い気がするという偏見だとか……


「なんか変な唸り声上げてるしー! ワーワインオープナーってなに!?」

「ワインオープナァーッ!!!」

「なんかめちゃくちゃ怒ってるー!?」


 説明しよう! ワインオープナーとは、そのものずばりワインのコルクを抜くためのあれのことである! 反対側ではビールの王冠も外せる優れものだが山奥には彼の活躍の場は無いのである!

 おばあちゃんが言っていた、コルク抜きが無いときは手刀でビンを切るのだと。

 そもそも幸乃ちゃんはビンに入ったワインを見たことが無いのかもしれない。


「ワインッ! ワインッ!」


 逃げる少女! 吠えながら追いかける犬みたいな何か! 追いつかれたが最後×の字のばんそうこうがどこからともなく転がり落ちるような絵面になるのは間違いないシチュエーションだ! 助けてド○えもーん!

 だが幸乃ちゃんはの〇太君じゃないし、追いかけてきているのは野良犬じゃなくて持ち手だった部分をカチャカチャ開閉させながら吠えるワインオープナーだった何かである。助けは来ない。3、現実は非情である。

 ちなみにワインオープナーはカチャカチャ開閉させると閉じたタイミングで真ん中のネジネジの部分がカチャッて前に出てきて、開くと引っ込む。楽しい。こうして楽しさに魅入られておもちゃ箱にしまおうとした子供が今日も父親に怒られるのだ……


「ひい~! どこまで追いかけてくんのよ~!」

「オープナーアー!!」


 ズテペンッ!

 山で追いかけられるキャラは最後には必ず足をもつれさせて転ぶっ! それがルール!


「ワイーーーーン!!!!!!」


 ポンッ♪ ポンッ♪

 吠える犬っぽい何かにいよいよビビったのか、幸乃ちゃんの衣服がコミカルな音と煙を上げて小動物に変身した。着ていた服の枚数少なくないかとかそいういう発言はご法度だ!

 ともかくこれで数の上では三対1である。


▽ぬののふく は にげだした !

▽ぬののスカート は にげだした !


「薄情者ー!」


 物語の主人公は数を頼りになどしない。たぶんそういうことなのだ。


 なお、この小説はとてもとても健全な小説なので、ここから幸乃ちゃんが何かしら衣類を身に着けるまでは音声のみでお送りさせていただきます。

 読者の皆様におかれてはその間、愛らしい手乗り桐箪笥ちゃんでも眺めていてはいかがだろうか。


「ひーん、なんで私がこんな目に~! だいたいこんなところに変なでっぱりが有るのが悪いのよ! ってさっきの道具箱だこれ!!」

「オプッオプナッ!」

「もしかしたらなんか都合よく武器とか入ってたり…… いや武器よりも服! タオルとかでもいいから! こんな時じゃなければ裁縫道具とか調理道具とか欲しいのにー! というかさっき蹴っちゃったことになるけど中身怒ってたりしない!? 開けたら化け物が二匹に増えて絶体絶命だったりしない!?」


 どうやら走ってるうちに道具箱のところに来ていたようだ。

 なに? 手乗り桐箪笥はもういいから情景描写をしろと申すか。仕方あるまい、ここはオマケにティーカップオフショルダーバッグちゃんも付けてあげようじゃないか。存分に癒されてくれたまえ。


「ワインオープナッ!!」

「うう、このまま何もできずに食べられるぐらいなら! 南無三!」


※注:ワインオープナーは人を食べません


「うわっ!? 眩しい!」

「ワインッ!?」


 おや? 手乗り桐箪笥ちゃんとティーカップオフショルダーバッグちゃんが喧嘩を始めてしまったよ。短い手足でガスガスべしべしととても可愛らしいね。


『フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!! よくぞ俺を見つけたな!!!!  それも一糸まとわぬ姿とは殊勝な心意気ではないか!!!!!』

「なんか眩しくて見えないけどすっごい偉そうな道具出て来たー!!? というか全裸を褒められても一ミリも嬉しくないわよ!!!!」


 ああー!? あれは乱暴者の丸鋸だ~! 今日も何やら大変にご機嫌ナナメ! 桐箪笥ちゃんとバッグちゃんも思わず喧嘩をやめてプルプル震え出してしまったー!

 このままじゃあ一つと一棹揃って憂さ晴らしの相手にさせられてしまうよ! 誰か~!!


ペラーリ。

『さあ! お前にこの俺、神のパンティーを穿く栄誉をくれてやろうではないか!!!! スカートを用意していないのは全くの落ち度と言う他は無いし見た目も冴えないが、寛大な心で許してやろう!!!!』


「えっ、普通に嫌」


『なぜだぁー!!!!!!!』

「喋るパンツとか穿きたくないに決まってるでしょこの変態!」

『な!? お前今世界のパンツのすべてを敵に回したぞ!! そして俺は変態じゃない!』

「女の子に穿かれたがる時点で人間の価値観で言うと間違いなく変態よ!!」


 いたずらは許さないぞ! とばかりに颯爽とヒノキ枕マンが参上! 今日もヒノキの良い香り! 誰かのピンチをいつもタイミングギリギリまで傍観してるという噂は事実無根だったら事実無根なのだ!

 触るだけでも危ない丸鋸を相手に大立ち回り! すごいぞヒノキ枕マン!


「ワイーン!!!」

「ぎゃー! 忘れてた! 今完全に忘れてた!!」


 ああ! 丸鋸のひきょうな策に嵌ってヒノキ枕マン大ピンチ! ひきょうだぞ丸鋸!

 傷だらけのヒノキ枕マンからいつにも増してヒノキの良い香りが!


「なんでパンツなのよ! 武器とは言わずとも他の衣類なら心情的にまだましだったのに!」

『もっとシェイクスピア風に!』

「ああパンツ、あなたはどうしてパンツなの。ってやかましいわ!」

『パンツじゃなくてパンティーと言えよな!!』

「知らないわよ! と言うかそこ突っ込むならシェイクスピア云々のくだりの前にしなさいよ!」


(力が……欲しいか……!)

 その時! うずくまって震えていた桐箪笥ちゃんとバッグちゃんに、なにものかの思念が届く!!! 二匹は顔を見合わせ頷いた。力が欲しい!

(力が欲しいのなら、くれてやる!!!!!)

 そう、それは時に喧嘩することがあっても有事の際にはなんやかんや普段から仲良しみたいな感じを醸し出す、生きるための心!


『そして誤解があるようだから言わせてもらうがな、神のパンティーである俺に勝る武器はそうそうないぞ。目の前のいぬっころもどきなど秒殺よ秒殺!』

「投げつけたらいいの?」

『バッキャロー!! パンツを投げつけて戦うなんてどこの常識だよ! 穿くに決まってるだろうが!!』

「パンツが武器になる時点で常識もへったくれも無いわよ!!」


 信じる心が今伝説の勇者を生み出す! 一つと一棹と一個が今一つに! 具体的に言うと真っ二つになったりパーツが引っ込んだり出てきたりして人型っぽい感じになった後、最後に頭の部分にかっこいいヘッドギアが装着された! スーパーマクラオー! ここに爆誕!!!! 体積が増えてるとかヘッドギアの出所とか気にしたらダメなのだ!! きっとバッグちゃんの中に入ってたんだよ!!!!


『で、どうすんだよ。穿くのか儚いのか』

「穿いたら何とかなるんでしょうね!!」

『任せろ! パンティーに二言は無い!』


 だがここでただやっつけられるような奴なら丸鋸だって永遠のガキ大将とか呼ばれていないのだ!! 負けじと巨大化してスーパーマクラオーと対峙する。すごい勢いで回転する刃はまさにギザギザハートの子守歌! 素手で触れば巨大ロボでもバラバラだ!!

 その時! 一条の光が天から降り注ぐ! 熱い想いに応えるは、伝説の武器『諸行無常色即是空焼肉定食ソード』! 戦いの火蓋が今切って落とされる!!!!


「穿いたわよ! このあとどうすればってうわあ! なにこれ!」


 ようやく生まれたままの姿を脱した幸乃ちゃん。パンツ以外の部分はパンツから立ち上る謎の光によって隠されている! しかしパンツは丸見えだ! 光り輝いているのにまったく隠れる気のないパンツ――これが神のパンティーの風格か!!


『全く、神のパンティーであるこの俺を惜しげもなくパンモロとはな。貴様にはいずれチラリズムの極意をとくと教え込まねばなるまい。だが、犬っころごときにそんな大仰な技など必要なかろう。さあ、軽くひねってやるがよい!!!』

「軽くって、全裸じゃなくなった以外に状況何にも変わってないじゃない!!」

『そんなはずないだろ! 神のパンティーである俺を身に着けたからには『おパンツ滅光殺法108のアーツ』のすべてがその身に宿っているはずだぞ! まったく、それすら教えなきゃ分からないとは先が思いやられるぜ』


 おパンツ滅光殺法なる怪しい技が存在するらしい。

 続きが気になるなんてことはあまりないかもしれないが、というかそろそろ地の文は読み飛ばしているかもしれないがその前に君は、洗濯機の中を覗き込んで、洗ったあと干してないパンツが無いか確認しなくてはならない。ちゃんと干していた人と、洗濯物を溜めっぱなしにしている人は続きを読んでよろしい。


パンッツ ンパッツ ツッパンツ


『まあまずは光の戦士に変身するところからだな!』

「変身!? それってパンイチじゃなくなるってこと!?」

『ポーズはお前のスタイルで自由にやってみろ! 掛け声はパンティー・オープン・マイハートだ!』

「ぱ、パンティーオープンマイハート!」


 その時! 神のパンティーが一際まばゆく輝き! 特に何も起こらず幸乃ちゃんはワインオープナーに吹っ飛ばされた!


「なんでよ!!!」

『よしっ! 良い感じに気合が入ったな! じゃあ次はコズミックエナジーを感じ取るんだ』

「あんまりふざけてるとしばき倒すわよ!!!!」

『やれるものならやってみるがいい!! 俺を叩いたところでお前の尻が傷むだけだと思うがな!!!』

「次ふざけたら肥溜めに沈めるから」

『あ、はい』


 さしもの神のパンティーも肥溜めは嫌らしい。しかし、肥溜めも道具に含まれるのだろうか。喋るのだろうか。彼にとって糞尿とはいったいどういう存在なのか。その謎の真相に迫るため、我々調査隊はアマゾンの奥地に向かった。


『良いか、大事なのはポージングだ。広げた右手の中指を鼻筋に沿わせるように顔の前に掲げ、左手は不自然なひねりを加えつつ腰の横においまてやめろ無言で俺を脱ごうとするな!!!』

「………………」

『いや、真面目にやってるからな!! ポージングと掛け声そしてパンティーの黄金比によるエネルギーがおパンツ滅光殺法の肝なんだよ!!!』

「…………本当に?」

『本気と書いてマジだ!! 俺を信じろ!!』ドンッ


 あまりにも自信満々! 心象風景を表すならズバリ岩に当たって波が砕ける様である。

 東映


『さあ! 今こそ叫べ!!!! これこそがおパンツ滅光殺法! その基本にして究極!!!!』

『「パンティーーッビィーーーーーッム!!!!!!!」』

「ワ、ワイーーーンッ!!!!!」


 パンティーから放たれた金色の怪光線は、見事にワインオープナー犬もどきを撃破し、森を吹き飛ばし、山を削り、空を貫いて宇宙に煌めく一条の流星となったのであった。


一方その頃……


「艦長!! 大変です!!!」

「どうした。何が有った?」

「これを見てください!! 第七宙域で異常に大きなP力波が!!」

「なんだこの値は!? 機器の故障ではないのか!?」

「いえ、確認しましたが、実際の観測値に間違いありません」


 メインモニターに映し出されているのは、明らかに異常と分かる真っ赤に染まった宙図。

 機器の故障ではないと断言されたことで、普段動揺を見せない鉄の男の眉間に皺が寄った。


「どう見る、副艦長」

「我らの母星、ひいてはこの宇宙での異変の原因と関係が有るとみて間違いないかと」

「…………………………よし。宇宙揚陸艦キヤラド艦長権限において、該当地点への航行及び調査を実施する!!」

「「「「イエッサー!」」」」


 一糸乱れぬ返礼。もとより彼らは全員、帰れないことも覚悟してこの艦に乗り込んでいる。そこに迷いは、無い。

 艦長の意を組んだオペレーターにより、艦内全域へと通信が切り替わる。


『全乗員に次ぐ、本艦はこれよりワープ航法の準備に入る。総員現在の作業を凍結し、空間跳躍に備えろ』

「点Pどもめ…… いつまでも好き勝手に動いていられると思うなよ。今度こそすべてを終わらせてやる!!」


 宇宙全域に及ぶP力場異常を解決すべく、P力特異点へ向かう宇宙揚陸艦キヤラド。いったい何が彼らを待ち受けているのか。そしてまだ見ぬ脅威、Q素粒子の秘密とは!! To be continued…


※P力波:全ての世界線に存在する点Pを動かしている諸悪の根源。パンティーとは何の関係も無い。


元ネタ解説は途中まで作って挫折しました。

クワトロバジーナさんはおっさんじゃないというツッコミは受け取ります。別の人とごっちゃになってたようで。


ポイント評価、感想、読了ツイートなどしていただけますと大変励みになります。

これ面白いんだろうかという疑念との戦いですので。本当に面白いのか? ではなく、面白いのか? です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 圧倒的なスピード感。パンツ、失礼噛みました。パンチが1つでも入ったらその後は殴られ続けるような感覚でした。あまり良い言い方ではないかもしれませんが何も考えず文字を追いたいそれも全力疾走でと…
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