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長崎の真実

この物語は全て創作です。モデルはありません。

美智子は、何もかもに腹がたち、トンガってばかりいた。



一旦美智子に掴まらろうものなら、下手すると仕事の手を止めて一時間ぐらい、周りの愚痴と悪口を聞かされるのが嫌で、誰も近寄らなかった。



ユキナや佳那や大林がいた頃は事務所も華やかで、噂話に事欠かなかったので、毎日がお祭り騒ぎのでようだったが、今や誰も、仕事以外ので話をせず、静かなものだった。



ユキナの、そこそこ儲かってる店にお金を落とすのも、腹ただしい美智子だったが、そこは根が寂しがり屋なので、当たり障りない後輩を連れてたまに飲みに出かけた。



ユキナはすっかり別人のようになり、幼馴染とも金関係でこじれて別れたとの噂で、今ややり手の夜の女って感じだ。




『そー言えば、この前、昔お世話になった方のお葬式があって、ばったり長崎所長さんにお会いしたわよ?』



美智子は思いがけず、長崎の話が出て、飛び上がりそうになった。



長崎きらは、美智子が10万渡して抱いてもらった再会以来、電話が掛かって来た事も無かった。



知らんぷりをして先を促す。



『ほら、⭕️⭕️支社長が亡くなって。あっ、貴方はその方は知らないわよね?』



どうやら昔の支社長のお葬式で顔を合わせたらしい。



『長崎所長も、もう本社の部長さんで、すっかり貫禄よね。でも、奥様の実家の会社を継ぐからもう退職されるんですってよ?』



美智子の知らない話だ。イライラしたが、黙って聞く。



『なんでも、やんちゃで借金作って逃げた弟さんの保証人になって、昔だいぶ苦労されたらしいものね。で、その借金払い終わったから堂々と奥様の実家に入れるった笑ってらしたわよ?』



美智子は青い顔になった。



『え?前の旦那から奥様を奪い取るのに借金したんじゃなの?』



ユキナは大笑いした。



『そんなの、嘘に決まってるじゃないの。長崎所長と奥様は大学の先輩、後輩の仲って、昔、奥様から聞いたわよ。全く長崎所長ったら嘘ばっかりついぇ』



美智子は急に酔いが回って来た。



青春では決してないが、美智子が離婚して初めて身も心も捧げて、10年以上心から慕っていた人。



奥様とのロマンスを貫くためにお金に困っているのだと、長崎の口車に乗せられて、大真面目に信じていた。



長崎にしても、まさかそんな話を美智子が信じて金まで渡して来るとは思わなかった。



身体の関係が出来たら美智子の一途さが恐ろしくて余計に真実を言えなくなった....多分。



金に苦労していたのは確かし。



美智子はその日、どんな風に帰って来たか、良く覚えていなかった。



悪酔いしたふりをして、その辺の人みんなに酒を振る舞い、カードで支払いした、3万なり。



自分は一体今まで、何をして来たのだ?



家族を支えるのに、懸命に働いた。実家に土地だけ貰ってウチも建てた。



会社で自分の存在を誇示するために、ポジションを奪われ無いために、自分より目立つ人間をことごとく、こき下ろしてきた。



そして、ちょっとだけ、羽を休ませて貰ったのが、他人の夫の長崎だった。



長崎だけは、美智子を甘やかしてくれた。素敵な大人の女だと言ってくれた。もう少し早く会いたかったと、いつもいつも言ってくれた....



あの幸せな時間は、思い出は、私の純愛は、全部全部、嘘だったと言うのだろうか?



長崎からもしかしてら電話があってもいいように、ずっと電話番号を変えずにいた携帯。



怖かったが、思い切って電話してみた。



そして....



長崎の携帯は勿論、番号が変えられていた。



美智子は、アナログの自分がどうしてそんな事を閃いたか良く分からないのだが、長崎の妻の書いてるブログの読者になる事にした。



長崎の妻はフラワーコーディネーターとして活躍しており、ホームページにブログがリンクしてあった。その話は長崎が自慢していたのだ。



長崎のは書いた妻のブログはほとんどが花の作品だったが、たまに、もう亡くなった愛猫キキの事とか、家族に作ったブランチの画像などがアップされていた。



美智子は一度も、のぞいた事のぞいた無い他人のブログと言うものに、コメントを入れてみる事にした。



まずは長崎の妻のファンになるふりをする事にした。



長崎の妻を油断させて、長崎家の懐に入ってやる!


長崎の借金の中味が分かって、真実を知らなかった自分に絶望する美智子。今度は長崎の妻に近づくのか?もう諦めたらどう?

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