ひとり
この物語は全て創作です。モデルはありません。
残念な事に、ユキナと同様今回も佳那を追い出す事は出来なかった。
しかし、追い出しはしなかったがユキナも佳那も退職する事になった。
ユキナは、世話になった人の頼みで、居抜きで買い取ったスナックをやる事になった。
それまでもその店をずっと手伝いしていたらしい。何度か飲みに行ったが、着物が似合いすっかりママだ。
その後も、年寄りの顧客をターゲットに低めの安定を保っているらしい。一緒に暮らしている幼馴染の彼氏とも、べったりせず適当に生活を保ってるとの事。
佳那は....
仲悪いと評判だった旦那と一緒にアメリカに行ってしまった。
大林がニューヨーク支店にいた事があるので、向こうでの生活のあれこれをいろいろ相談をしてたらしい。
しかし、人の噂と妄想とは恐ろしいものだ。
何もかも嘘だった。
みんな周りが勝手に思い込んでただけだった。
佳那が不幸になって欲しい、佳那が大林と不倫していれば、スキャンダルなのに、佳那をイビリ倒せるのに、佳那に汚点が出来るのに....
だけど何げにお似合いなのがまた悔しい.... 仕事の出来る佳那ばかり贔屓する大林を少し懲らしめてやるか....
まぁ、みんなの思惑はそんなとこだろうか?
そして、ユキナのスナックの開店祝いと、佳那の送別会、大林の東京本社への栄転祝いが重なり、大々的な飲み会が、ユキナの店で行われた。
みんなで朝方でとことん飲んだ。歌いまくった。
そして、美智子は、いくら飲んでも楽しく酔う事が出来ず....
それでもアルコールが入って、泣けた。
寂しいのか惨めなのか、ホッとしたのか、悔しいのか、どんな涙なんだかさっぱりわからなかった。
ひとりだけ置いてけぼりを食らった気がした。
ユキナも佳那も大林も大っ嫌いだったのに....
美智子が気に入らなかった最高峰2人、ユキナと佳那。そして佳那を贔屓した大林。それぞれが自分の道を順調に歩きます。なぜか惨めな美智子....