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拝啓。貴方へ
私はユーナ。
隠れ谷の名もない村にお母さんと妹と暮らす一四歳。
来年は夜のお祭りに参加してもいい。家に閉じ込められて遠くから見るお祭りの火はとても綺麗で今から楽しみだ。
妹は甘え癖が抜けないけど可愛いし、隣のアルダス君も嫌いじゃない。生意気だけど。
街っていうところは楽しいらしいけど私はこの村が好き。
冬はちょっと寒いけど綺麗な雪中花が咲く。このお花は身体を温めてくれるの。
春には菜の花が咲いてみんなで油をとったりする。
夏のお花は……って私花の話ばかりだよね。むー。
あ。でも麦の稲穂も好きだよ。
この家には妖精さんが住んでいる。そうお母さんが言う。
知らない内に壊れたところがなおっていたり、
枯れかけていた作物が息を吹き返したり。
近所のお爺さんの肩凝りを治してくれたりする親切な妖精さんなのです。
お母さんが妖精さんに感謝のお手紙を書きなさいというので、妖精さんにお手紙を書きました。
『これからも私たち家族を見守っていてください』
これでいいのかな。
妖精さんの正体って、天国のお父さんですか。そうだったら嬉しいなぁ。