チート勇者ですけど現在激おこプンプン丸ですがナニか?
俺は今、猛烈に怒っている。激おこぷんぷん丸状態である。
今すぐカチコミに行こうと思うがユーナが起きている間は俺動けんしなぁ。
この村ではお祭りの日は夜を徹して行われるのだが子供たちは夕方までしか参加することを許可されていない。
例えばユカなんかは祭りの途中で返されてしまう。今まではシーツ被ってユーナとふてくされるのが常だった。
「お姉ちゃんだけずるい。先におとなになっちゃって」
とはユカの弁だがユカもモテるからなぁ。
ユカのことはさておき、大人たちは深夜まで火を囲ってラインダンスを行い、疲れたら『休憩』を遠くでする。
そうしてカップルが誕生する。意味は解るな?
ユーナが鈍いのはいつもの事であり、アルダス君が壮絶にあがりながらも勇気を振り絞って『休憩』を提案したとき、不思議そうな顔をして「疲れていない」と断ってしまった。
バカたれ。ユーナたん?!
いや、流石に男の俺はそのアレだが流れ的にそこはアルダス君だろ。悪い子じゃないし。
ちなみにお母さんのユリカは三十路になって成人の儀を終えた娘がいるのに超モッテモテである。『休憩』の誘いはやんわり断るあたりは策士である。
今年も貢物がたんまりユーナの家に届くはずだ。恐ろしい女である。
やっぱ。胸か。胸だな。
あとあの柔らかくて細い腰の括れとかマジたまらんし。
若い娘に無い色気の塊でありながら清純そうな雰囲気が凄いし。
まぁそんなことは今回どうでもよくて、俺は激おこぷんぷん丸なのは。
「ユーナ。いい加減泣き止みなさい」
「……」
『誘い』を受けた時点でこの村では実質婚約が成立した事になるんだよなぁ。
ユーナは暴れて逃げ出したので相手の面目は丸つぶれである。
「だからアルダス君が『休憩』って言ったら受けなさいって言ったのに」
「疲れてなかったもん」
お母さんのユリカがため息をつく。
「この子ってカマトトかと思ってたけど天然だったのね」
お母さん気づかなかったんですか……。
「お姉ちゃんなんで泣いているの?」
さっきまでふて寝していた妹のユカが起きてきてお母さんのスカートを引っ張る。
お母さん、ため息。
泣き叫ぶユーナに向かってぼやく。
「アルダス君の誘い断っちゃって別の人の誘い受けちゃったのよ」
「莫迦じゃない? そんなこと子供でも知ってるよ」
だよね?!
とはいえ乱暴されかかったのは事実だしあいつを〆ると後々親子の立場が村でアレだし。
よし。アルダス君を夢の中で1000本ノックで鍛えなおそう。そうしよう(八つ当たり)。