「冒険者ってかっこいいな」「ダメ。村で過ごしなさい」
おーい。神様~! いるんですよね?! 出てきてください!
『徹底抗戦』と書いたタスキをつけて俺は例の祠に居た。
「出てこないと下着に火をつけます!!
神様の下着は白ですと村の皆にばらしてやる!」
叫んだが出て来ない。
おのれ神様ズ。曲者ぞろいめ。
ここでは関係がない余談だが白い下着は汚れが目立ちやすいので実用的ではない。
ひとしきり暴れても変化なし。つまらん。
はぁ。ため息をついて祠の岩肌に頬を寄せると冷たい感触が心地いい。
埃まみれの岩肌は俺が毎日掃除した結果つるつるのピカピカで何時でも住めるほどだ。
ココからだと村の様子もよくわかる。
アルダス君は元気だな。うん。良い事だ。
ユーナはさっきまで花を摘んでいたのだがサボった挙句眠りこけてしまったらしく俺が日中に出る機会を得た。村の皆に騒がれる前にそこそこ暴れたら帰ろう。
『古の魔神蘇り冬が村を包むとき、旅の偉大なる六柱の神が現れ魔神を倒して春をもたらす』
散々トゥリ婆ちゃんがユーナたち姉妹に教えてくれたから寝ている俺まで覚えてしまった。
なんでもこの近辺は夏でも肌寒い気候で、冬の魔神を撃つべくやってきた六人の神様の手によって年中温暖で棲みやすい村になったそうだが。
「神様と言うより冒険者っぽいけど、この世界の冒険者ってどんな仕事なんだろ」
ユーナはトゥリ婆ちゃんの悪態を聞きながらジャックさんの武勇伝を聞くのが好きみたいだが。
「俺としては村を出てほしくないなぁ。アルダス君に嫁ぐのはチョイと嫉妬が鬼でMAXだが」
ユーナには優しい村の皆に囲まれて平穏に生涯を終えてほしい。