プロローグ
死んだ。
何をして死んだかと言うとクソ恥ずかしいが美少女がファンタジーな世界で勇者をやるエロゲ―でのバッドエンドで思わず……まぁ深く聞くな。
多分脳卒中じゃないか? 若年でかよと思うが良くわからん。気が付く間もなく死んだ。
生まれ変わったら彼女のように強くて可愛い娘になりたいと生前は思っていた。
だがな。
まさか本当にそーなるとは思わんだろ? ラノベじゃねぇし。
だが、俺の意識は死体となった俺を見下ろしている。
『バカな死に方しやがって』
嘆く友人や家族を尻目に俺の意識は高速で空に。
音もなく雲を突き抜け銀河を突き抜け、不思議な色の星にたどり着き。
空を潜り抜け海を切り裂き遥かの大陸の小さな谷の小さな村の小さな娘の中に入っていく。
小さな小さなその意識の中に。
『消えたくない』
言語化された意識すらまだないソレはそれ故に強く願っていた。
怒りも嘆きも憎しみも知らず、理不尽も苦痛も解らぬそれはそれでも圧倒的かつ暴力的な流れに逆らうことも出来ずに消えかけていた。
だから、俺はそっと身を退き、それを抱きしめてやった。
それからの意識は。無い。
テーマソング『れんげ草』
歌手:ビリー・バンバン
作詞:安東久
作曲:安東久