表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

どうやら封印が効いていなかったようです。

「初めまして、華音ちゃん。俺はサタナ・シリウス。……魔王さ」

「――はあ?」


いや、確かにこの人も攻略キャラだけれど。

何で……勇輝に封印されたんじゃ?


「何故俺がここにいるのか分からない、という顔をしているね。いいよ、説明してあげようじゃないか!」


ああ、どうしよう。

ゲームでは素敵な自意識過剰なタラシキャラだったのに……現実にいるとウザい。

超ウザい。


「はは、眉間にしわが寄っているよ? まあ、そんな顔もかわいいんだけどね」

「あ、あのー……ご用件は?」


人差し指で私の眉間をつんつんする魔王に溜息ひとつ、恐る恐る問う。


「今言ってもいいんだけどね。勇者が――」

「お前、なぜ生きている!」


じゃっきーん。

素敵な効果音とともに勇輝が剣を抜く。

そうして、切っ先をこちらへ向けた。

ちょ、待って! 刺さる! 私に刺さる!


「何故、って……君、あんなチンケな封印術で俺を完全に封印できたとでも?」

「――ッ!!」


目をつむって悔しがるな!

あああ危ない! 串刺しにされるって私!


「おい、神崎。ちょっと落ち着け。」


そうだよ、プランツさんの言うとおりだよ。落ち着け勇者!


「あれで駄目なら……今度はこの聖剣で斬るッ!」


聖剣だったのソレ!? そんなんで刺されたら私確実に死ぬじゃん! なんでンな危ないものこっちに向けるんだよ!


「一つ忘れてないかな、勇者。こっちには――」


え。

首筋に何か冷たいものが触れる。

もしかして、これって、


「人質がいるんだよ」


あ、私そういうポジションでしたか。

殺されるパターンですか、そうですか。


「華音に触んな!」

「おおっと、勇者。それ以上近づいたら華音ちゃんの首は無いよ?」


ちくりとした痛みに顔を歪める。

……マジで?


「もうやめてください」


スッと私の前に人影。


「争って何が変わるんですか。それに、関係ない華音さんまで巻き込んで……これ以上こんなことをするようなら、私が二人とも――殺しますよ」


クレアさんが左手を左目に添えた。

この子も確か邪眼なんだよな。ゲームの中では『魔を退ける』アミュレットとか言われてた。魔力持ちにしか効かないんだっけ? ううん、そっちのルートはまだやってなかったからわかんないや。

でもこのセリフが出た、ということは。今はまだ第一部だ。これで魔王が――


「ふーん、面白い。気に入ったよ。君――俺の女になれ」


ほらね。それで人質だったメイドさん、つまりここでは私を開放して、クレアさんの唇を奪おうと――


「おい、華音を放せ」


勇輝が声を上げた。

そのとおりだとしか言いようがない。何故、私の首根っこをつかんだままクレアさんに迫ってらっしゃる! お前は浮気者か!


「え? 嫌に決まってんでしょー」


悪気も何もなさそうに零されたその言い分。

だが、彼女は黙っていなかったようだ。

パアン、という小気味良い音が響いたのは、それからすぐ後であった。


じゃっきーん☆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ