どうやら未来視の邪眼と決定づけられたようです。
「あーえっと、なんか頭の中にこう……ぽんっと。名前が。」
うん。我ながら――
この言い訳はないわ。ふざけてるよ。
「……えっと、その」
ざわざわし始めたメイドさんたちとプランツさん、勇輝を見て、もっとましな嘘を吐けばよかったと後悔する。
こりゃあ痛い子だと思われ、
「それは本当か」
「は? いや、ごめんなさ――ぐへッ」
色気のかけらもない声が口から漏れ出た。
謝ろうとしただけなのに肩をつかまれ前後にゆすられる。は、激しい。すごいシェイクだ!
「本当なのか!? お前が『持ち主』なのか!?」
ぐふっ、ちょ、力、強!! キモチ悪くなってきた!
「やめ……、本当! マジっす! 本当っすからやめてください!」
言っちまったあああ!
「ああ、すまん。ちょっと興奮してしまってな。……じゃあそこの――こいつの名前もわかるか?」
引っ張られてきたメイドさんが私の前でにっこり笑って一礼する。
くるんと丸いエメラルドグリーンの瞳に、ふんわりと少しカールした茶色い髪。
この可愛いメイドさんは――
「クレア・ウェッターハーン!?」
主人公じゃないか!
「あ、当たってる……」
しまった。うっかり当ててしまった!
くっそう、どうすれば……
「じゃあこの男は?」
スッと私の前に一人のコックさんが現れる。コイツは知らないぞ。きっとモブだな。
まあ適当に言えば外れんだろ。
「ええっと…… 山田太郎親分さん!」
「……やはり、お前が『持ち主』か。親分の名前を当てたとなればもう隠しきれんな。『未来紙の邪眼』よ。」
ええー!? 当たっちゃった系ですか。嘘だろ。親分って!
やめてー私にそんな厨二ネームつけないでー
「華音が、『未来視の邪眼』……」
いや、復唱しないでください。違います!
「こんな平凡そうな女が……」
「平凡そうで悪かったな!」
プランツさんは失礼すぎだ。
「そうかい? 俺には十分……魅力的に見えるけどなあ。ねえ、華音ちゃん?」
急に耳元に感じた声と吐息に、肩を竦める。
ああ、もう! なんなんだよ!