どうやら言い訳が思いつかなかったようです。
「ううん……」
目を開けると、見えたのは真っ白い天井。
そして――
シャンデリア。
おいちょっと待て何でだ。急に起きると、ギシリと音が鳴ったことでベッドに横になっていたのだと気づく。
「えっと……」
ヤバい。光ったところから何も覚えてない。ここは何処だ!
「ああ、目を覚まされましたか。勇者様、お友達が目を覚まされましたよ」
ひょこりと視界に入ったのは、メイドさんの綺麗な顔。
いやあ、美人だな――って、そうじゃなくて!今この人勇者様って言った?
いや、聞き違いだよねそうだよね。今時勇者とか、無いよ。うん。
「華音! 目ェ覚ましたんだな! よかった!」
勇 者 だ !
いや、何がって恰好が。なんだその剣。なんだその鎧。
「ちょ、なんて恰好してんの勇輝!」
「え? ああ。魔王を倒して勇者になったんだから、出かける時の身だしなみはしっかりしろってウィリアムに言われて……試着中。」
いやいやいや。勇者って。魔王を倒して、って!
もしかしてこの間言ってた異世界の話って――本当、だったの?
「神崎。友人は目覚めたのか?」
ガチャリとドアが開き、入って来たのは――
「え」
「……? どうした、神崎の友人。」
何故。何故彼がここにいる。
「シャルロッテ・プランツ……」
思わずその名を呟いた。だって、この男……私がやっていた乙ゲーの攻略キャラクターに激似なんスけど!
「ほう、俺の名を知っているか。お前、何番隊所属だ?」
いや、違う! お前の国の軍隊に所属してるから本名を知ってるんじゃない!
「私は――」
「ちげーよプランツ。こいつは俺の世界から来た幼馴染だ。隊には入ってな――あれ? そういえば何で華音はプランツの本名知ってんだ?」
いや、どうしよう。
言い訳が思いつかん。情報源が乙ゲーなんて言いたくないし。絶対引かれる。
「それもそうだな。『ニホン』にエレフセリア王国は存在しないのだろう?」
ああ、王国名まで一緒……。えーと、どうしよう。やばいやばいやばい。
私はその偉大なる脳みそをフル回転させ、必死に言い訳を考える。
冷や汗が、背中を滑り降りたのを感じて、私は、一体どんな言い訳をしろってんだ! なんて、頭の中で叫ばざるを得なかったのであった。
キャラクターが増えてきたので,追々紹介も書きますね。