どうやら幼馴染がおかしいようです。
「さよならも、ありがとうも……っ言え、なかった!!」
そう泣き叫んで、私の元へあいつが帰って来たのは二日前。
事情を聞くと、どうやら異世界にいたらしい。そこでパーティを組み、魔王を封印したとかなんとか……。そうして村へ帰ろうとした矢先、急に強い光に呑みこまれて。
気が付くと自分だけ家に送還されていた……と。
—―って、信じるか! ンな話!
「ったく、いつまでウジウジしてんの。キノコ生えるぞこのウジ虫!」
……悪口じゃないよ? 私も心を鬼にして暴言を吐いているのであって、嬉々として詰ってるわけじゃないんだよ? そんな暴言を吐いても無関心なあいつ。今日も今日とて自室にこもって出てこない、とあいつ―—神崎勇輝の母親から相談を受け、仕方なく幼馴染である私が部屋へとやって来たわけだが。
こうもウジウジされたらたまったもんじゃない!
「大体あんたは——」
「……呼んでる」
突然、一言もしゃべらなかった勇輝がぼそりと呟いた。それに息を呑む私。
「プランツが、俺を呼んでる」
ああ——
こいつもう駄目だわ。使い物にならん。
「いい加減に、ッ!?」
その時であった。
部屋の中央から、閃光が迸ったのだ。
吐こうとした溜息も飲み込まざるを得なくなる。
思わず目をつむり、勇輝の服を手探りで探し当てて掴む。
何なんだ、一体!
私の記憶は、そこまでである。
主人公の口の悪さにびっくりです……