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【アニマル特区シリーズ:オオカミ少年・大源宗吾の不条理な国策】

いつも『アニマル特区シリーズ』をお読みいただきありがとうございます!作者の癒されたい年頃です。今回は新キャラクター、人間界からやってきたオオカミ少年こと「大源宗吾(小6)」くんです。人間界のセコい嘘つきが、アニマル特区の圧倒的な大自然のルールと、三人娘のピュアな光の空間に揉まれると一体どうなってしまうのか……。今回もカバ3姉妹の命がけの陸上特訓(物理ブースター)や、火を怖がるアニマルたちの限界突破した報連相連携、そして怪しい廃ビルのリフォームまで、特区のアニマルたちが大騒ぎでそれぞれの狂気を無駄遣いしております。日々の疲れを吹き飛ばす、極上の「にやにや」と癒やしの不条理カオスをぜひお楽しみください!

【第一章:人間界からの潜入者(大源宗吾)と、眩しすぎる桃源郷】




「ケケッ……人間どもめ、どいつもこいつもノリが悪りぃんだよ



 」アニマル特区の重厚なゲートを潜り抜けながら、大源 宗吾(だいげん そうご・小学6年生)は、歪んだ笑みを浮かべてチッと舌を鳴らした。


 宗吾は人間界において、セコい嘘やデマを流しては、周囲がオロオロと困り果てる姿を陰から覗き見て


「プッ!騙されてやんの!最高!」とニヤニヤする、救いようのない愉悦主義の小物だった。



 クラスの連絡網で「明日の遠足は集中豪雨で中止」とデマを流して孤立し、



「あの自販機はレバーを3回叩くとコンポタが無限に出る」と嘘を吐いて友達を泥だらけにさせて絶交され、今や人間界では誰も彼の言葉を信じなくなっていた。



「チッ、誰も俺の嘘に引っかからねえ。……だが、ここはアニマル特区! バカな動物どもなら、俺の高度な嘘でいくらでも騙せるだろ。ケケッ、新しい愉悦の始まりだぜ!」



 下心とセコい欲望を全開にして特区へ足を踏み入れた宗吾。



 そんな彼の目に飛び込んできたのは、人間界の汚れきった空気とは無縁の、世界で一番眩しくて尊い『光の空間』だった。




「あはは! ユズちゃん、ちょっと動かないで。ポニーテールが少しズレちゃったから、直してあげるね」



 元気いっぱいのアオイが、ポニーテールをブンブンと振り回しながら、隣に座る眼鏡っ子のユズの髪を優しく整えている。



「ちょ、ちょっとアオイ、顔が近すぎるわ……! 私の計算によれば、今の距離は完全にパーソナルスペースを侵犯している――って、もぅ、コトネまで抱きついてこないで!」



 ツンツンと怒りながらも顔を真っ赤にして嬉しそうなユズの背後から、おっとりとしたコトネが「ぎゅーーっ」と優しく抱きつく。



「ふふ、だって二人のぬくもり、すっごくあったかいんだもん♪ ほら、ユズちゃんの眼鏡、照れて曇っちゃって可愛いよぉ〜」




 お互いのパジャマの柄を褒め合い、ぎゅむぎゅむと身を寄せ合いながら、笑顔全開でキャッキャウフフと笑い合う三人娘。




 そこは、ただそこにいるだけで周囲のオキシトシンを限界突破させる、完全なる光の桃源郷ユートピアだった。




「チョロそうな中学生だぜ。ケケッ、まずはあの女どもを俺の嘘でパニックに陥れて、最初の愉悦の生贄にしてやるぜ!」



 宗吾は服の襟をわざと乱し、額にツバを塗って冷や汗を演出しながら、大急ぎで三人娘の前に飛び出した。




「た、大変だぁーーーっ! お姉さんたち、早く逃げてくれ!! 向こうの裏山から! ガチで獰猛な『オオカミの群れ』が、この特区を全滅させるために攻めてきたんだ!! 今すぐ逃げないと全員噛み殺されちゃうよぉーーーっ!!」



(ケケケッ! さあ怯えろ! 泣き叫べ! 俺を頼れ!)宗吾は心の中で下劣なニヤニヤを必死に噛み殺していた。






【第二章:①オオカミ直電と、日常茶飯事の轢き殺し特訓】




 宗吾はパニックを期待するが、アニマルたちは至って冷静にその場でスマホを取り出し、オオカミのボスに直電を繋いだ。




「オオカミの兄貴っすか? 今何やってる――」



 特攻服を着たポメラニアンのレオがそう言いかけた瞬間、ドォォォオオオン!! と大木をなぎ倒す爆音と共に、ガチの涙目を浮かべたオオカミのボスが、スマホを耳に当てたまま宗吾の横を爆速で通り過ぎていった。




「おぃ安全な逃げ道を教えろ!! 命の危険なんだよォォオオッッ!! うしろッ! うしろからカバがァァァ! カバが全力で轢き殺しにきてんだよォォオオオッッ!!!(スマホ越しのガチの涙目悲鳴)」





「そんなの俺が知るかァァァアアーーーッ!!」




 襲撃するかどうかすら聞かれていないのに、勝手にカバの恐怖で大パニック自爆供述をしているオオカミのボス




 。直後、オオカミの群れのすぐ後ろから、文字通り『超重量級の黒い三連星』が爆音と共に姿を現した。




 赤いリボンをつけたカバのジェット、青いリボンのストーム、黄色いリボンのアクトの、カバ3姉妹である。




「「「逃がさないウホォォオオオッッッッ!!!!(大地を揺るがす怒号)」」」カバ3姉妹による、巨軀をギリギリまで密着させた恐怖の突進フォーメーション【新ジェットストリームアタック(物理)】。



 あの『特区水泳大会』で【わずか1メートル】進んだ瞬間にズブズブ沈没して自滅を遂げて以来、彼女たちはスピード不足を補うため、ドッグランで機敏に走るオオカミたちを物理的なブースターにして雪辱を果たすべく、水泳大会以降、たびたびこのガチの轢き殺し猛特訓(暴走状態)を特区の街中で繰り広げていたのだ。




 先頭のジェットが


「あたいの超重量をお前らのスピードで中和するウホ!」と叫び、



 真ん中のストームが「後ろから物理的に100%の力で押し出すウホ!」と踏み込み



 、しんがりのアクトが「これぞ陸上リベンジの超加速ウホーーーッ!」と咆哮する。



「あ、いつものカバ3姉妹の特訓っすね。了解っす。人間の勘違いでした〜」



 レオは何事もなかったかのように電話を切り、10秒で日常に戻るアニマルたち。当然、買い物カートの取っ手から監視していたボル(インコ)は、これが宗吾のデマだと最初から見抜いていたが、わざわざ否定しに行ったりはしない。



 理由は二つ。


【①:しょうもない嘘をきっかけに『アニマルたちの緊急連絡網や連携の訓練になるなら、特区全体としてはむしろプラス』だから】。



 そしてなにより、【②:そんな低レベルな人間の嘘の内容なんて、どうでもいい(相手にする価値もない)から】である。




 一方、逃げ遅れた宗吾は、時速60キロの肉塊に追突されまいと爆走するオオカミと、それを追うカバ3姉妹の突進の波に巻き込まれ、右へ左へラグビーボールのようにラグられ、身も心もボロ雑巾のように粉砕された。



 しかし、カバ3姉妹がオオカミたちを血眼で追い回した結果、実は裏山に本当に潜んでいた別の凶暴な野生の害獣の群れが完全に駆除・撃退され、特区の平和は守られた。



 泥まみれで半泣きになった宗吾は、痛む体をさすりながらアニマルたちに叫んだ。



「こんなとこまで暴走してくるな〜〜〜っ!!! 俺が危ないだろォォオオッッ!!」



 それを見たアオイたちやアニマルたちは「あ、それもそうだね」「場所を決めようニャ」と納得。



 こうして、『スタンピード(暴走特訓)は決められたエリア内のみで行うこと』という新ルールがめでたく爆誕した。







【第三章:②火事だ〜デマと、クジラの超・迅速消火】




 しかし、プライドをズタズタに傷つけられた宗吾のセコい愉悦の炎はまだ消えていなかった。




「クソッ、今度こそ本気でパニックに陥れてやる!」と、ガタガタと震えながら、さらに最悪のデマを大声で怒鳴り散らした。




「火事だァァァアアアッッ!!! あそこの民家がガチで大火事だぞォォオオオッッ!!!」



 今度もボルは「あいつまたデマ吐いてるネ。ちょうどいいから消火訓練の連携開始ネ」と冷徹にインカムへ呟く。



 特区内では「火事だ」と聞けば、動物の本能(火が怖い)が作動し、事実確認をする前に即出撃するのが鉄則の報連相連携なのだ!



  その結果、アニマルたちの超迅速な物理行動が発動してしまった。



 特区の超弩級防衛システムとして、クジラのグランが吸い込んだ数万リットルの海水をハイドロポンプとして大噴射!


  海洋班引率のリヴァ先生(大海蛇)がそれを空中で衝撃波拡散し、街全体に「台風レベルの超巨大集中豪雨(物理)」が発生!



 グランの圧倒的な消火能力によって、存在しないはずの火災は一瞬であっさり解決した。



「ブフォッッ!?(デマを吐いた自分が、クジラの津波のような水圧で道路ごと数百メートル流される)」




【その頃の3人娘(極上癒やし空間)】



 水圧でブチ流されている宗吾の遥か後方、安全圏のベンチでイチゴかき氷を食べていたアオイ、ユズ、コトネの3人は、この大津波(物理消火)を笑顔で見つめていた。


 アオイ:「わぁ、今日も特区の防災訓練やってるんだ〜! クジラさん達、相変わらずお水の迫力すごいね!」


 ユズ:「アニマル特区の防災意識の高さは、本当に私たちも見習わなきゃいけませんね(にこっ)」



 コトネ:「はい、みんな一生懸命でえらいです。よしよし、したくなっちゃいますね」



 地獄絵図の真ん中で、3人娘の周りだけお花が飛ぶようなほっこり勘違い空間が完成している。



 さらにこの大騒動を経て、常日頃から高い防災意識と緊張感を保つために、



『突発的な防災訓練の開始を常態化すること』が特区の新たなルールとして定着したのだった。





【第四章:③夜の怪しい儀式と、最先端集会所の決定】




 アニマルたちは宗吾のデマを「人間に伝わる最高に面白い新しい遊びのルール」だと120%斜め上に大勘違いし、もっと面白いルールを出せと、ボロボロの宗吾をさらに問い詰める。



 宗吾は恐怖で冷や汗を流しながら、今度こそ恐怖でガタガタ震えさせてやると、苦し紛れに渾身のホラーデマを捻り出した。



「ひ、一歩間違えたら命がない、ガチでヤバい人間の常識を教えてやるよ……! この特区のハズレに、深夜遅く、謎の『怪しい儀式』が行われている建物があるんだ……! 丑三つ時になると、中から『ウオォォオオ……』とか『ギャァァァアア!』とか、この世のモノとは思えない不気味な声が聞こえてくるんだよ……! 近づいたアニマルは、全員呪い殺されるぜ……!」



 しかし、ボルは冷徹にインカムへこう告げた。



「全校生徒に告ぐ。新ルール『深夜の怪しい儀式』の場所を特定したネ。



 これより、夜行性動物たちの最新の最先端集会場所パリピスポットに認定し、ナイトパーティーの連携を開始するネ」



「なんでだよォォォオオオッッ!!!(ガチの涙目悲鳴)」



 その日の深夜、お化け屋敷だと言い張った不気味な廃ビルは、勝手に「最先端クラブ」へと強制リフォームされていた



 。そして、この「暗くて怪しい場所」の匂いを嗅ぎつけ、誰よりも早く最前列に陣取っていたのは、あのヘタレ3人組とペンタだった。



「おいおいおい聞いたかよ! この暗さと怪しさ、まさに漢(野生)の隠れ家にピッタリだろコラ! キャンキャン!」と特攻服のレオが吠え、


「フッ……この影のパルスこそ、俺たちのリアルな居場所だニャ」とマッチョ猫のタケシがタプタプの腹を震わせてご満悦。



 リスのジンもどんぐりを弄びながらニヒルに頷いている



 。そんな中、フロアの隅でペンギンのペンタが涙目で胸のフリッパーを熱く握りしめた。



『ク、クェェエエエーーーッ!!! 最高の暗暗サスペンス空間クェ! もし神様が願いを一つだけ叶えてくれるなら、僕はあオイちゃんたちの尊くて眩しいパジャマ姿の世界を、この最高のゴシック・クラブの重低音に載せて360度VRで眺められるシステムを構築してもらうクェェェエエエーーーッ!!!(フシューーーッ!!!)』



 ペンタは興奮のあまり本日も激しい鼻血を噴き出し、白目を剥いてバッタリと横倒しになり美しく「尊死」を遂げた。



「ウオォォオオオッッ!!(最高にロックだぜェェエエッッ!!)」とグラサンを光らせた試験官の羊メリーがマイクスタンドを握って大熱唱し、今まで夜中にあちこちで散発的・バラバラに騒いでいた夜行性のフクロウやムササビ、あるいはチーターのハヤテまでが大盛り上がり。



 そのビルの窓の外の水路では、さらなる理不尽な暗黒サスペンスが勃発していた。


 貞操と命を守るため、殻の密閉度をマッハ3に固定して完全に引きこもるガチムチなホタテの高倉くん。



 そこへ、巨大イカ女教師のケンさんが、「高倉くぅん、居残り補習(捕食)の時間よぉ❤」と無数の触手で殻をこじ開けようと狙いを定めている。



「自分、不器用ですから……」と高倉くんはマッハ3で爆速逃走!



  激しい水しぶきがクラブの窓に叩きつけられる中、海底では美意識が高いサンゴのコウちゃんが、繊毛を動かしすぎて「あ、足が攣るゥゥウッ!」と優しく海底で悶絶していた。



 クラブ内ではレインボーカタツムリのゲイリーが、重低音に合わせて1600万色のネオンを発光させ、廃ビルは特区一番のハッピーなナイトスポットへと強制変換。



 これまで散発的でバラバラだった夜行性動物たちの生態が一つに集約され、街の騒音問題が100%解決。



 こうして、『夜行性動物たちは指定ビル(クラブ)にて一括集会すること』という新たなルールが決定した。



 一睡もさせてもらえず爆音で振動させられ続けた宗吾は、心がボキリと折れ、白目を剥いて倒れ込んだ。





【第五章:④アニマル界の風物詩爆誕と、聖母の全肯定包囲網】





 翌朝、宗吾の吐いた数々のデマは、ボルの手によって特区の歴史を動かす『新たな3大風物詩(特区三大憲章)』として完全定着してしまった。



【①:スタンピード(暴走特訓)は、決められた専用エリア内のみで行うこと】


【②:常日頃から緊張感を保つため、突発的な防災訓練の開始を常態化すること】


【③:夜行性動物たちは、指定ビル(クラブ)にて一括集会すること】


 これらにより、街を壊さずに暴走特訓ができ、防災レベルは限界突破し、夜の騒音問題も奇跡的に100%解決。宗吾のセコい嘘は、特区の未来を救う、まさに【超優秀な政治家による国家規模の歴史的大改革】として刻まれてしまったのである。



「なんで……なんで俺が特区を大改革した偉人みたいになってんだよォォオオオッッ!!!(ガチの号泣)」



 広場のベンチでボロ雑巾のように咽び泣く宗吾(小6)。


 人間界のどんな大人よりも、特区の「悪意が100%の善意と超優秀な政策に強制変換される不条理」の方が、彼の歪んだ小物の心を完全に粉砕していた。



 だが、その涙を見た三人娘の全肯定フィルターは、すでに異次元の領域へと達していた。



「よしよし、がんばりましたねぇ〜。自分の作ったルールでみんなが仲良く楽しそうにしてるのを見て、感動しちゃったんですねぇ〜。大丈夫ですよぉ〜?」


 聖母の微笑みを浮かべたコトネが、横からそっと宗吾の頭を優しく「よしよし」と撫でまわす。



 その手のぬくもりがあまりに心地よくて、宗吾は思わず「ひゃん」と変な声を上げてしまう。



「そうだよ、宗吾くん! そんなに感動して泣かなくても大丈夫だよ? ほら、アニマル達もあんなに楽しそう! 宗吾くんはとっても良いことをしたんだから、もっと男の子らしく、いばって胸を張っていいんだよっ!」



 アオイがポニーテールをブンブンと振り回しながら、宗吾の両手をぎゅっと握りしめて、世界一まぶしいトップアイドル並の笑顔をゼロ距離で咲かせる。



「アオイの言う通りね。私の計算によれば、あなたのその涙は、自分の成し遂げた偉業の重みと特区の平和に魂が震えた証拠よ。小学6年生にしてこれほど純粋で熱い涙を流せるなんて、本当に健気で優しい子ね(にこっ)」ユズが眼鏡の奥の瞳を優しく細めて肯定する。



(ち、違う……! 俺はみんなが困る顔が見たくてデマを流したのに、なんで『自分の成果に感動して嬉し泣きしてる健気な天才少年政治家』扱いされてんだよォォオオッッ!!)



 まだ自分から嘘だと明かしていない宗吾は、すれ違いすぎている愛の包囲網に、今度は別の意味での本物の涙が溢れ出した。



 ――が、大源 宗吾はどこまでも救えない愉悦主義の小物だった。



 コトネの柔らかい服の裾を握りしめた瞬間、彼の脳内に、セコい下心が1秒でリバイバルした。




(ケケッ……! なんだ、やっぱりこの女ども、チョロいんじゃねえか! 偉人扱いされて優しくされてる今なら、どんなデマだって信じるぜ! 今のうちにこいつらを盛大に騙して、俺の最高の愉悦の奴隷に――)



 宗吾は涙を拭い、ニヤニヤ顔を必死に隠しながら、コトネの服をグッと引っ張った。



「へへ、騙されやがってバカどもめ! 今の涙だって全部嘘だ! 特区のルールなんて俺は適当に言っただけだし、お前ら全員俺の嘘に引っかかったマヌケなんだよ、バーーーカ!!」



 恩を1秒で仇で返す、渾身の嘘つき野郎発言。しかし、宗吾の渾身の悪ぶった告白を聞いたコトネは、怒るどころか、さらにふんわりとした温かい笑顔を咲かせた。



「ふふっ……宗吾くん、またそうやって照れちゃってぇ〜♪」



「……は、はぁ!?」「自分に自信を持っていいんだよ? ここにいるアニマル達もあんなに楽しそうだもん。宗吾くんはとっても良いことをしたんだから、もっと胸を張って?」




 宗吾が必死に小物の悪(愉悦)を主張すれば主張するほど、三人娘の無敵の全肯定フィルターによって、すべてが「照れ隠しの可愛い強がり(理想)」へと120%拡大解釈されていく。



「なぁぁあああーーーっ!? なんでそうなるんだよ!! 歪んでる! お前らの解釈の方がよっぽど歪んでるよぉおおおッッ!!」宗吾は、あまりの尊すぎる愛の包囲網に脳内スパークを起こし、白目を剥いて美しい「尊死ギャグ」を遂げ、ベンチからバッタリと横倒しになるのだった。



 そのズッコケの振動に合わせ、ゲイリーがどこまでも祝福に満ちた1600万色のレインボー発光で広場を照らし出した。






【エピローグ:若き天才政治家・大源宗吾の苦悩】




 そんな偉業を成し遂げてしまった大源だいげん 宗吾そうごは、もうこの特区から逃げ出すことなどできなかった。



 それどころか、特区の治安と防災を歴史的レベルで最適化してしまった彼を、人間でありながら

『アニマル特区・最高上層部(特別補佐官)』に任命しようとするアニマル連合の動きは、日を追うごとに狂気的なスピードで加速していった。




「宗吾の兄貴! 次の『突発的防災訓練』の新しいルール、早く教えてくださいよコラ! 体がウズウズして眠れねえっす、キャンキャン!」


「フッ、宗吾。我が智謀(IQ500)のさらに上を行く、新たな夜行性集会パリピイベントの経済効果の計算書はまだかニャ?」



 広場のベンチ。特区の制服(上層部仕様)を無理やり着せられ、書類の山に囲まれた宗吾(小6)は、アニマルたちに囲まれ、日々ガチの頭痛を抱えて苦悩していた。



(……始まりは、ただ、こいつらのちょっと困った顔が見たかっただけなのに……。どうしてこうなった……!!)



 人間界では、人を困らせてばかりの嫌われ者だった。



 なのに、ここでは違う。彼がどれだけ悪意を込めてセコい嘘を吐いても、すべてがアニマルたちの圧倒的な善意とハイスペックな物理行動によって、100%の『理想ハッピーエンド』へと強制変換されてしまう。



(そうか、わかったぞ……。人間界のセコい常識(嘘)なんて、この特区のアニマルたちの理不尽な能力(狂気)の前には、勝てねえんだ……)



 宗吾が涙目で天を仰ぎ、世界の不条理にガックリと肩を落としたその時。



「ふふ、宗吾くん、今日も特区のためにたくさんお仕事がんばって、本当にえらいです。よしよし♪」


 おっとりとした聖母の微笑みを浮かべたコトネが、横からそっと宗吾の頭を優しく「よしよし」と撫でまわす。



 その手のぬくもりがあまりに心地よくて、宗吾は思わず「ひゃん」と変な声を上げてしまう。



「宗吾くんのおかげで、今日も特区は笑顔でいっぱいだよ! はい、がんばったご褒美のイチゴパン!」アオイがポニーテールをブンブンと振り回してまぶしいトップアイドル並の笑顔を咲かせ、焼き立ての甘いパンを宗吾の口元へ運ぶ。



「私の計算によれば、宗吾が特区の上層部に就任することで、私たちのキャッキャウフフな光の空間の永続的平和は保証されるわ。これからも期待しているわね(にこっ)」



 ユズが眼鏡の奥の瞳を優しく輝かせ、アオイと一緒に宗吾の隣へ「ぎゅむっ」と身を寄せ合う。



「う、ううう……あったかい……クソッ、お前らのその無敵の全肯定フィルターが一番怖いよぉおおおッッ!!」



 喋れば喋るほど特区の法律がアップデートされ、もがけばもがくほど三人娘の極上癒やし空間に包まれていく、幸せで過酷な底なし沼。 若き天才政治家(中身はセコい小6)、大源 宗吾の、世界の誰よりも贅沢で、誰よりも不条理な苦悩の日々は、これからもハッピーエンドに向かってどこまでも続いていくのだった。



 広場のソファでは、がっしりと腕を組んだサルの源さんが、


「ふっ……始まりは小さな嘘、だが行き着く先は巨大な国策。あいつの背中、やはり本物の政治家(大言壮語)の風格だぜ……」と、自分は1ミリも書類仕事を手伝っていないのに、伝説のキングメーカーのような渋い顔で深く頷いていたが、横からボルに処刑ハリセンで「お前はまず納税するネ」とスパン!とシバかれて、今日の特区も最高の平和ギャグに包まれるのだった。






(オオカミ少年・大源宗吾編 完全完結)

最後までお読みいただきありがとうございました!「始まりはちょっと困った顔が見たかっただけなのに……どうしてこうなった」本人はただ人を困らせてニヤニヤしたいだけのセコい小6なのですが、特区のフィルターを通した結果、やってることが「都市の安全管理」「防災体制の超強化」「騒音・治安問題の解消」という、国家主席レベルのガチの超優秀な政治改革になってしまいました。人間がどれだけ悪巧みをしようとも、自然のピュアな本能や圧倒的な能力(そして三人娘の無敵の全肯定フィルター)には絶対に勝てないという、そんな世界の真理(?)を込めてみました(笑)。必死に悪党ぶる宗吾くんを聖母の笑顔でよしよしするコトネちゃんや、相変わらず1ミリも動いていないのにキングメーカー面をしてハリセンでシバかれる源さんなど、書いていて自分でもめちゃくちゃ笑ってしまう楽しい1本になりました。みなさんにもこのにやにや感が伝わっていれば幸いです!感想や評価、ブクマなどいただけますと、作者の癒やしエネルギーが限界突破して次への執筆パッションが爆発しますので、ぜひよろしくお願いいたします!

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