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2話 ガンダーレ

晴子



「ガンダーレってなんだっけ?神様だっけ?」

 運転しながら父が聞いてきた。

「しらんがな。予約したのお父さんでしょうに。確か地名とか聖地とかそんな意味だったような気がする。」

「あーそういえば。理想郷だ理想郷。おしい!受験生。」


会話をしながら峠道を登っていくとキャンプ場の看板が左手に現れた。が、駐車場がない。

1台だけなんとか車を寄せられるスペースがあるので、そこに停めて荷物を降ろし、すぐ近くのコインパーキングに停めるらしい。

今回は2人でキャンプ出来るギリギリの物量だけしか持ってきていない。

大きなリュック2つとテント、ソフトクーラーのみだ。

普段のキャンプは多分使わないであろう物まで用意していくので結構な物量になりがちだ。

今回は必要最低限のみだ。

最低限の調理器具から作るものを決め、食材を用意してきた。

私はこういった道具を選定してパッキングするのは初体験だったが、少し楽しかった。

高校に入ってバイクの免許を取得したらこうやってバイクに積載出来るキャンプ道具を選定して、ソロキャンプに行く。

現時点での私の目標だ。


 車を降りると、潮の香りを感じる。

気温的には少し暖かい程度だけど。

さっきまで雪だったのが嘘みたいだ。

横開きのトランクを開けて荷物を出す。

普段キャンプする時の半分以下の物量で少し不安を覚えるが、大丈夫。しっかりと準備は出来ているはずだ。

 私が荷物番をしていると父がすぐ近くのパーキングに車を入れに行った。

父が戻ると私たちはリュックを背負って手にソフトクーラーとテントを持ってキャンプ場に入る。

電話をして荷物をトロッコで運んで貰うつもりだったのだが、ちょうど忙しいタイミングらしいので、自分たちで運ぶことにした。

階段の脇に錆びたレールが一本。凄い急勾配だ。

私たちはスロープやお手製の階段を安全柵を掴みながら降りていった。

 

ある程度降りていくと、キャンプ場の全貌が見えてきた。

周辺を崖に囲まれた孤島のような秘境感がある。

コの字型の地形に建物が二つ見える。 

キャンプサイトは2段になっているようだ。

まず中腹に円形の土のサイトが一つ。

更に階段を降りた下段には海に面した細長い砂利のサイトが見えた。こちらはかなり傾斜が付いていて、水平に寝るのは難しそうだ。

あまり人数は入れないキャンプ場だと思う。

湿った土の階段で足を滑らせて少し焦ったけど、無事に荷物を持ったままキャンプ場に到着した。

 

父がチェックインと支払いをしてる間私は管理棟周りを見て回った。

大人の秘密基地という風情。

色々な電動工具や木材が置かれている。

レールの先を見ると、赤い原動機に台車を取り付けたような機械がレールの上に乗っている。これが父の言っていたトロッコか。帰りはこれに荷物を乗せてもらえると良いな。

正直荷物を背負って登るのはかなり大変に思えた。

父がチェックインを完了して戻ってきた。

私たちは更に階段を降っていくと、中腹の土のサイトに降り立った。

横には小屋があり、トロッコの他に冷蔵庫やテーブル、洗い場、トイレが設置されている。

反対側を見れば岩場の海が広がっている。

かなりの絶景キャンプ場だ。

さっきまで雪が降っていたのに、今は少し夏を感じている。

いや、さすがに夏は言い過ぎかな。


 

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