表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/174

第78話 オリハルコン買います買います!

明日リズさんやカーリーさんたちと一緒に教会へ行く事になった。

明日の朝はいつもより少しだけゆっくりで、ギルドに4の鐘集合と言う事に決まる。


「じゃ、また明日!」


「「うん、また明日!」」

「「オルちゃん、バイバイ。」」


お互いに手を振り合って笑顔で別れる。

友達って感じがしてこうゆうのイイよね。

ちょっとイイ気分で私はお買い物をすべく職人街へと足を運ぶ。


マイ自宅用にガラスが欲しいんだよね。

姿見を作った時に使った大きいガラスを追加で纏めてお買い上げ。

ガラスは窓の他にもガラスのコップとか色々使えるから欲しかったのよね。

お金ならあるんだし使わないと。

お金は天下の回り物。

持ってる人が使って経済を回さないと!

と言う訳で、ガラス板を大量に買っちゃいました。

ジャジャーン。

なんとなんと小金貨2枚のお買い上げ。

ガラスだけで小金貨2枚って……もしかして私バカだったのか疑惑。

いやいや、必要なのよ。

他の人はどうか知らないけど私には必要なの。

素敵なマイ自宅を作る為だからね、妥協はしたくない。

やるならやる!

やらないならやらない。

徹底しないといけないと思うんだ。

毎日が忙しくて中々出来ないけど、今度ヒマがあったらじっくりと自宅の設計図に取り掛かってみたいな。

間取りとか考えるの楽しいもんね。


くーちゃんたちを連れて次の場所へ移動。

前に鋼鉄と鉛のインゴットを買ったお店に行く。

今回は、あればだけど真鍮を買いたいなと。

たぶんあると思うんだけどなー、あるといいな。

お店に着いたので


「こんにちはー、誰か居ますかー。」


声を掛けると奥から前回も居たオジさんが出て来た。


「はいよ。 っと、こないだの嬢ちゃんか。どうしたんだ?」


「ええ、ちょっと欲しいものがあって。」

「真鍮ってある? それも沢山。」


「ん? オリハルコンか? それなら売るほどあるぞ。って売り物なんだがな、ワハハ。」


え? オリハルコン?

今オリハルコンって言った?

そそそ それって伝説の金属のあのオリハルコン?

オリハルコンと言えば前世ではアトランティスに存在したと言う幻の金属だよね。

それがこっちの世界では普通に売られている。

マジかー。

異世界ハンパないわ。


あ、でも私は「真鍮」って言ったのにオジさんは「オリハルコン」って言ってた。

これってもしかしなくても『言語理解』さんが気を利かせたのでは?

そう思った私は一応念の為現物を見せて貰えるか聞いてみた。


「待ってな。ほら、これだ。」


そう言ってオジさんが出して来た薄い金色に光る光沢のある金属。

正確には黄色と金色の中間みたいな色だね。

早速『鑑定』さんのお世話になる。


「オリハルコン」

異世界(地球)では「真鍮」と言われている。

またの名を「黄銅鉱」とも言い、代表的な物に七三黄銅・六四黄銅がある。

七三黄銅 銅70%亜鉛30% イエローブラス

六四黄銅 銅60%亜鉛40% 黄金色

金に似た美しい光沢を持つ事から「貧者の金」とも呼ばれる


ふむふむ。

『鑑定』さんによると、まんま「真鍮」だね。

『言語理解』が上手く処理してくれてたのが判明。

GJ!言語理解さん。

そうと分かったら買うっきゃないでしょ。

真鍮って使いでのある金属だしね。

それに真鍮で作りたい物もあるし。

ま、本当はクロモリとかチタンとかも欲しいんだけど流石にそれはないだろうから。

真鍮があるだけヨシとしないと。


「オジさん、真鍮(オリハルコン)小金貨1枚分頂戴!」


「へ?」


「在庫…ないの?」


「あ、いや。あるにはあるが…そんなに買うのか?」


はい、買いますよ。

そりゃもう大喜びで買いますとも。

私は最大級の笑顔でにっこりと


「あるなら買います!」


がま口財布から小金貨を1枚取り出してカウンターの上に置いた。

さぁさぁさぁさぁ。

早く出して頂戴な。


「お、おう。今持って来る。オーイ、誰か!」


丁稚さんが何人もわらわらとやって来て真鍮のインゴットを積んでいく。

金ピカで綺麗。

これってあれだ、仏壇の色だ。

仏具のあの煌びやかな金色だね。

別な物だと楽器の金色なんかがそうだね。

楽器か、懐かしいな。


実は私は高校の時吹奏楽部に所属していた。

当時写真が趣味だった私は本当は写真部に入りたかったんだけど、通ってた高校には写真部が無かったから吹奏楽部に入る事にした。

元々中学の時に吹奏楽部に入ろうと思ったんだけど男子が1人も居なかったので諦めた経緯があった。

だから高校になって吹奏楽部に入った。

パートはトロンボーン。

トロンボーンって分かるかな?

細長くて大きくて肩に担いで吹く楽器って言ったら分かる?それだ。

真鍮の事を英語で「brass」と言う、だから金管楽器を主体に打楽器などを加えた楽団の事を「ブラスバンド」と呼ぶのだ。

トロンボーンには太管・中細管・細管があり、ベルの色も様々で、黄色味の強いの、一般的な金色のや、赤色(銅赤色)がある。

管の太さやベルの色によって音色が変わって来るのが楽器の魅力でもある。

私が使っていたトロンボーンは中細管のF管付き、色は一般的なブラス色だ。

メーカーはバイクを作ってるあの会社の。

学校の備品に赤ベルで太管のバストロンボーンがあった。

これは1こ下の後輩が主に専門で吹いていた。

私は1stトロンボーンとして主に主旋律を吹く事が多かったかな。

定期演奏会ではステージに立ちスポットライトを浴びてソロを吹いたのがいい思い出だ。

ソロを吹いた曲は映画「Endless Love」の主題歌「エンドレスラブ」だった。

だからこの曲は今でも良く覚えている。

高校時代に吹いた曲は今でも好きな曲は多いけど、その中でも「Sing,Sing,Sing」とか「ワルキューレの騎行」とか、歌劇ローエングリンの「第三幕への前奏曲」とか「ニュルンベルクのマイスタージンガー」とか特に好きだったな。

って、ワーグナーばっかだな。

当時はジャズからクラシックまで幅広く満遍なく吹いてたような気がする。

吹奏楽部の顧問の考えもあって色々な曲を吹いていたんだろう。

今だから分かる事もあるってことだね。

私は大学に進学したけど大学には吹奏楽部がなかったからそれ以降は結局音楽とは離れてしまった。


音楽をやっていた事もあってリズム音痴では無かった。

そうリズムは大丈夫なのよリズムは。

けれど音程の方が……ちょっと、ね。

ほら、楽器ってさ音程は耳で感じ取るじゃない?

自分の喉で音程を取る訳じゃないからさ。

だからたまーに歌い出しのとこでちょこっと外したりするのよ。

たまによ、たまに。

いつもじゃないからね、念の為。

前世でルカと初めてカラオケに行った時に緊張からか盛大に音を外したのね。

あちゃー、やっちゃった!って感じよ。

そうしたら微妙な感じで「歌い込んで練習すれば大丈夫だから、ね。そんなに下手じゃなかったよ。」って変な慰めを受けた忌まわしい記憶が蘇るわ。

言っておくけど、別に私はそこまで酷い音痴じゃないんだよ。

耳はまともだから練習さえすればそこそこ歌えたんだよ。

きちんと練習出来た歌はまずまず上手く歌えたんだからね!

ま、まぁこっちの世界にはカラオケなんて無いんだからそんな心配はいらないけど。


って、ちょっと熱く語っちゃった。


「……イ。 オーイ、聞こえてるか?」


ちょっと思い出に浸ってたらオジさんが目の前で手を振ってた。


「急に動かなくなるからビックリしたぞ。 ほら、オリハルコンのインゴットはそこに積んである。」


「ありがとう。」


お礼を言いながら真鍮に手をかざしてストレージへ仕舞う。

よっし。

これでオッケー。

買う物買ったし宿へ戻ろうかな。


(くーちゃん・さくちゃん宿へ帰ろっか。)


(御意。)

(はい。)



「ただいま戻りました。」


宿に帰るといつも通りにカミラさんに声を掛ける。


「おかえりなさい。」


カミラさんが優しく笑いかけてくれる。

この瞬間がホッとして安心する。

誰かにお帰りなさいって言ってもらえるのって何かいいよね。

けど、カミラさんてずっと宿に居るな。

まぁ、多分ここに住んでるんだろうけどそれにしたって仕事し過ぎじゃない?

ウーズの宿のパトリシアさんもそうだったけど、こっちの世界の人って働きすぎなんじゃないかって思う時がある。

前世では私も社畜化してたけど、こっちの世界に来てからはワリと自由に生きてるなって思う。

来てすぐの頃は大変だったけど、くーちゃんたちが側に居てくれるようになってからはお金に困らなくなったってのが大きい。

お金大事。

衣食住が安定してからは好き勝手やって日々を楽しんでる感がある。

私の目標は目立たずひっそりと、ささやかな幸せを噛み締めるように暮していくのが望みだ。

時々小さいトラブルに巻き込まれたりもしたけど概ね平穏な暮らし?だ。


「聞いたわよ、大変だったんでしょう?」


大変だった……。

それって蟲に襲われてアイザックさんが怪我をした話の事だよね。


「ですね、上へ下への大騒ぎでしたよ。」


まー大変と言えば大変だったかな。

でもあーしないとアイザックさんの命は救えなかっただろうし後悔はしてないよ。

でもギルマスから他言無用が言い渡されてるから、私が『治癒魔法』使えるのはカミラさんは知らないんだよね。

そう思ってたら


「それにしても貴女魔法もすごいのね。変な貴族に目を付けられないように気を付けてね。」




へ…………。



「な なんで知ってるんですか?」


「なんでも何も、みーんな言ってるわよ、ホラ。」


後ろを振り返ると皆がうんうんと頷いている。

口々に


「カッコよかったよー。」

「私感動しちゃった。」

「スゴすぎだよ。」


ええぇぇ、何で喋ってんのよ。

ギルマスが箝口令布いてたじゃない。


「この宿って冒険者ばかりだから必然的にその話でもちきりだよー。」

「そうそう、どこの宿屋も飲み屋も冒険者ばかりだから皆知ってるしその話ばっかだよ。」


「うっそー。」


何と言う事でしょう。

全然秘密になってない!

即バレってどうゆう事よ。


「あ、でも街の普通の市民は知らないよ。知ってるのは冒険者やってる人だけ。」

「そうそう、いくら私たちでも冒険者仲間を売るようなマネはしないから。」


「そ そうなの? それならまぁイイけど……。」


けど知れ渡るのは時間の問題のような気がする。

私やっちゃった感がすごいけど大丈夫か?

これ面倒事が羽生えてバサッバサッてやって来ない?

イヤな予感しかしない。

ノー貴族 ノートラブル!


(いざとなったらくーちゃんもさくちゃんも私を守ってね)


(そんな厄介事なぞわたくしが噛み砕いてみせましょうぞ!)

(私もビュッビュッとやります!)


(あ、ありがと。)


二人とも随分と好戦的なのね。

それはそれで頼り甲斐があるけど程ほどにね。


「私この子たち厩舎に連れて行きますんでこれで……」


そう言ってその場を離れる。

くーちゃんたちを厩舎に入れたらくーちゃんたちの晩ごはんを用意する。


(それじゃ、明日の朝また迎えに来るからね。)


(御意。 主様くれぐれも結界石をお使い下さいませ。)


(うん、分かった。)


まぁ、結界石を使う理由は他にはあるけどそれはくーちゃんたちには言わないでおこう。

言ったら恥ずかしすぎて死ぬわ。


さてと、一旦部屋に戻って楽な格好に着替えるとするかな。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ