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第65話 蟲の痕跡

青空の下、うら若き乙女が上半身裸で下着の試着してる絵図ってどうなの?

それってもう只の痴女じゃない。

前世なら完全にお縄よお縄。

SNSで拡散されて社会的に抹殺されるヤツね。


着け心地は分かったし、いいベースが出来たみたいなのでこれを更にお洒落にえっちに進化させたいな。

確かストレージにレース生地があった筈だからそれを参考にして、レースを使ったのを作ろうかな。

どうせ誰かに見せる訳じゃないしね、自己満足の為だけに……

全面レース生地で透け感のあるタイプのと、ハーフカップに見えるけど実はフルカップで上半分が透けてるタイプのと2種類。

色は良く分かんないので色々あった方が楽しいかなって思って白・黒・赤・ネイビー・ボルドーで設定してみた。

あとは『創造魔法』さんにお願いするだけ。

それなりの魔力と引き換えに問題なく作成出来たみたいね。

けれど魔力はまだまだ余裕がある。

出来上がったブラをストレージから出してチェックしてみる。

この後数回作り直して満足いく物が出来た。


うん、すーーーーーーっごいえっちだ。


えっちついでにショーツもレースで作ってみた。

透け感とレースの華やかさ、自分の欲望そのままに作った。

うん、我ながら惚れ惚れするほどえっちだ。

これは夜の実験(むふふ)に最適だね。

更にTバックも作ったよ。

ラインが出やすいスカートとかには必須だからね。

買った下着もあるんだけど、ブラと合わせるとなると自分で作った方がいいもんね。

他にはお仕事用にレース生地じゃない、それこそ極々普通のやたらと面積の大きい無難なのも一応作っておいた。

普段はこれを穿いてればいいよね。

色は上下で合わせておいた。


ふう、これにて下着作成は終了っと。

はぁぁ、楽しかった♪

やっぱ新しい下着って気分もアガるよねぇ。

オルカさんすっごく楽しくて時間を忘れて作っちゃったもん。



今時刻は何時ごろなんだろう。

くーちゃんたちは狩りは楽しめてるかな?

相変わらず私の『探知』さんには()()反応もない。

んー今日は獲物は少ないかもね。

そんな事を考えながら土壁を元に戻すと一気に視界が開ける。

見渡す限りの広大な草原が広がっている。

遠ーーーーーくに森が見えるね。

あっちがラザロム側でこっちがメイデンウッド側。

ストンと椅子に座るとお茶を淹れ直した。


くぴっ。


ふう。

ひと息つく。

落ち着くねー。

今日はこれまで作りたかった物が沢山作れて満足満足♪

とってもイイ日だよ。


でもアレは気になるよね。

アレ、蟲ね。

何でもなきゃいいんだけど……。

それとさっきも言ったけど『探知』に()()反応がない事。

可笑しいのよ絶対。

普通ならスライムなり兎なり、或いはネズミでもいいんだけど何かしらの反応があるはずなんだけど、そうゆうのが一切ないのよ。

これが蟲の影響なんだとしたら大変な事だよ。

既に危険水域って事だからね。


おやっ?


この反応はくーちゃんとさくちゃん?

相変わらずゆっくりと移動してるね。

ゆっくりって事は一応狩りは成功して獲物を運んでるって事だね。

へー、獲物居たんだ。

くーちゃんの事だから何処まで行ったのやら。


お、見えた。


なんか動いてるね。

でも何かいつもより少なくない?

いつもならもっと魔物の小山が貨物列車みたいに列をなしてやって来るのに、今日は明らかに少ない。


あれれー。


やっぱ影響出てるのかなー。

くーちゃんたちが帰ってくるなり


(ゴメンなさい、今日は少なかったです。)


そうさくちゃんが謝ってくる。


(いやいやいや、謝る事なんてないからね。)


くーちゃんたちが狩って来た獲物を見てみると確かにいつよりかなり少ない。

小山1つ分くらいしかないもんね。


(それでも普通の冒険者ならこれだけの獲物を狩れたら大猟なんだよ、大儲けなんだから。だからくーちゃんもさくちゃんも何にも気にする事はないんだからね。)

(いつもありがとうね。)


そう言って二人を労う。


(主様、こちらをご覧いただけませんでしょうか。)


(ん? どれ?)


えっと、……狼ね。

特に変わった所のない良く見かける普通の狼だけど、これがどうかしたの?

鋭い綺麗な切り口でスッパリと首と胴体が二つに分かれている。

『鑑定』さんによると「森林狼」と出てる。

うん、いつもの狼だよね?


(これは森に住む狼で、普通であれば彼らは森から出る事はありません。 それが草原に居りました。)


(それって、どうゆう事?)


(可能性としては、獲物を追いかけてうっかり森を抜けてしまったか、或いは……より強い魔物に追われて逃げて来たかのどちらかかと。)

(恐らくは、森から逃げて来たと見るのが正解では……。)


(くーちゃんはどうしてそう思うの?)


(こちらを……)


くーちゃんが魔物の山の下から何かを咥えて掘り出すようにしている。

さくちゃんの配下のスライムたちも手伝って魔物を除けている。


あっ!


……うそ。



(これってヤバくない?)


(仰る通り、とても拙い状況であると思わざるを得ません。)


魔物の山から出て来たのは蟲の魔物だった。

地面に這いずるような平べったい黒い艶のある身体、高く持ち上げられた尻尾のような器官。

その先の毒針が何とも言えない不気味さを漂わせている。

『鑑定』してみると「エンペラースコーピオン」と出た。

この世界最大のサソリ種とある。

大きさは200㎝を超えているかもしれない。

毒性は弱くそれ程強くはないと『鑑定』さんは言うけれども、いやいやいやサソリだよ?

この見た目からして怖いし、何よりこの大きさがもう普通じゃないから!

真っ黒の身体にあのバカでかい鋏と尻尾の毒針だよ?

こんなのに襲われたら堪ったもんじゃないよ。

こんな見た目凶悪な蟲の魔物が草原に居たって言うの?


ぶるるるる。

寒気がするよ。


(これ、何処ら辺に居たの?)


(メイデンウッド領側の森の側、でしたか。)


くーちゃんが答える。

くーちゃんの話だと、このエンペラースコーピオンでさえも逃げて来たのではないかと言うの。

元々はメイデンウッドに居たけど、強い魔物から逃れる為に森に逃げ込んだがそれでも追いかけられて追われている内に森を出てしまって草原に居たのではないか。


(だとしたら益々ヤバいわよね。)


(ご主人様、他にも可笑しな事が。)


(ん、さくちゃんどうしたの? なにか気になる事でもあったの?)


(はい、草原からスライムが消えたのです。)


(どうゆう事? 詳しく教えて。)


(数は少ないですが魔物を狩れたのでスライムを呼んで運ぼうと思ったのですが……)


魔物を狩れたのでスライムを呼ぼうとした。

しかし呼んでも呼んでも野良スライムがやって来ない。

場所を移動しながら何回か繰り返してやっと少しだけ野良スライムを配下に出来たと言うの。

今日は異常なくらいスライムが少ないと。

きっと森や草原の異常を感じとって逃げてしまったのではないか、さくちゃんはそう考えたのね。


(きっと、それは正解よ。 私の『探知』にも全然反応が無かったんだもの。)


(やはり主様もお気づきで御座いましたか。)


(うん、これは後でくーちゃんに確認しようと思ってたんだけど、今のさくちゃんの言葉でハッキリしたよ。 間違いないね。)

(強い魔物が居る! それも蟲の魔物で、森からやって来て既にこのメイワースに入り込んでる可能性が高い!)


(ご明察で御座います、恐らくは仰る通りかと。)


(だよねー、どうする? 一応森見ておく?)


私昆虫は苦手だから私的にはノーサンキューなんだけどなー。

出来るなら遠慮したいくらいなんだけど……。

そうゆう訳にもいかないか。


(仕方ない、行くか!)


(やはり、行かれますか。 主様ならそう仰ると思っておりました。)

(うん、ご主人様お優しいですから困ってる人が居たら助けない訳ありませんもの。)


(いやいや、キミたち私を買い被り過ぎだよ。私はね、自分に降りかかる火の粉の可能性があるなら降りかかる前に払ってしまおうって思っただけだから。)


((そう言う事にしておきましょうか♪))


もー、二人して笑って。

ホントに違うんだからね。


(ご主人様、ツンデレ♪)

(桜、正直だから良いと言う物でもないのですよ。)

(はい、葛の葉姉さま♪)


キミたちねー。

くーちゃんは楽しそうに耳をペタンとして尻尾をブンブンと振っているし、さくちゃんはいつもより長めにみよんみよんしてる。

全く、かなわないなぁ♪

ここでこうしてても仕方ないしね。


(あまり気乗りしないけど、ちゃちゃっと森の中を調べてギルドに報告しよっか。)


(所で主様、ホンのちょっと見ぬ間にお胸が成長なさったようでございますが?)


(ななな 何言ってるのかなぁー。)


(分かりました。 スライムが入っているです!)


(さくちゃん、不正解! ブブー!! って言うかスライム入れたりしないよ!)

(大した事じゃないのよ、新しい下着を作っただけだから。 これにするとすっごい動きやすいのよ。)


(成程、そうで御座いましたか。 さすれば戦闘もよりアグレッシブにと理解して宜しいので御座いますね?)


(なんでそうなるの?)


くーちゃん意味不明だよ。

たんに動きやすくなるって言っただけだから。

私は戦闘狂じゃないからね。


(ほら、行くよ行くよ。)


私たちは森の方へ向かい歩き始める。

相変わらず『探知』さんには反応は少ない。

反応がない訳じゃないけど、あっても兎に角少ないのよ。

姿は見えないからどこかに隠れてるのかもね。


森の入り口の前まで来た。

なーんかイヤな感じ。

普段なら森に入るのはかなり好きなんだけど今日はちょっと……。

まぁそんな事も言ってられないから入るのは入るんだけどね。


森へ足を踏み入れる。

いつもと同じ土や草の筈なのに今日に限って違って感じる。

森が……静かだ。

なんとも言えぬ緊張感が漂っているね。


(くーちゃんいつものように『探知』お願いね。)


(御意。)


私の『探知』よりくーちゃんの『探知』の方がより広いエリアを探知出来る為、こうゆうより広く、より早く状況を把握出来るって言うのは大切だからね。

私も忘れずに『索敵』や『警戒』をしながら森の中を奥へと進んでゆく。

草を掻き分け丸太を乗り越えて路なき路を進む。


(蟲、居ないねぇ。)


(森が怯えています。)


くーちゃんが言う。


(森が怯える?)


(はい、動物や魔物、果ては森の木々までもが怯えております。)


(私には感じられなくとも、森と共に生きてきたくーちゃんにはそう感じられるんだね?)


(はい、確かに蟲は居ると思われます。)


そっか、くーちゃんがそう言うんなら間違いなく居るんだろう。

なら、何処にいるかだね。

周りの木々や地面など蟲の痕跡を求め探し回る。


……っ!



「くーちゃん・さくちゃん、アレ見て!」


(なんとっ!)

(あれは一体。)


見つけた。

蟲の痕跡だ。


私はしゃがんで地面を見つめる。

血の跡だ。

周りに獣の物と思われる毛が散らばっている。

これは食べられた跡?

肉食の蟲の魔物が居る?


これは益々拙い事になったわね。


私は立ち上がるとぐるりと辺りを見回した。

暗い森の奥が口を開け獲物待つ蟲のように思えた。





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