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第62話 黒髪の戦姫ってなによ?

ギルド本館で正式発表をしたギルマス。

その後書面にて掲示。

冒険者への周知も忘れない。

それと同時に、こうゆう警戒時には一時的に薬草や魔物などの納品が少なくなる傾向にある為、この蟲騒動が収束するまでは買取価格を1割アップする旨も告知された。


「あ、オルカさん! 居た居た。」


私を見つけたアルマさんたちがこちらに駆け寄って来る。

あの掲示を見たのだろう、不安気な様子だ。

だから少しでも不安を和らげられたらと思い


「まだ確定ではないみたいだから必要以上に心配しなくてもいいと思うよ。」


「オルカさん、今朝はありがとうね。あれのおかげで少しは安心出来るもの。」


アルマさんにお礼を言われた。

少しでも役に立ったのなら良かった。

アイザックさんの事も心配なのでアルマさんたちも微力ながら警戒中心に付近を廻ると言う。

そうね、それもいいかも知れない。

リズさんたちは東の森を中心に狩りと警戒をするし、私はあまり人の行かない北の草原と森を見回る予定。


「それじゃまた明日の朝ここで。」


それぞれお互いの予定を確認し合って今日の所は解散となった。



何とも言いようのない不安感を抱えつつ帰路につく私。

取り合えず私に何が出来るか考えてみる。

私に出来る事、うーん 自衛くらいかな。

自分の身は自分で守る。

今の私に出来るのはそれくらいかなー。

くーちゃんやさくちゃんが居るから魔物に襲われても二人がやっつけてくれるから平気だしね。

なので私の明日の予定は今日と同じく物作りに専念だ。

魔物の警戒はくーちゃんたちにお願いすればいいよね。

仮に蟲の魔物が出てもくーちゃんたちが狩ってくれるだろうし。


けど 蟲かぁ……イヤだなぁ。

昆虫系は苦手なんだよなぁ。

昆虫でもカブトムシやクワガタ・蝉・トンボはまだ平気だけど、ゲジゲジとかカサカサしたのとかはダメ。

特にG。 アイツは絶対にダメだ!

私は拒絶する!

だってGって怖いんだもん。

アイツったらこっちに向かって飛んでくるんだよ?

黒くてツヤツヤして平べったい体のヤツがブーンて向かって来る。

ギャーだよ。

前世でね、飲食店のバイトに行ってた時の話なんだけどね。

厨房の洗い場で洗い物してて、あまりに暑かったから右手で窓を開けたらGが上からポトリと落ちて来て私のTシャツの脇から中に入って来てガササササッて走り抜けて行ったの。

もうギャーッ!よ ギャーッ!

気持ち悪いったらありゃしない。

大声出したら周りの人がビックリしてた。

そして


「男のくせにGくらいで騒ぐなよー」


って笑われた。

納得いかない。

男とか女とか関係ない。

怖いものは怖いの。

前世で、私が一番怖いもの、それはGだ!って言ったらルカに首を横に振られ思いっきり呆れられた。

二番目に怖い物は請求書だ!って言ったら残念な人を見るような目で見られた。

三番目に怖いのは「ル……」の所で頭をはたかれた。

……解せぬ。


今となっては只々懐かしい。

甘酸っぱい?思い出ね。



考え事をしながら歩いてたら宿屋に着いた。


「ただいま戻りました。」


受付に居たカミラさんにそう告げると中に居た数人の冒険者さんがガタリと椅子から立ち上がり


「帰って来たーっ!」

「黒髪の戦姫よ!」


って言いながら近づいて来る。

えっ?

なに、どうしたの?

それに「黒髪の戦姫」ってなに。

いつからそんな二つ名がついたの?

そしてみなパチパチと拍手をしながら口々に


「夕方のアレ、カッコ良かったよ。」

「アイツ等にはほんと迷惑してたから、コテンパンにやっつけてくれてスカッとしたわ。」

とか

「貴女ってば、美人で可愛くておっぱい大きくて、更に体術まで使えるってスゴすぎよ。」

「もうね、ビビビッて痺れたわ。」


「あ、はい。 有難うございます?」


コテっと首を傾げて返事をする私。


「なんで疑問形なのよ、もっと胸張って自慢してもいいのよ!」

「そうそう、オルカさんはそれだけの事をしたんだもの。」


いやーしかし、別にやりたくてやった訳じゃなのよね。

降りかかる火の粉を払っただけって言うかね。

そう言ったけど、


「だからと言ってナイフ持ってる暴漢相手にあれは中々出来ないわよ。」

「そうよ、女の敵を懲らしめてくれたんだもの、誇っていいのよ。」


「ね、貴女ソロなのよね? パーティ組む気はない?」

「あ、ずるーい。それだったらウチ等のパーティはどう? 女の子限定だし安心よ。」

「うーん、私のとこは男も居るからダメだよね?」


「ええ、私は殿方はちょっと苦手なもので……」


流石に元男の異世界人とは言えないもんね。


「そっか、残念。」

「オルカさんてリズたちやカーリーたちと仲いいんだよね?」


「はい、いつも良くして貰ってますけど。」


「そっかー、やっぱそっち系かぁ。」


また「そっち系」。

私って完全にそっち認定されてるよね、まぁ困る事もないし別にイイっちゃイイんだけどね。

可愛い女の子は好きだし。


「でも、別にクランて訳でもないですけど、その日限定で一緒に行動ってのはリズさんたちとした事はあるんで、女性だけなら問題ないですよ。」

「今の所基本はソロなんで誰かと組むってのは考えてないんですけど、絶対にダメって訳でもないんで。」


「そうなの? だったらたまには私たちと組んでくれたりもする?」

「そうゆう日もあるかも知れないですね、考えておくわ。」


「考えとくわ」、関西人が良く使う断る時の常套句。

前世では「考えとくわ」って言われたら「あーダメか」って諦めもついたもんだけど。

まぁこっちの世界では通じないでしょうけど、それでも一回は考えたって言う事実は残るので否定的には取られないでしょ。


「所でオルカさん、今日は何か買取依頼とか出しました?」


丁度いいタイミングでカミラさんが話題を変えてくれた、助かった。

初めてこの宿に泊まった時の鹿肉の事を覚えててくれたんだね。


「あ、はい。ワイルドカウを40頭ほど……」


「「「「「「「40頭?!!!」」」」」」」


話を聞いていた皆が驚いている。

やっぱ皆そこは驚くよね。


「なんか桁が違うくない?」

「まぁほら、オルカさんだから。」


「いやいや、狩ったのは私じゃなくて、私の従魔のこの子たちですから!」


私はくーちゃんとさくちゃんを優しく撫でながら返事をする。


「だとしてもよ、従魔の手柄はテイマーの手柄よ。」

「そうよ、それだけ強い従魔を手懐けてるって証だもん。」


そうなのかなぁ。

なんか違うような気がするんだよね。


(主様、それでいいので御座いますよ。)

(そうです、葛の葉姉さまの言う通り。 全てはご主人様の為に!)


(そう? 二人ともいつも助けてくれてありがとね。)


くーちゃんは尻尾ふりふりしてるし、さくちゃんはみよんみよんしてる。


「喜んでくれてるからイイか。」



「さ、みんな。 夕飯にするよ! 今日は違うけど明日はワイルドカウの予定だからね。」


「「「やった!」」」


みんな喜んでくれてる。

ならいいのかな。

ちょっとだけそう思えた。



夕飯も済んでお風呂から上がって部屋に戻る。

今日はお風呂で泡泡サンドイッチは無しで。

だってアレやっちゃうとその後が火照っちゃって大変なのよ。

だから今日は大人しく検証(むふふ)はしないで寝るつもり。


部屋に入って灯りの魔道具で部屋を明るくしたら、早速作業開始。

今夜は植物油を使ってファクチスを作ろうかなと思う。

うろ覚えの知識しかないのだけど、確か中世ヨーロッパで亜麻仁油と硫黄を混ぜて弾性のある樹脂状の物質を作っていたとか何とか。

だったら履物の底にも使えるんじゃないかなって。

作り方は分からないけど『創造魔法』さんなら何とかしてくれるだろうし。

今の私なら魔力だけは人並外れてバカ程あるんで魔力によるゴリ押し作製も可能だからね。

弾性の違う色々なファクチスが作れれば様々な用途に活用出来るのよ。

材料ならストレージに沢山入ってるから後は『創造魔法』さんにお願いすればOK。


結果、ちゃんと出来てるっぽい。

なぜ「っぽい」のかと言うとファクチスがどういう物か分からないから。

でも『創造魔法』さんが出来たって言うんだから出来たんだろう、きっと。

明日はこれを使って自分用のスニーカーとワンピース用の履物を作ろうと思っている。


今日の昼間コットンの糸を作ったのがある、折角だからそれ使ってソックスを作ろうっと。

編み方はメリヤス編みとゴム編みの合わせ技、出来るか分かんないけどさっき作ったファクチスがあるからあれでゴムの代用にならないかな?

と言う事で早速チャレンジ。

イメージは前世で履いてた靴下その物。

ニーハイや綿タイツも作っておこう。

どうせ作るんだから纏めて作っちゃえばいいよね。

ついでにTシャツと前開きのパジャマも作っちゃお。

パジャマは無難にパステルカラーのピンク・ブルー・グリーンあたりでいいかな。

材料はストレージにあるので後はストレージ内で『創造魔法』を展開させて作製するだけ。

多少の魔力と引き換えにどうやら無事に作れたみたいね。


あ、そうだ。

領都に来る前にヘアブラシをリズさんとメロディちゃんに作ってあげようか?話してんだっけ。

あれ作っておかないと。

渡すのは別に明日じゃなくてもいいとは思うんだけど、作るのは忘れない内に作っとかないとね。


明日は何作ろう。


建材となる木材や鉄は入手した。

コンクリートの材料も手に入れてある。

ファクチスも出来たのでパッキン系の物も何とかなる。

あ、窓に入れるガラス板が足りないな。

これはまた買っとかないと。

後は防水シートや屋根の断熱材とか瓦とかをどうするか。

前世ではオール電化の一戸建て住宅に住んでたから、こっちの家はオール魔石住宅がいいかなって。

オール魔石、つまり電気の代わりに魔石に魔力を込めてそれをエネルギーとする。

キッチンも魔動キッチン、これは備え付け。

トイレも魔動水洗トイレって具合にね。

家の設備関係も考えておかないと。

これはすっごく楽しみ。

家の間取りとか設備や家具なんなを考えるのは楽しいのよね。

前世でもルカと一緒にあーでもないこーでもないって頭を悩ませたもんだけど、それはそれで楽しかったのよ。

結論、家はまだ無理かな。

もう少し詳細を詰めてから設計図を書かないといけないからね。


だとしたら明日は、スニーカー・植物油ベースの石鹸とシャンプー、それからブラとショーツ……


うわっ、ショーツって超恥ずかしいんだけど。

元オッサンの私にはハードル高いなー。

何だろうね、まだ時々こうやって前世のオッサンが顔を出すのよね。

でも下着って上下セットになってた方が気分もアガるよね?

ううん、きっとそうだと思う。

うん、やっぱ作ろう。

ブラは必須だから絶対。

そんなとこかな。


これにて本日の予定は終了。

結界石を起動させて、



じゃ、お休みなさい。







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