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第50話 お金は使ってナンボ

部屋を出て鍵を掛けたら階段で1階に降りる。

あ、カミラさんが居る


「ちょっと出かけて来ますね、これ部屋の鍵です。」


「はい、気を付けて行ってらっしゃい。」

「貴女美人さんだし悪い虫には本当に本当に本当に気を付けるのよ。」


「従魔も連れて行くので大丈夫です、心配して下さってありがとうございます。」


お礼を言ってくーちゃんたちを迎えに厩舎へ行く。


「くーちゃん・さくちゃんお待たせ、領都の探索に行くよー。」


((御意))



宿屋を出てまずはギルドへ向かう。

これから色んなとこ周って買い物しまくる予定だから資金の補充をしとかないと。

窓口へ行き市民カードの通帳機能でお金を引き出す。

小金貨2枚と大銀貨20枚。

どんだけ買うつもりなの。我ながらちょっと呆れる。

それでもまだ小金貨20枚くらいの残高は残ってる。

すっごいお金持ち。

くーちゃんのおかげね。


「ありがとう。」


窓口のお姉さんにお礼を言ってお金を受け取る。

お金をがま口に仕舞ってポシェットに片付ける。

さっ、張り切ってお買い物行こうか。


冒険者ギルドを出たところでちょうど辻馬車が停まっているのが見えた。

あれに乗ってみようかな。


「ねぇ、オジさん。 市場の入り口まで行ける? あと従魔はやっぱりダメよね?」


「市場までなら銅貨7枚だ。 従魔は……そっちの大きい方は無理だが小さい方はお譲ちゃんが持って乗るなら大丈夫だ。大きい方の従魔は後を付いて来てくれればいい。」


「ほんと? ありがとう。 じゃ、市場前までお願いね、はい これ銅貨7枚。」


(くーちゃん馬車の後を付いて来てね。一応念の為いつもの護衛もお願いね。)


「さ、さくちゃんはこっち。」


そう言ってさくちゃんを抱き上げて馬車に乗った。

オジさんお願い。


馬車が動き出す。

マカダム補装のようなしっかりとした道。

領都のように大きな街はよく整備されている。

街道を走ってる時は結構跳ねたりしたけど、領都の道はゴツゴツとした振動はあるものの跳ねたりする事はない。

短い時間ではあったけどワリと快適な馬車での移動。

馬車に乗ってるとすぐなように感じるけど歩くとまぁまぁ時間かかるのよね。

やっぱり乗り物って便利だわ。


「お嬢ちゃん、着いたぜ。」


「ありがとう。」


そう言って馬車を降りて


「くーちゃん・さくちゃん行こっか。」


さくちゃんはくーちゃんの背中に乗ってみよんみよん伸びたり縮んだりしている。

ご機嫌さんみたいね。

朝から沢山の人が歩いてる。

人混みの中ぶつからないように気を付けながら歩いてゆく。

やたらと人の視線が気にはなるけど。

特に男の人からの好色そうな目がね……。

まぁ、くーちゃんが護衛してくれてるから誰かから声を掛けられる事なんてないけどね。

ほんと、いつもありがとね。

市場の中の通りの両側には所狭しとお店が並んでいる。

市場に買い物に出かけてくるのは一般市民が多いようでそこは領都でも変わりないようだ。

私が着ているのと大差ない服ばかりなので私も違和感なく歩けている。

色んな物が見られるってのはやっぱり楽しいねー。

さっきからずっと『鑑定』さんのお世話になりっぱなし。

あれ何だろう? これ何だろう?

ちょっとでも疑問に思ったら即鑑定。

あ、人には使ってないよ、マナー違反になっちゃうからね。


この辺りは果物のお店が多いね。

順番に見ていく、時々気になる物があると鑑定さんにお願いしながら物色中。

見ているとお店によって扱っている果物が違ってたりしてる。

小さいお店、大きいお店によっても全然違うし。

早速お目当ての果物発見。

リンゴが山積みになってる。


「オジさん、リンゴちょうだい。 ありったけ。」


「は?」


びっくりした顔でこっち見てる。

あはは、純朴そうなオジさんがキョトンとしてるよ。

傷んでるのを除いて全部買ったらかなりおまけしてくれた。

安く買えたのはラッキー、オジさんも私もウインウインね。

他に何かお薦めのいい果物は?って聞いたら色々と教えてくれたのでそのお店に行ってみる。

オレンジがいっぱい!

買う、買いますとも!


「オジさん、オレンジちょうだい。」


「らっしゃい、何個にする?」


「そうねぇ、取り合えず傷んでないのを全部かな。」


「はい?」


まぁそうなるよね。

それは勿論織り込み済み、こっちは買う気満々だから。

お金を払ってチーン!

て、レジはないけど気分よ気分。

次はあっちの大きいお店に行ってみよう。

一通り見てみて欲しい物をピックアップしていく。

結構な量になりそうなので予めお店の人に言っておく。


「あのう、果物欲しいんですが、ちょっと量が多いんですけど大丈夫ですか?」


「どうぞ、何になさいますか?」


ええっとね、グレープフルーツに、桃に、葡萄、メロン、あとバナナとパイナップルとマンゴーを傷んでないのを全部でっ! そう言うと、


「冷やかしなら帰ってくんな!」


そうよね、そう思うのが普通よね。

でも本気だから。

買っておかないとジュースが作れないからね。

訝しがる店員さんを尻目に私はチャリンチャリンとお金を取り出す。

いくら?

お金ならあるよ。

私こう見えても冒険者だし結構稼いでるから。


「ありがとうございました。」


深々とお辞儀をする店員さん。

沢山買ってくれたからって、お礼に時期の終わりに近づいてた苺を大量にサービスしてくれた。

ありがたやありがたや。

いや~果物沢山買えてラッキーだったねー。

これでまたひと儲け出来るよ。


次に野菜のお店に脚を運ぶ。

お野菜関係も傷んでないのを選びつつ買っていく。

特に葉物野菜は慎重に選んでく。

時間経過無効のストレージがあるから新鮮な物さえ買っておけばあとは傷まないからね。

人参・キャベツ・レタス・葱・韮・アスパラガス・ブロッコリー・胡瓜・茄子・トマト・ピーマン・ジャガイモ・生姜・唐辛子などなど。

わっ、紫蘇に大葉に茗荷まである! これは絶対買わなきゃ!

取り合えず一旦ここまでで清算した。

種類も多かったので金額もそれなり嵩んでしまった。

でもいいの、後悔はない。

いくら大量に買ったとは言え、この市場は庶民の台所。

あまりに値段が高いと一般市民は生活出来なくなってしまうからお値段控えめで売られている。

まぁ、買った量が量だから金額的にはすごかったけどね。


他にはお酢・バター・植物油各種・お高いオリーブオイル・チーズ・卵などを買い込んだ。

卵はいい値段だったね。

鮮度のいい生食出来る物だけを選んで200個程買っておいた。

卵だけで大銀貨2枚もしたけどね。 高っ。

食材関係は良い買い物が出来た。

お金に余裕がある内に買っておけば後が安心だからね。

次は商店の方へ行こうかと思って市場の出口方向へ歩いていると大きな丸い球みたいな物が目に付いた。

あれ何だろう。

市場にあるって事はお野菜か果物だよね?

『鑑定』さんによると「大豆」と出た。


……見たまんま、字のまんまだ。


大きい豆だから「大豆」。

「だいず」ではなく「おおまめ」。

どうやら地球には存在しない野菜のようで上手く翻訳出来なかった様子。

これ豆だよね? どうやって食べるんだろう?

気になってお店の人に聞いてみた。


「ね、これ大豆ですよね? どうやって食べるんですか?」


「うん? ああ、それな。 確かに大豆(おおまめ)だが人間が食うもんじゃねーぞ。それは馬の飼料用だ。」


へー、地球で言うところの「大豆」の役割まんまだね。


「人間が食うんだったらこっちだ。」


そう言って指さしたのは「小豆」だった。

小豆(あずき)」と書いて「小豆(こまめ)」と読む。

これ地球の「大豆」っぽくない?

『鑑定』さんによると「小豆」と出る。

うーん、ごっちゃになって訳分かんなくなるね。

食べ方は煮て食べてもいいし、乾燥させて炒っておやつとして食べても美味しいとの事。


ん? 


これってやっぱり日本で言うところの大豆なんじゃない?

どうする? 買っちゃう?

結構な量あるからもしこれが大豆ならお味噌とかお醤油とか作れちゃうね。

ちょっとだけ考えるけど、どう考えても買わない選択肢はないな。


「よし、買った! 取り合えず一番大きい袋で3つ!」


「毎度ありぃ。」


「オジさんありがとね。」


そう言ってお店を後にして出口まで移動する。

あ、居る居る。

そこには何台も辻馬車が止まっている。

その中の1台に声を掛けて商店のある区画へと行って貰った。

値段は銅貨5枚で、やっぱりくーちゃんは歩きだった。

ゴメンよ、くーちゃん。


(いえいえ、何の問題もございませんゆえ主様はお気になさらず。)


くーちゃんのそうゆうとこホントに助かってるよ、ありがとう。



商店が集まる区画にやって来る。

ここでは洋服を買おうと思うの。

持ってる普段着がこのワンピース1着だけじゃ着たきり雀になっちゃうしね。

昨日の(えっちな)下着屋さんから貰った紹介状を持ってお店に行く。


「あのー、従魔が居るんですが大丈夫ですか? 大人しく出来るいい子たちなんですけど。」


そう言いながら昨日貰った紹介状を見せた。

それで問題なく入る事が出来た。

洋服はこの世界の主流が丈の長いワンピースが基本みたい。

あまり短いのはなくて、ミニスカートなんてのはひとつもなかった。

まぁあってもミニスカートなんて穿かないけどね。

前世の日本と違って服が溢れている訳ではないこの世界。

やはり服と言うのは高いのだ。

庶民は古着を着回すのが一般的で滅多な事では新品の服なんて買わない。

でも私は買う。

だって欲しいんだもん。

それにお金は使ってナンボ。

使って経済を回さなきゃね。

ワンピースはデザイン的な種類はあまりない印象だなぁ。

オフショルダーになった物も見当たらない。

んー、そうゆうのは自分で作るか。

ブラウスは白やピンク、その他カラフルで見ていて楽しいし飽きない。

刺繍がしてあったりと中々にお洒落で可愛いらしい。

これはアリだ。

スカートは基本的にロングばかりだね。

でも種類はフレアやタイト、プリーツなど意外と種類が豊富なのには驚いた。


ただし!


元男の私では知識やコーディネイトはさっぱりなので、ここはお店のお姉さんにお任せにする事にした。

ざっくりと予算を言ってその範囲内でお願いしますと。

まぁその予算がぶっちぎった金額だったので驚かれはしたけど。

カーディガンやショール、サンダルなんかも合わせて買っておいた。

うーん、満足。



買い物に夢中になってたら6の鐘が鳴っている。

あ、もうお昼か。

じゃあ一旦休憩にしてお昼にしようかな。

この辺りは高級商店が立ち並ぶ区画だから近くに大広場もあるしそこで休憩がてらお昼だね。

適当な場所を探して座り、宿屋で貰ったお昼ごはんをストレージから取り出して食べる。

パンを縦に切れ込みを入れて焼いたベーコンと葉野菜を挟んだサンドイッチみたいなのだ。


もぐもぐもぐ。


あら、これ意外と美味しい。

この葉野菜なんて言うんだろう?

今度自分で作ろうっと。

食材ならたっぷりと買ったからしばらく持つね。

あとはくーちゃんにお願いしてお肉の調達して貰わないとね。

それは森に行った時にでもお願いしようかな。


『洗浄』でパパっと手を洗って、そう言えば今日の午後ならお金の受け取り出来るって言ってたわよね。

ここからならそんなに遠くないしちょっとギルドに寄ってお金貰って来ようかな。


「すいません、昨日買取依頼を出したオルカですが……」


そう言うと窓口の職員のお姉さんが


「ああ、貴女ね。 ちゃんと聞いてるわよ。 ちょっと待ってね今持ってくるから。」


そう言って奥に戻ってトレイを持って出て来た。

トレイには金貨が見えるんですけど?

え? 鹿だよね? 鹿肉ってそんなに高く買い取ってくれるの?

小金貨7枚と大銀貨3枚に小銀貨8枚だって……。

うっそー。

私がびっくりしてると


「ものすごく多いように見えますけど、買取の数が数でしたから。 だから金額的には妥当なとこだと思いますよ。」


との事。

そうなんだ。


(くーちゃんありがとね。)


(勿体ないお言葉、ありがたき幸せ。)


尻尾をぶんぶん振って喜んでいる。

小金貨は通帳へ入れて、残りの大銀貨と小銀貨は手持ちに加えた。

お金全然減らないね。

また小金貨27枚に戻っちゃったよ。


「ちょっと聞きたいんですけど。」


窓口のお姉さんに防具を扱ってる店で何処かお薦めはないか聞いてみた。

武器・防具を扱っていてオーダーメイドで一品製作してくれる処が希望なの。

お姉さんは私の胸の辺りを見て


「なるほどねぇ、確かに。 おっぱい大きいものね。」


と納得してる。

そうなんですっ!胸が大きくて普通の胸当てだとはみ肉するんです!

だからピッタリフィットのが欲しいの。


「それだったらあのお店がお薦めですね。 女性冒険者にも評判ですし、何より店員が女性ですから。」


あ、じゃあそこにします。

場所は……はい、はい、……分かりました、ありがとうございます。



お姉さんに教えて貰ったお店に行ってみる。

ここね。

見た感じ周りのお店と大きな違いはなく普通のお店に見えるね。

違いと言えば看板が剣と盾になってるくらいだね。

中に入ると店の奥からお姉さんが出て来た。


「いらっしゃいませ。」


「冒険者ギルドでお薦めされて来たんですけど、防具のオーダーメイドって出来ますか?」


「はい、出来ますよ。 どう言ったのがご希望ですか?」


こうこうこんな感じで革製のビスチェタイプで、動きを阻害しないで、女の子らしい可愛らしいデザインが希望なんだけど。

そう伝えると


「はい、はい、ではサイズを測りますのでこちらへどうぞ。」


奥の個室みたいな所で身体のサイズを測る。


「はぁ、見事なたわわですねー。」


あ、ちょっと。 つんつんしないで。

んもう、真面目に測ってよー。

ダメだったら。

メッ。


「だってぇ。」


「だってじゃありません。 もう、真面目に仕事して下さい。」


「もう~、ツンデレさんね。」


違うから!

いっこもデレてないから。


「測定終了です。 出来上がりまで7日掛かりますが宜しいですか?」


はい、大丈夫です。


「では、前金で全額頂きますね。」


前金なの?

前世では品物の受け取りと引き換えに代金を支払うのが普通なんだけど。

でも……あ、そっか。

冒険者って危ない仕事だし、いつ怪我するとも命を落とすとも分からない。

注文したけど怪我したからもう要らないなんて言われた日にゃ堪ったもんじゃないもんね。

だからこその前金制度なのか。

それなら納得。

私はこちらのルール通りに前金で全額支払う。

郷に入っては郷に従えだもんね。


「ちょっと聞きたいんですが。」


金属だとか布とか木工関係とかの素材を扱うお店って知りませんか?

ちょっと欲しい物があるのよね。

それも素材の状態のが。


「それでしたら、お店を出て辻馬車で職人街までって言えば行けますよ。 でもそんな所にお嬢さんが欲しがる物なんてあったかしら。」


あるのよ、それが。

鋼鉄と鉛のインゴットよ。

これがあると作れる物の幅が広がるのよ。

例えば、武器とか武器とか武器とか。

他には鉛弾とか鉛弾とか鉛弾とか。

石礫じゃ威力が弱いからこれを何とかしたいのよ。


武器屋のお姉さんに教えて貰った通りに辻馬車に乗り職人街に行く。

料金は銅貨3枚だったので思ったより近いのかもしれない。

結果から言うと、鋼鉄のインゴット小金貨1枚分と鉛のインゴット小金貨1枚分買っちゃった。

オジさんすんごい驚いてたけど最後はニコニコ顔だった。

沢山買ってくれたお礼にってあまり使い道のない何だか良く分からない金属を少しだけ貰った。

後でこれが何なのか調べないと。

他にはコットンボールを追加で少し買って、コルクも買った。

コルクは使い道があるからね。

あと、そんなに透明度の高くないガラス板を買った。

大きさはA3用紙くらいの大きさで1枚小銀貨5枚もした。

高っ!

でもガラスは欲しかったから取り合えず10枚程買っておいた。


これにて本日の買い物終了~。


ふう、めっちゃ買ったなぁ。

買い物楽しんじゃった。

私は満足じゃ。


これだけ買い物したのに所持金は増えてるのよね。

それもこれも全部くーちゃんのおかげ。

本当に感謝しかないわ。

今度また一緒に森で狩りでもして遊ぼうね。









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