第5話 拝啓 女神様、スキル盛りすぎじゃないですか?
今日 私の息子が家出した。 でも、代わりに娘が出来てた。
下品でごめんなさい、オルカです。
さて、ステータスの確認なのだが、なんかもうとんでもない事になっておりまして……。
スキル盛りすぎでどこから突っ込めば良いのやら。
きっと女神様頑張りすぎたんだろうな。
ちょっとポンコ……こほん……真面目そうだったからな。 うん、そう言う事にしておこう。
名前、これは特に問題なし。 自分で設定したからな。
まぁ、最初に名前を設定するってこと自体が問題なのだがそれは言わないでおこう。
種族、半神ってなんだ。 デミゴッドではないか。
これ、半分は人間ではないって事だよな。
やはりあの時の肉体再構築の際、女神様が自身の一部を使ったのが原因か。
それに界渡り人。 要はそれって異世界人って事だろ。
これって種族か? どちらかと言うと【称号】に近いと思うのだが。
職業、無職。 これはいい、実際そうだし仕方ない。
だがっ! 巨乳と美少女。 こんな職業あるかーいっ!
年齢、13歳。 若返りすぎだろ。 全然少しじゃないじゃないか。
HP、100/100 これはどうなんだろう。 数値として高いのか?低いのか?
この世界の普通が全く分からんので何とも言いようがない。
MP、500/500 うん、これはハッキリ分かる。 可笑しすぎる。
HPが100/100なのにMPが500/500って。
これって魔力量とかそんなんだよな。
魔力量が多いのは嬉しいがバランス悪くね?
さて、いよいよお待ちかねのスキルのお時間ですよー。
ここからは突っ込み放題ですよー。
言語理解、これはいい。 女神様に頼んだから。 あると便利、無いとこの世界で生きていけないから。 ある意味必須。
創造魔法、はいヤバイのが来ました。 完全にぶっ壊れスキル。
これも女神様に頼んだんだけど、魔力燃費が悪いとか何とか。
燃費の悪さのせいで使いどころの難しい魔法である事を差し引いてもとっても有用な魔法だと思っている。
スキル獲得優遇、魔法の才能、芳香異体、これらは頼んだ訳でもないのに女神様がサービスで付けてくれた。
女神様サービスいいね♪
スキル獲得優遇と魔法の才能は文字通り、スキル獲得がしやすいとか、魔法を扱う上で色々と恩恵があるとかそんなの?
芳香異体。 これはヤバイよな。
巨乳、美少女、芳香異体。 やっかい事の香りがぷんぷんするわ。
あん?、芳香異体って何かって?
芳香異体ってのは、生まれながらにいい香りのする特異体質の事。
汗が香水のような物って言えば分かりやすいか。
歴史上でも芳香異体と思われる体質の人は沢山居て、楊貴妃・西妃・香楊・光源氏・聖徳太子などなど。
こうゆう方々はとにかくおモテになったとか。
いや、私は身体は女性でも心はオッサンだからな、別に男になどモテなくてもいいのだよ。
私は可愛い女の子とキャッキャウフフ出来ればそれでいいのだ。
次いこう、次。
お次はストレージ。
これも今回のぶっ壊れスキルの中の1つだ。
時間経過無効と時間経過有の2つで、容量は2つ合わせて地球1個分相当。
そんな膨大な容量使いきれんわ。 実質無制限と同じだよな。
ここまでがユニークスキル。
ユニークスキルとは1人だけ、もしくはごく少数の人だけが持つ希少なスキルの事。
そんな希少なユニークスキルを6つも持つ私は一体?
こんなのが知られたら絶対にヤバい! いろいろと悪い組織に狙われたり、王侯貴族に取り込まれたりと碌な事にならないのが目に見えてる。
だからこれは何がなんでも秘匿事項だ。 秘匿だ、隠蔽だ。
ここからは通常?スキルの紹介。
マッピング LV1
これはもう言わずと知れた地図作成スキル。 自分が行動した場所は自動で記録してくれる便利スキル。
鑑定 LV1
これがあればそれだけで商人として大成出来ると言われるほど商人垂涎のスキル。
魅了 LV1
そのまんま、相手を魅了するスキル。
こんなん別に欲しくはなかったんだがな~。
巨乳・美少女・芳香異体・魅了。 危険な4連コンボの完成。
豪運 LV777
幸運→強運→豪運
運関係スキルの最上位スキル。 しかもラッキーな事にトリプル7。 やったね、確変!
魔法属性適性:全属性
これもぶっ壊れスキルの1つ。 女神様のご厚意により100万人に1人の全属性持ち。
一番易しい魔法は生活していく上で使えるとちょっと便利。
例えば、着火とか飲み水とか色々。
最後に女神様からの贈り物
女神の祝福
HP/MP 自動回復(小)
毒・麻痺・呪い・魅了・混乱等の状態異常耐性(小)
これも大概ひどいチートだよな。
スキルの確認してるだけで疲れがどっと押し寄せて来た。
有用なスキルはあるに越したことはないがありすぎて困るってどうなんだ?
まぁ、いいけど。 折角なので有難く使わせて頂きますけどね。 はい。
魔法やスキルの効果の確認はあとでやるとして、次は持ち物検査だな。
持ち物検査、なんか懐かしい響き。 学生の時以来か。
「さーて、オルカちゃんはなぁにを持ってるかなぁ」
イカン イカン。 怪しいオッサンに戻ってた。
私は今日から女の子になったのだから喋る時は口調も女の子風味になるよう努めなければ。
持ち物と言っても特に何も持ってなく、衣類も今来ているものだけ。
生成り色のごわごわした厚手の生地のシャツに外套を羽織っていた。
ぴっちりとした革製のパンツに、足にはくるぶしまで隠れるショートブーツ。
これが今の私の格好だ。
これがこの世界の旅人の標準なのだろうか。
だとしたら随分と軽装な気がしないでもないな。
普通ならバックパックでも背負っている所なのだろうが何も持っていない。
それはつまり地球にはなくてこの世界にあるもの。 収納スキル。
ストレージに入っていると言う事なのだろう。
さて、ここで問題。 ストレージってどうやって使えばいいんだ?
口に出して発音するのか? それとも頭の中で念じるだけでいいのか。
「ストレージ」
するとステータスと同じように視界の中にホログラムのようにストレージに入っている物の一覧が見えた。
なるほど、こうゆう風に見えるのか。
頭の中で「閉じる」と念じるとストレージの中身を表示した画面がフッと消えた。
今度は頭の中で「ストレージ」と念じればさっきと同じように視界の中に画面が現れる。
「閉じる」
と呟くと、視界の中のストレージの中身を表示した画面が消える。
ふむふむ、使い勝手は悪くないと。
では、女神様からのプレゼントを見てみるか。
ぴっちりとした革製のパンツ 替え1本
ごわごわした麻糸のような厚手のパンツ 2本
ごわごわした厚手の生成り色の服&濃い茶色の外套 替え2着
手触りの悪い生成り色の下着(上下) 替え3セット
くるぶしまで隠れる革製のショートブーツ 替え1足
革製の胸当て
革のベルト
指先の開いた革製の手袋 2つ
鉄製のナイフ 1本
ごわごわした布 5枚
テント 1つ
毛布3枚
魔石
食料(干し肉・水・果物)
木で出来た皿 2枚
小銀貨20枚(200,000)、大銅貨100枚(100,000)、中銅貨100枚(10,000)
あとは、シャツの内側に、革紐で繋がれた市民カードが首にかかっていた。
女神様が「これがないと街に入れません。」と言っていた市民カード。
シャツの内側から引っ張り出して見てみると、
名前 オルカ・ジョーノ
出身国 ヤポヌ
年齢 13歳
ギルドランク ――
これはこれは。 何から何まで。
当面の生活に役立つ物ばかりだな。 助かるわ。
食料とお金と衣類。 これだけあれば街まで行くのに何とかなりそうだ。
ストレージから革製の胸当てを取り出してみる。
胸当てをポイントしながら「取り出し」と念じると目の前の空間にいきなりポワンと胸当てが出現した。
うおっ! 出た。 ストレージすごっ!
物をストレージに仕舞う時は収納したい物に手を触れながら「収納」もしくは「ストレージ」と言うと収納出来る。
革製の胸当てが目の前からヒュンと消えた。
次は取り出したい物をイメージしながら「ストレージ」と言うと、目当ての胸当てを取り出す事が出来た。
ストレージ便利すぎだろ。
同じように革の手袋と革のベルト、鉄製のナイフをイメージしながら「ストレージ」と頭の中で念じてみる。
すると目の前にぽふんと革の手袋と革のベルト、鉄製のナイフが出てきた。
まじスゲーわ ストレージさん。
ベルトを腰に巻き、鉄製のナイフを左腰に下げる。
一旦外套を脱ぎ革製の胸当てを付けたら指先の開いた手袋をはめてまた外套を羽織る。
市民カードを失くすと大変なのでカードに触れながら「収納」と呟き一旦ストレージに仕舞う。
ところで時刻は今何時ごろなんだろうか。
お陽さまは高い位置にあるので朝と夕方でない事は確かだ。
ただ、この世界が地球と同じだとは限らない。
今は昼間であると言う事だけしか分からない。
ぐうぅぅぅ~
あら、いやだ、私としたことが。
お腹が鳴ってしまいましたわ、おほほほ。
って、慣れん言葉使うもんじゃないな。
ま、おいおい慣れていけばいいさ。
そう言えば死んでから何も食べてなかったもんな。 当たり前だけど。
そりゃお腹も鳴るよな。
ここらで軽く腹ごしらえでもするか。
「ストレージ」
私は呟いて干し肉と果物をストレージから取り出した。
まずは、手を合わせて「いただきます。」