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第35話 お風呂でぷるるん ②

お待たせしました。

プチサービス回です。


お風呂場の脱衣所に着いた所でやっと解放された……と思ったら手をワキワキとさせながら寄って来て服を脱がしにかかる。

ななななな、何やってんのーっ。

自分で脱げるから!

手伝わなくていいから、ね。

あ、ちょっと そんなとこ触らないで。


あん。


だめ。


そこは ダメだったら。


「真っ赤になってるぅ~。」

「可愛い~♪」

「おねーさんがいろいろ教えて あ げ る。」


ね、ほんとお願い。 もうダメだったら。

……んっ。

声が出そうになるのを下唇を噛んで我慢する。

あ はぁぁ。


「はぁ、すごく色っぽい……ごくり。」

「なんかここがキュンてなっちゃう。」

「おねーさんを誘うなんて悪い子♪」


誘ってない、全然誘ってないし!

うがーっ!

身体強化5倍にしてみんなを振り払って逃げた。


「ぜーはー。 はー はー。 に 逃げれた。」


良かった逃げ切れた、あのままだと私ダメになってたかも?!

別にイヤではないけれど心の準備が ね。

まだダメ 今はまだね。


すでに疲れちゃった。

お風呂入るのもうヤメようかしら。

でも汗かいたしお湯に浸かりたいし。

ぐずぐずしてたらまた捕まっちゃうからさっさと中に入らないと。

ぐるるる。

私は周りを警戒しながら手早く脱ぐとマイ手桶と手作り石鹸、バスタオルと普通のタオルを持ってお風呂場へ急いだ。

服を脱いでる最中もずっと見られ続けて、


「服着てても脱いでも綺麗なのね。」

「天使よ、私天使を見たわ。」

「はぁぁ、お持ち帰りしたい。」

「タ タオルからはみ出してるっ!」


なんか色々と不穏な台詞が聞こえてきたけど無視してお風呂行こう……。

私が移動するとカルガモの親子みたいに皆ぞろぞろと後を付いて来た。

ビタッと立ち止まって後ろを振り返ると皆も立ち止まる。

「だるまさんが転んだ」じゃないんだから……。

気にしない。 気にしたら負けよ。


何ひとつ見逃すまいと、一挙手一投足をつぶさに見られてる。

ふぇーん、周りの女性陣の熱視線がイタいよぉ~。

とにかく、まずは深呼吸。

すーはー すーはー


全然落ち着かないっ!


そこっ! 真似しないで!

あー もう。

ここまで来ると諦めの境地よ。

もういい。 気にしない。

まずは桶に少し掬って水でうめたら掛湯する。

ふう、気持ちいい。

本当は一度先に浸かって身体を温めてから洗ってもう1回浸かりたいとこなんだけどね。

それしちゃうとお湯が冷めちゃうからさ、温めるのに火魔法使うとそれはそれで面倒事になるから。

だから掛湯を2・3回したら身体を洗う事にする。

タオルを濡らして自家製のハーブ石鹼を包んでゴシゴシ。

あまり泡立ちは良くないけどそれでもそこそこの泡は出来てる。

それにふわりと香るハーブの芳香が鼻腔をくすぐる。

泡の付いたタオルで身体をさわさわと洗ってゆく。

首、肩、腕、身体、順番に丁寧にゆっくりと焦らすように。

脚もつま先から太ももまでマッサージするように揉み込みながら洗う。


ふわぁ、ハーブの香りに癒される~♪

気づくとお姉さんたちが近くに寄って来ていて


「すんすん いい匂い♪」

「それに泡立ちもすごくいいみたいだし。」

「それ、どこで売ってたの?」


女性だもの、やっぱり美容関係には興味あるよね。

これは私の手作りなの。

いい匂いなのはハーブを使って香りづけしてるから。

だから残念ながらどこにも売ってないの。


「使ってみます?」


「「「いいの?」」」


ええ、予備にまだいくつか持ってるから。

お姉さん方は我も我もと石鹸の争奪戦を繰り広げている。

石鹸1個を犠牲にしたけど、これでゆっくり出来るわ。

我ながらナイスアイディアね。


「すごーい、泡立ちが全然違う!」


とか


「すんごいイイ匂い。」


とか


「これで私もあの子みたいになれるんだぁ」


とか……

いや、それはちょっと流石に石鹸の領分を超えてると思うけど。


皆の意識が石鹸に向かってる間に身体を洗ってしまう。

はー サッパリした!

やっぱり石鹸で洗うと違うねー。


髪の毛は昨日と同じく湯シャンする。

やっぱりシャンプー必要よね、作ろうかな。

シャンプーの組成ってどんなだったかしら?

取り合えずでいいなら、自分で作った手作り石鹸を削って石鹸水作って香油を入れればOK。

けどやっぱりそれ用の植物油が欲しいところね。

今度探してみよう。

髪の毛を洗い終わったのでタオルを頭の後ろから前に回してクロスさせて髪の毛を包んで頭の上でぐるぐる巻きにしたら完成。

背筋をピンと伸ばして胸を張るように両腕を上にあげながら髪の毛をタオルで包んでいると


「見た? いま揺れたわね。」

「ええ、揺れたわ。 ぶるんぶるん て。」


ぶるんぶるんって何よ。

いや、確かに私は巨乳だけど垂れてはないからね。

だから「ぶるん」ではなくて「ぷるるん」が正解なのよ。

とは言えジッと見つめられるのも恥ずかしいので両腕を交差させて胸を隠しながら


「見ないで。」


って言ったらお姉さん方も真っ赤になって胸を押さえながら「はうっ。」とか呟いて照れ照れになってた。



身体も髪の毛も洗ったしそろそろお湯に浸かろうかな。

けど周りにこれだけ人が居ると脚を開いて湯壺を跨ぐのはちょっと恥ずかしいな、なんて思っていると他の人たちは意外と気にしてないのか皆ガバッと脚を開いて跨いでいた。

わーお、結構ワイルド。

いま間違いなく見えたわよ。 何が? とは言わないけど見えたものは見えたの。

私は恥ずかしいので、前をタオルで隠しながら脚を折り曲げてそぉーっと閉じるようにして楚々と跨いだ。


「気持ちいい~♪ お風呂ってサイコー。」


はぁ、1日の疲れがお湯に溶けてゆくみたい。

周りを見るとお姉さん方も目を閉じリラックスしている様子が良く分かる。

お風呂が気持ちいいいのは異世界も同じね。

腕を伸ばし肩より少し高い位置に上げてお湯をかける。

前世ではこれをやったら妻から


「ちょっと、カオくん私より女っぽいんだけど?」


なんて言われたっけ。

それが今じゃ正真正銘の女の子、しかも美少女で巨乳だなんてね。

世の中何が起こるか分からないものね。


じんわりとしたお湯の温かさを堪能して私はお風呂から上がった。

バスタオルで身体を拭いて今日買って来た真新しい下着を着ける。

今までのと違って色が付いてるってだけで嬉しい。

皆もまぁ似たような下着ばかりだから私だけが目立つって事はなかった。


頭に巻いていたタオルを外したら手作りヘアブラシでブラッシング。

ええっと、確かブラッシングって毛先から先に梳かすのよね?

いきなり根元から通すと絡まったり引っかかったりしやすいからダメだったはず。

少しづつ少しづつ。

髪の毛にダメージを与えないように細心の注意を払いながらブラッシング。


「美人って何をしてても様になるのねー。」

「へー、そうやるんだ。 私なーんもせずに乾かすだけだったぁ。」


とか、


「そんな形の櫛って初めて見たかも。 やっぱりそれも手作り?」


やはりと言うか想像通りと言うか、注目を浴びまくってる。

もうね、ずっとこの展開が続いてるからいい加減慣れてきちゃって、


「お風呂頂きました。 先に食堂へ行ってますね。」


そう言って皆の視線をすり抜けるようにして脱衣所を出て食堂に向かった。




「お風呂頂きました。 すごく気持ちよかったです。」


パトリシアさんの姿が見えたのでそう言いながら食堂に入ると、木のコップが16個並べられてるのが目に入った。

準備万端ってとこね。

お風呂入る前に作っておいたキンキンに冷えた氷水に追加で氷を足して、並べられたコップに魔法で氷を入れてゆく。

私のは自前のコップに氷水を入れて、果物は名前は忘れたけど洋梨みたいなのの果汁を入れた。

私はコップをくゆらせながら果実水を冷やしてゆく。

そろそろ飲み頃かなって頃に皆もお風呂から上がって食堂にやってきてコップが並べられたテーブルの周りに集まってきた。


「皆さんお集まりのようですし、準備しますね。 すぐ出来るのでそのままお待ち下さい。」


私はそれぞれのコップに果汁を入れて手渡してゆく。

皆に行き渡ったかな?

では、飲みますか。


「じゃあ乾杯の音頭をお嬢ちゃんに頼もうかね。」


は? パトリシアさん何言ってるの?

ただの果実水飲むだけで音頭いる?

しかも、恐らくだけどこの中で私一番年下だよ?


「そんなんでいいの?」


「いいのいいの。 固い事ぁ言いっこなしさね。 こんなもんは気分なんだよ気分。」


なんだか良く分からない理由だけどこの宿の女将さんがそう言うんだからいいのか な?

うーん、音頭ってイマイチ苦手なのよね。

上手く言えるか自信ないけどって念押しして私は立ち上がって右手にコップを持ち、


「こほん。 えー、本日はお日柄も良く……」


「何言ってんだい、結婚式じゃないんだよー」


パトリシアさんがそう言うとみんなドッと笑う。


今日ここに、この宿に集った人たちとの一期一会の出会い。

今のこの瞬間を大切にし、


「皆さま方に幸多からん事を祈念して、乾杯!」


「「「「「「「カンパーイ!!!!」」」」」」」


お風呂上りの火照った身体に冷たい果実水が心地いい。



歓談はしばし続き異世界の夜は更けてゆく。

明日はいよいよ領都へ向けて出発ね。

今日は早く寝ようっと。




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