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第168話 好きが溢れちゃう

朝小鳥のさえずりで目が覚める。

いつもなら気持ちのいい目覚めって言う所なんだけど、昨日の晩あんな事があった為気持ちが高揚してなんかイマイチ寝られなかった。

なので完全に寝不足。

眠りが浅いって言うか、寝てもすぐに目が覚めっちゃって夜中に何回も目が覚める。


ふあぁぁぁ、あくーび。


んーっ! んはーっ!

両手を上に上げ背中を軽く反らしてぐぐーっと伸びをする。

はぁぁ。


よっし! 起きるか!

軽く気合を入れて私はベッドからピョンと降りる。

寝間着を脱いで軽く洗浄と乾燥をかけてからストレージに仕舞って仕事着を取り出してそれに着替える。

ジーンズにスニーカー、上は長袖シャツを着てその上にパーティーの正式装備の防具とローブを身に着けて、腰には拳銃を。

この防具とローブほんといいな。

めっちゃ可愛いのよ。

作って正解だったわー。

身嗜みに可笑しな所はないかひと通り確認してからいつものステータスチェックをする。



名前  オルカ・ジョーノ(城之内 薫)

種族  半神 界渡り人

職業  冒険者 テイマー 巨乳 美少女

称号  風使いの魔女 黒髪の戦姫 魔物たらし 女たらし 

年齢  13歳

HP   134/134

MP   71、596/71、596

ユニークスキル

 言語理解

 創造魔法

 スキル獲得優遇

 魔法の才能

 芳香異体

 ストレージ /時間経過無効1つ・容量制限有(地球一個分)・時間経過有1つ

スキル

 魔法 火  LV7

 魔法 水  LV7

 魔法 風  LV10

 魔法 土  LV7

 魔法 木  LV7

 マッピング LV7

 鑑定    LV8

 分析    LV8

 魅了    LV10

 誘惑    LV8

 房中術   LV2

 気配遮断  LV8

 忍び足   LV7

 隠蔽    LV7

 探知    LV7

 探索    LV7

 索敵    LV7

 警戒    LV7

 木材加工  LV8

 金属加工  LV8

 食肉加工  LV6

 魔道具作成 LV7

 魔法付与  LV6

 スキル付与 LV1

 採取    LV7

 採掘    LV5

 並列処理  LV7

 解体    LV7

 料理    LV8

 服飾    LV6

 魔力操作  LV8

 狙撃    LV8

 身体強化  LV8

 格闘術   LV2

 剣術    LV1

 調合    LV1

 豪運    LV777

従魔

 葛の葉(妖狐) クイーン・スライム


女神の加護

 HP/MP 自動回復(中)

 毒・麻痺・呪い・魅了・混乱等の状態異常耐性(中)



スキルLV的にはあんまり変わってない、ここまで高LVになると流石に伸びは鈍化するのね。

それでもいくつかは伸びてるものもあるし新しく覚えたスキルもあった。

それよりも吃驚したのが、『女神の祝福』が『女神の加護』に変わってた事。

それによりHP/MP自動回復と毒・麻痺・呪い・魅了・混乱等の状態異常耐性が(中)になってた。

おそらくこれは昨日ミリア様から『祝福』を賜ったからだと思う。

他にはMPが71、596もある!

71、596だよ71、596!

魔力量が宮廷魔術師40人分相当ってそれもう普通じゃないから。

しかも今も変わらず魔力量は伸び続けている、もうこれ絶対可笑しいって。

原因としては私の身体を構成する要素としてアリア様の身体の一部が使われているからだと私は思っている。

て言うかそれしか考えられないもの。

うーん、私がどんどん人間から離れて行っているような気がするんだけど。

これ何気に問題あるよね?



それはさて置き朝食を食べに食堂へ向かう。

今日はカミラさんにちょっと無理を言って食堂の厨房を使わて貰った。

ドロシーに食べて貰いたくて今日のお昼ごはんは腕によりをかけて作る。

薄い茶色の柔らかくて庶民が食べるにはちょっとお高いパンに薄切りにしたキュウリとタマゴを挟んだ玉子サンドだ。

キュウリの緑と玉子の黄色が目にも鮮やかでとても美味しそう。

玉子は茹でて潰したのに塩胡椒とマヨネーズ、それに粒マスタードを入れてある。

勿論リズたちの分もあるよ、リズたちも大切な仲間なんだからそんな仲間はずれになんかしないよ。

パパっとお昼ごはんを作ったらそれをストレージに仕舞ってくーちゃんたちの所に行って出発だ。

さ、ドロシーを迎えに孤児院へ行くとしますか。



いつもよりもちょっと早く宿を出たので通りには人影もまばらだ。

けどそれももう少ししたら仕事に向かう人でいっぱいになるんだよね。

こっちの世界でも通勤ラッシュ、まぁ殆ど徒歩だけど、は変わらない。

くーちゃんたちを横に従えて私はドロシーの待つ孤児院へと歩を進めた。



孤児院の前に着いた、けれどドロシーはまだ出て来てない。

ん?

あれ?

おっかしーな。

ドロシーが約束を忘れるなんてある筈ないし、どうしたんだろう。

もしかしたら寝坊しちゃったとかかな?

ま、それならそれで別にいいけど。

誰だって寝坊くらいするものね。

そんな事でいちいち怒ったりしないよ。

ただここで待っててもアレなので中に入ってドロシーを起こしに行こうか。

まず向かったのは朝ごはんを食べに誰かしら居るだろうと思って食堂へ行ってみた。

食堂へ行くと予想通り子供たちが居たのでドロシーがどこに居るのか聞いてみると院長先生に呼ばれて部屋に行っていると教えてくれたのでエラちゃんに院長先生の執務室へ案内をお願いした。

でも何で院長先生呼ばれたんだろう。

引継ぎの件かな?

もうすぐお屋敷の引き渡し、まだ正式に決まった訳ではないけど、あと7日程で褒賞のお屋敷のリフォームが終わって引き渡しになる予定だ。

もしかしたら引き渡しまでに引継ぎが終了しそうになくて相談してるとか?

そんな事を考えている内に院長先生の部屋の前まで来た。


「いんちょーせんせー!」


元気なエラちゃんの掛け声に反応してギギッと音がして扉が開いて院長先生が中から顔を覗かせる。


「あら、エラどうしたの? 朝ごはんはもう食べたの?」


「院長先生おはようございます。 ドロシーがこちらに来ていると伺ったもので……。」


院長先生とエラちゃんが話してるのに間に割り込む様で申し訳ないけどドロシーを迎えに来た旨を告げる。

エラちゃんには途中で遮っちゃってゴメンねと謝ると、笑顔で大丈夫と返事してくれた。

エラちゃんていい子だねー。


「エラありがとう、もう戻っていいわよ。 では使徒様はこちらに。」


院長先生に招き入れられて部屋に入ると困ったような顔をしたドロシーがソファに座っていた。

私の姿を見つけてパァッと笑顔になったあと「助かったー」みたいな安堵した顔をしたドロシー。

んー?

何か困った事、問題でも起きたのかな?とそう思っていたら実は違ってた。


「さて、使徒様。祝福やその他諸々きちんとご説明願いましょうか!」


ゴゴゴゴと音が聞こえるんじゃないかって程の圧でもってグイグイと説明を求められる。

あー、やっぱそうですよねー。

だって昨日までただの孤児だったドロシーが一夜明けたら『祝福』持ちですもんね、そりゃ説明しろってなりますよね。

私が院長先生と同じ立場だったら同じように説明しろって言うと思いますもん。


かくかくしかじか。


私とドロシーが転生者でしかも夫婦だったってのはボカシにボカシて、アリア様にお茶に誘われたって事にした。

その時にたまたま一緒にいらしたミリア様も同席して4人でお茶をして、なぜか女神様に気に入られて『祝福』を賜った。

と説明したけど、これで院長先生は納得してくれるかしら。


多分納得してくれないわよねぇ……


でもそこは大人の対応でそれ以上は深く追及される事は無かったので良しとしましょう。

ただニコニコ笑顔の院長先生の何か言いたげな顔がちょっとだけ怖かったけれど。

場の雰囲気を変える為なのか「それはそうと」とパンと手を打つ院長先生。


「使徒様がお二人になられたので今後はどうお呼びすれば宜しいのかしら?」


どう呼ぶも何も本音は『使徒様』でなくて普通に名前で呼んで欲しいところなんですけどね。


「それでしたらこれまで通りでいいんじゃないかと。ドロシーも院長先生に『使徒様』って呼ばれるのもアレでしょうし。 だよね?」


院長先生にそう言ったあとドロシーの方を向いて「だよね?」と言えばドロシーはブンブンと首を縦に振る。


「そうで御座いますか。 せっかくこの教会から二人も使徒様がと思って喜んでいたのですが……。」


残念そうにガックリと肩を落として項垂れる院長先生を見るとちょっと可哀相とは思うけれど、ドロシーの気持ち的には ね。

これまで通りドロシーはドロシー、私はまぁ諦めます、もう『使徒様』でも何でもいいですから。

ここの子供たちもそうゆう認識だしそう言ってくれてますし、それを否定してまでとは思ってませんし。

院長先生的にはもっと色々と聞きたい事があるようだった、例えばミリア様の事とか好みとか性格とか姉妹の関係は良好なのかとか、兎に角そんな色々な事。

とーっても名残惜しそうにしていたけれど私は暇を申し出てドロシーを連れて孤児院を後にした。


ふー。


脱出成功ね。

ドロシーを見ると若干疲れたような顔をしている、余程院長先生の追及が厳しいかったのかな?

お疲れ様ね。

それから私たちは冒険者ギルドへ向かって並んで歩きだす。

心なしかいつものドロシーと何となく、何処となく何かが違うような気がする。

何と言うかちょっとだけ遠慮してると言うか距離が空いていると言うか。

そしてチラチラとこちらの様子を伺っているのが分かる。

ふむ、ドロシーに見られているわね。


「なぁに?」


右隣りに居るドロシーの方へ顔を向けニコリと笑うと頬をピンクに染めたドロシーが「何でもない」とツイと前を向いてしまう。

なにその可愛らしいツンは。

そしてまたこちらを伺うようにチラチラと視線を向けて来る。


「ねぇ。」


「ひゃいっ!?」


ビクッとしてドロシーが変な声を発する。

そして「なななな なに?」と挙動不審に。

えぇっと、人見知りな子が突然意中の人に声を掛けられて吃驚しちゃって変な声を出して挙動不審に陥ってる図みたいな感じ?

いや流石にそれは……。

私とドロシーは友達以上恋人未満だよ?今世に於いてはだけど。

まぁ前世は夫婦だった事が確定だし、何なら両想いも確定で間違いないしね。

それなのに何をキョドってるのやら。

私もね、ドロシーがルカだった事が分かって嬉しいよ。

ううん、そんな簡単なもんじゃなくてすごーく嬉しいよ。

嬉しさと同時にちょっと照れくささもある。

でも嬉しい、でもちょっと恥ずかしい。

そんな感じ、微妙な乙女心ってやつよ。

ドロシーは今もチラチラとこちらを伺うも嫌悪感は見られず、むしろその瞳は熱っぽく潤んでさえいる。

時折聞こえる「はぁ」とか「ふう」と言う艶っぽい声が聞こえたりする。

これはアレか。

これまではとっても仲の良い同じ異世界からの渡り人の女の子って認識だった私だけど、実は前世で死に別れた旦那だと判明した為に昔の想いが急に溢れて来て戸惑っていると。

きっとそんな感じなのだろう。

では私は何も思う所がないかと言うと全然そうではない。

私も実は想いが溢れて色々と漏れそうではある。

だてにお漏らしさんと呼ばれている訳ではないからね。


「なんか……」


「なんか? なぁに?」


何かを言い掛けてヤメるドロシー。

今何を言おうとしたの?

気になるんだけど?

続きを待っているとおずおずとドロシーが喋り始める。


「ううん、何かホントにカオくんなんだなぁって。 ほら、私先逝っちゃったじゃない?それが申し訳なくてさ……。 でもこうしてまた会えるなんて。最初オルカ見た時にカオくんに似てるなぁって。そんな訳ないそんな訳ないって自分に言い聞かせてたんだけどオルカがカオくんだったらイイなってのもあって。一緒に過ごすうちにもしかしたら?って思いと、それはナイって気持ちがごちゃ混ぜになって……私なに言ってんだろ、訳分かんないよね。」


「ううん、大丈夫。慌てなくていいから、ゆっくりでいいから話して。」


「あっ、それ。 前もおんなじ事言ってくれたよね。 やっぱりカオくんだぁ。」


そう言って照れて頬を朱に染めはにかむように笑うドロシーの笑顔に胸がキュンとなる。


「ルカ」


「なに?」


「おかえり。」


「っ! ただいま!」


瞳に涙を浮かべたドロシーの笑顔が喜びにはじけた。

最愛の人の笑顔見ると私も嬉しくなって同じように笑顔がこぼれる。

私たちは見つめ合ったあと、急に気恥ずかしくなって私は空を見上げてポリポリと頬をかく。

ドロシーは真っ赤になって俯いて、でも口元がニヨッてなってるのが見えた。

それから私たちはいつもよりかなりゆっくりと歩いて冒険者ギルドへ向かう道すがら沢山沢山話をした。

遠慮がちにどちらからともなくそっと手と手を繋ぐ。

しっかりと指を絡める恋人繋ぎじゃなくて指先と指先が触れ合うようなそんな可愛らしい繋ぎ方。

ちょっと恥ずかしくてドキドキして。

なんかルカと付き合い始めたばかりの頃を思い出してしまう。

別に引っ付いてたって問題ないにのに何故かいつもより拳ひとつ分くらい距離を空けて歩いてしまう。

いつもとは微妙に違う距離感。

変なの。

分かっちゃいるんだけど気恥ずかしくてつい ね。

ドロシーもそうなのか同じように顔を赤らめて恥ずかしそうにしている。

なんか中学生みたいだなって思ってしまう。

時々視線が絡み合って恥ずかしくなって横向いて。

また見つめ合って笑って、照れて。

そんな事を繰り返してる内に冒険者ギルドが見えて来た。


あー、もう着いちゃったか。


思わず口に出てたみたいで「ホントだね、もうちょっとゆっくりしたかったね。」とドロシーが返事をする。

そしてお互いに顔を見合わせて「ぷ。」と噴き出して笑い合う。

ちょうど冒険者ギルドの前の通りの所でリズとメロディが立っているのが見えた。


「おおーい、おはよう!」

「おっはよー!」


リズとメロディが手を高く上げ元気よくブンブンと振っている。


「じゃあ行こっか。」


私はドロシーに声を掛けて手を繋いだまま二人の方へ歩いてゆく。






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