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第144話 制式武器を支給するよ

ドロシーによるお説教を受ける私。

こんなにいい物を作ったのにお説教を受けるとは何ともな気分。

確かにむやみやたらと使うもんじゃないのは分かってるけど自分の身を護るって意味ではこの銃ってとても有効だと思うんだよね。


「ほら、いつまでもモゴモゴ言わないの。」


ドロシーにそう言われながらリズとメロディの所に戻る。

これから銃の使い方の説明をしないといけないからね。

私が作ったこれらの銃はあくまで護身が主な目的で、狩りには使えなくはないけどあまり向いてない。

その辺の事をきちんと伝える必要がある。


「オルカがまた何かやらかしたのだけは分かったけど、実際これってどう使うの?」


私がまたやらかしたって。

またって何よまたって。

私そんなにいつもいつも何かしでかしてるとでも思ってるの?

失礼しちゃうわ。


「……。」


ドロシーがジト目で見てる。

どうやら私の考えてる事などお見通しのようだ。

分かりましたよ、説明ですね説明。

はいはい。


テーブルの上に並べられているベレッタ改2の中から自分専用のを掴んで「この武器は拳銃と言います。」と前置きしてベレッタ改2の使い方の説明を始める。

それぞれ各人の前に並べられたベレッタ改2はその人専用で他の人は使えないようにする為に最初に魔力の登録をする。

事故防止の為にもこれとっても大事。

製作者が私なので、言ってみればPC関連のアドミニスターみたいなものかな。

管理者である私が許可しないとそれぞれのベレッタ改2は誰も使用できないので、まずはその使用権限を各人に割り当てる事から始める。


「じゃあ、みんな自分の前に置いてある拳銃を手に持ってくれる?」


銃を持っている手に私の手をそっと重ねて私のほんの少しだけ魔力を流して使用者登録をする。

これだけ。

これでその銃の使用者は管理者である私以外はその魔力を登録した人以外は誰も使えない。

ね、簡単でしょ?


「銃の見分け方は、グリップの色がそれぞれの髪色になってるのと、グリップに名前が彫ってあるからすぐ分かるからね。」


そう言うとみんなはしげしげとベレッタ改2のグリップを見て「ホントだー。」って言い合っている。

次から使い方のレクチャーするよ。

誤射防止の為まだマガジンは入れずに空撃ちの状態で説明を始める。


「まず、こうやって手で掴んでスライドを操作して、そうそうそんな感じ。」


私が操作する手順を見よう見まねでなぞってゆく3人。


「でね、グリップを握ってる手を反対の手で下から包むように軽く添えて……」


同じように構えるリズとメロディ。

ドロシーは前世の知識があるから私が言う前からさっさと構えて待っている。


「この切り欠きと銃身の先端のポッチを重ねるようにして目標に合わせて引き金を引く、簡単でしょ?」


そう言いながらカチリと引き金を引く動作をする。

この銃はシングルアクションとダブルアクションの両対応になっている。

それも今ここで3人に説明しておく。

対象に対して時間的余裕がある時は撃鉄を引いて撃つ方が正確性も増していいんだけど、いつも時間に余裕がある訳じゃない、咄嗟の時に一気に引き金を引き切る事も出来るようにした配慮だ。

3人は各々カチカチと撃つ練習をしている。

リズ専用の銃をメロディが持っても動作しない。

その逆もまたしかり。

その銃の登録者以外は使えないって言うのを体感して貰う。

これは安全なんだよってのを理解して欲しいからね。


「「すごーい、ちゃんと認識してるんだー。」」


リズもメロディ感心したように声を上げる。


「安全の為にも万が一賊に奪われても使えないようにするのは必須だもんね。」


続いて弾と弾倉を取り出して説明をする。

まず弾は鉛製で火薬の入って無い薬莢のある形をしている、見た目はまんま9mmパラペラム弾そのもの。

鉛の弾頭にはこの間討伐したバレットアントの外殻を利用してコーティングした所謂フルメタルジャケット様の形となっている。

こうする事で外殻の硬い蟲系魔物でも貫通する事が出来る。

弾倉はダブルカラムマガジン仕様の15発。

なのでグリップ部分は少し太めになっている。


「この弾倉にこうやって順番に弾を詰めるのね。みんなもやってみて。」


私がお手本を見せてみんなにもさせてみる。

最初は軽い力で弾を込める事が出来るのに対して最後の方は少し力がいるけど特に難しい事はないので皆普通に出来ているね。

これを装填したら準備OK。

スライドを操作してっと、さぁ試し撃ちって所で忘れてた。

折角試し撃ちするんだから狙う的が要るよね。

なので10m、20m、30m、と的を4人分設置する。

まぁ、的って言っても木の板を立てて小さい丸い円を書いただけだけどね。

簡易的な的だからそんなもんでしょう。


「的があるでしょ? あれの丸い円に向かって撃つんだけど最初は一番近い的からね。私がしてるのと同じようにやってみて。」


ベレッタ改2を両手で持って構える。

引き金にそっと人差し指をかけ、息を吐いて落ち着いた所で撃つ。


パァーン!


その後連続して3人の銃声も響く。


「「わっ!!」」


リズとメロディは初めての実弾射撃の音と衝撃にビクッとしている。

火薬を使った実弾程ではないにしてもこの風魔法を使った弾も撃てばそれなりに反動はある。

それが腕から肩に伝わった衝撃に2人は驚いたみたい。


「外れちゃった。」


ドロシーは前世での銃と言う物の知識がある為特に驚く事もなく、的から外れた事に悔しがっている。

私はまぁ使い慣れてるからちゃんと当たったよ。

て言うかここで外したら格好がつかないしね。

むしろ外れなくて良かった。

でもそれがリズたちは悔しかったみたいですぐにまた撃ち始める。

もう、みんな負けず嫌いだなぁ。

なんかちょっと微笑ましい気分だよ。


「オルカに出来るなら私にも出来る!」

「そうだ!ドロシーの言う通り!」

「異議なーし!あとは練習あるのみ!」


いや、私でも出来るってそれはちょっと酷くない?

何か最近みんな私に対する扱いが雑だと思うのは気のせい?

最初の頃は何と言うか敬うって言うかさ、もっとこう丁寧だった気がするよ。


「やった、当たった!」


リズが嬉しそうに声を上げる。


「よーし私も!」


メロディも負けじと的に向かって撃っている。

ドロシーは淡々と、本当に淡々と撃っている。

しかもかなり上手い、結構な割合で的に命中してるもん。


「ドロシーが何気に上手い?!」


リズとメロディがちょっと吃驚した後「よーし!」と気合を入れなおしてまた撃ち始める。

そのまま弾倉の弾を使い切る頃には一番近い的には普通に当てられるようになった。

この子たち意外とスジがいいのかも。

なので追加の弾を出して練習させる。

3人ともやれ当たったとか外れたとか言い合って一喜一憂しているのを見るとついつい口元が綻んでくる。

ふふん、美目麗しい美少女がキャッキャウフフしてるのを見るのはいいもんだねぇ。

オジさん嬉しくなっちゃうね、いい目の保養だよ。

ここはひとつ私が手取り足取り腰取り色々とお教えしちゃおうかな。

ほら、ドロシーここを握って……そうとっても上手よ。

指は優しくかけて、人差し指をクイッとそうそう包み込むようにね。

腰は少し落として……なんて言いながら腰から臀部にかけて撫で撫でしたりして。

いいかも!

ドロシー、カモン!


「イヤだって、さっきからメッチャ漏れてるし。」

「あー、またお漏らししてるよ。」

「オルカはさ、おつむにオムツした方がいいんじゃない?」

「お漏らし防止だけに?」

「メロディ上手いねー。」


誰が上手い事言えって言った!

ねー、最近ほんと雑になって来てるよ?

私そんなにダメな子じゃないつもりなんだけど。

そう言ったんだけれどリズもメロディもドロシーも手をひらひらと振って「イヤイヤイヤ」と苦笑している。

なんでそこで苦笑する?

ねー。


「オルカだってその方が親近感沸くしいいでしょ?」

「そうだよー、他人行儀にされるよりよっぽど良くない?」


「それはそうだけど……」


「「「じゃあ、いいじゃない。」」」


笑顔でそう言い切られた。

なんか納得いかないわ。


あ、そうそう。

一応念の為注意事項言っておくね。

この銃は強い魔物にはあまり効かないよ。

兎とかの小動物とかはOK、だけど猪とかになるとちょっと厳しいかな。

頭を一発で撃ち抜けば上手くいったら倒せるけど、そうじゃなかった時は反撃食らうから撃つ時は気を付けてね。

外殻の硬い蟲でも貫通するとは思うけど、これもやっぱり同じように一発でカタを付けないと厳しい闘いになるから。

この、銃って武器は主に対人戦闘用で基本的に魔物には向いてないってのを覚えておいてね。

あと、あくまでも護身用だから身の危険を感じた時以外は極力人には使わない方がいいよ。

使う時は逃げきれない時とか命の危機とか絶体絶命の時だけにした方がいいかも。

これを人に使っちゃうと撃たれた方は高い確率で死んじゃうから。

ただし、相手を行動不能にするのに脚を狙うなどすると効果的だから身の危険を回避したいけど殺したくもないって時にはいいかも。

それも覚えておいてね。

そんなとこかな。

そう言うと3人は神妙な顔つきで「分かった」って頷いてくれた。

あっ、そうそう、大事な事を忘れてた。

弾を撃ったら薬莢が排出されるんだけど、排出された薬莢は出来る限り回収しておいてね。

何でって?

それは再利用する為に決まってるでしょ。

はぁ?ケチくさい?

何言ってるの、資源は有限なのよ?

使える物は回収して再利用しなきゃ勿体ないじゃない。

分かった?



3人には拳銃を入れておくホルスターも支給する。

これを腰のベルトの所に着けておくと使いやすくていいよ。

拳銃が勝手に抜け落ちないように留め具も付いてるから安心。

ローブをしてたら他の人からは腰に着けてる拳銃は見えないから腰に変な物ぶら下げてるって思われる事もないし。

そうそう、予備の弾も要るね。

どれくらいあればいいかな?

取り合えず一人100発くらいあれば足りる?

え? 多すぎる?

でも保管は魔法鞄(マジックバッグ)に入れるんでしょ?

だったら重さは関係なくない?

予備の弾は少ないより多い方がいいじゃない、別にあって困るもんじゃなし。

そう言って3人に渡したけどドロシーは魔法鞄(マジックバッグ)を持ってないのでドロシーの予備の弾は私が持つ事にした。

これもパーティーリーダーとしてのアフターケアよ。

何ならアフターファイブでもいいけど。

宿のお部屋でしっぽりと……。

そう言うと「謹んでお断りさせて頂きます」って笑ってない笑顔で言い切られた。

残念。


これで私たちのパーティーも準備万端だね。

あとは依頼をこなしてパーティーランクを上げないと。

今日の用事はこれで全部済んだので街に戻る事にする。

そう言えば監視の人たちはあれからどうなったんだろう。

報告に帰ってそれっきりなのかしら?

くーちゃんに聞いてみると、


(はい、あれから不審な者は居りませんね。)


と返事が返ってきた。

そっか。

でも街に帰ったらまた監視がつくんだろうなぁ。

それも何かなぁ。

このまま監視が外れてくれるといいんだけど、無理だろうな。



街へ帰って4人揃って冒険者ギルドに顔を出す。

夕方には少し早い時間のわりに人が多いような気がする。

やはり昨日の今日で依頼が多かったからか依頼完了の手続きに戻って来る冒険者も多いみたい。

冒険者ギルドの扉を開け私たち4人が中に入るとみんなの視線が一斉に向けられたのが分かった。


「おっ、姫さんか。 しかし何だありゃ。 何で同じ格好してるんだ?」

「変な宗教でもするつもりか?」

「何言ってんのバカね、同じパーティーだからじゃないの。」

「そうよー、同じ格好してたら誰が見てもリズたちのパーティーだってすぐに分かるじゃない。」

「ああ、成る程な。」


んん?

私たちの事を話してるのがチラホラと聞こえて来る。

ふふん。

ほらほら、すごいでしょ?

素敵でしょ?

可愛いでしょ?

羨ましいでしょ?

もっと褒め称えてもいいのよ。

ちょっとドヤッてしまう私。


「ねぇねぇ、あの防具ちょっと可愛いくない?」

「うん、黒に赤いステッチがお洒落だよね。」

「金属のプレートが左胸だけってのも悪くないよね。」

「あれだったら私も欲しいなって思っちゃう。」

「言えてるー、私たちも何かお揃いの作っちゃおうか?」

「いいねー、一回考えてみるのもいいかも。」


ほらほらぁ。

ねぇ聞いた?今の会話。

すごく好意的だったよ?

ふっふーん。

そうでしょそうでしょ。

私たちのパーティーの制服は可愛いんだから。


「しかしアレだな。あのピチピチのズボンはそそるモンがあるな。」

「だな、ムチムチの太腿が何ともいえない色気を放っているよな。」


げっ、男どもは何を言ってんだか。

これだから男ってヤツは。


「なぁ、あのスラリとしたアンヨで踏まれてみたくねーか?」

「お前もか? 俺もだ。」

「わはは、友よ!」


くっ、このやろう。

本気で踏みにいくぞ?


「踏まれるついでにあの尻にも敷かれてみてーな。」

「それもいいな。」

「だろ?」

「出来たら顔の上に乗ってくれたら最高だな。」

「それ最高かよ!お前頭いいな。」

「当ったり前じゃねーか、俺を誰だと思ってんだ。」

「決まってるだろ、心の友よ!」


ねぇ、コイツ等切り刻んじゃっていい?

いいよね?

こうゆう手合いは野放しにすると碌な事ないもん。

問題ないよね?


「ないない。いいよオルカ、私が許す。」

「私も許す、遠慮なく切り刻んじゃえ!」

「何言ってんの、そんなのダメに決まってるでしょ!」


リズとメロディはOKしてくれたのに前世の日本人の記憶があるドロシーは許可してくれなかった。

ちぇっ。

まぁ実際にはそんな切り刻んだりしないけど、ちょこっとチビリそうなくらい脅したりはするかも知れないけどね。


「なんだぁ騒がしいと思ったらまーた姫さんか。」


声の主の方を見ると呆れ顔したギルマスが居た。

ちょっと、またって何よまたって。

私そんなにいつもいつも問題起こしてる訳じゃないですよ?

ですよね?


「ん? お前等なんで同じ格好してんだ? 変な宗教でもやってんのか?」


「みんな口を揃えて変な宗教とか言うの失礼じゃないですか?」


「そうか? 同じ格好してたからついな。 悪気はないんだスマンスマン。 ほんとに違うよな?」


違います!

もー、ギルマスまで変な事言わないで下さいよ。


「まぁでも姫さんの場合はある意味オルカ教の教祖様みてーなもんだしな、カカカ。」


笑いごっちゃないです、何ですかそのオルカ教って。

怖いですって。


「ほれ、姫さんの周りにはいつも熱狂的な信者が居るだろ?」


そう言ってリズたちを差して笑うギルマス。


……。


ある意味そうかもって思ってしまった。

不覚。


「お、そうだった。 さっきグレイソンの使いってのが来ててな褒賞の家が見つかったって言ってたぞ。」


え? そうなんですか?

思ったより随分早かったんですね。

で、他には何か言ってませんでした?

場所がどうとか大きさがどうとか。

やっぱり気になるのでギルマスに一応聞いてみる。


「いや、聞いたのはそれだけだったな。姫さんが居なかったもんだから明日の午後にもう一度来て軽く説明するって言ってたからその時に聞いてくれ。」


あ、そうなんですね。

分かりました明日の午後ですね。


そっかぁ、家決まったのかぁ。

どんな家なんだろう。

4人で住むんだし少し広めの家だったら嬉しいんだけどな。


それがあんな事になるとはね、この時は思いもしなかったよ。





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