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第141話 「私たち Rosy lilies!」

昨日無事?にアルマさんとアイザックさんの結婚のお披露目も終わった。

ま、まぁ多少のいざこざはあったけど概ね順調だった。

忙しい仕事の合間を縫ってギルマスも来ていてこれでもかって位お肉を貪ってお酒飲んで帰って行ったと冒険者のみんなは笑って言っていた。

あのヘンテコ貴族であるギルマスって何気に人望だけはあるのよね。

それから孤児院の子供たちにはお腹いっぱい食べて貰いたいからお肉をまた()()置いてきた。

勿論子供たちは喜んでくれたわよ。

ただ、最近の私は「お肉のお姉ちゃん」と言われている、どうもお肉屋さんの配達員と思われてフシがある。

エラちゃんにはちゃんと言ったはずなんだけどな、可笑しいな、どこでどう間違って伝わったやら。

私の手持ちのお肉はストレージの中にまだたんまりと残っている。

くーちゃんたちが嬉々として狩って来るから出すより増えるスピードの方が早い。

今の私はこの領都でも指折りのお肉供給元となっている。

恐らくイチ個人としては最大の供給元なのではないだろうか。

冒険者仲間からはもういっその事お肉屋さんでも開いたら?って言われる始末だ。

でもそれだとくーちゃんたちを働かせるだけ働かせて私はそれを吸い上げるだけの極悪(あるじ)になってしまう。

くーちゃんたちはそれでも喜んで狩りに行くんだろうけどそれも何だかねぇ。

それにリズたちと新たにパーティー組む事になったし当分はこの冒険者の仕事は続けるつもり。


っと、話がそれた。

昨日の晩前から作らなきゃって思ってたアレがやっと作れたのよ。

銃弾、ベレッタ用の薬莢仕様の銃弾ね。

魔力の続く限り時間のある限り、寝るギリギリ前まで銃弾を作製した。

おかげで必要十分以上に有り余るほどの弾丸を作る事が出来た。

まぁちょっと作り過ぎたかな?とは思わなくもないけど、こうゆうのはお金と一緒で無いより有った方が断然いいもの。

魔力も枯渇寸前だし流石に夜遅いのでそろそろ寝る事にする。

領主様からの監視の人たちはどうしているのか気になったのでくーちゃんに念話で聞いてみると、やはりこれまでと同じように物陰に潜みジッとこちらを窺うように監視しているとの事。

ご苦労な事だわ。

今は夏だけど油断してると風邪をひく事だってあるし体調とか崩さないといいんだけどね。

あーでも、向こうもその道のプロだもん、それくらい分かってるか。

大体監視されてる私が気にする事でもないよね。



明けて朝。

いつものように起き、いつもと同じように食堂に赴き朝食を摂る。


「おはよう。」


給仕係の女の子に挨拶すると弾けるような笑顔で「おはようございます。」と返って来る。

んふ。

やっぱり女の子の笑顔っていいわ、心が癒される。

癒されついでに追加料金を払ってリズたちの分も含めてお昼ご飯を4人分を頼んだ。

今日の私の予定は新しく結成するパーティー用に作った防具とローブを皆に渡す事。

ベレッタを渡す事、ジーンズやスニーカー、リュックなんかも制式装備として支給したいなと。

あと時間があればベレッタの操作説明もしたい。

私が造ったんじゃなくて、『創造魔法』さんが造ったものだから間違いはないと思うけど一応試し撃ちはしたいかな。

それから新しく結成するパーティー「Rosy lilies」をギルドに登録する。

思ったより今日は忙しくなりそう。

ゆっくりしてる暇は無さそうだからちゃっちゃと行動に移さないと。



厩舎にくーちゃんたちを迎えに行ってその足で冒険者ギルドへ行ってリズたちと合流する。

いつも通っている通りを歩くと向こうから見知った3人がやって来る。


「おはよう。」


「「おはようー!」」

「おはよう。」


取り合えず1回ギルドの中に入ってどんな依頼があるか確認する。

今日は仕事しないつもりだけど緊急度の高い物があった場合リズたちがそっちを選択する可能性もあるかもしれないから。

そう思ったけど特に重要なのは出ていないみたい。

昨日のお披露目会の影響で今日は沢山の依頼が残っていてみんな精力的に依頼を受けている。

今日に限って言えば割のいい依頼が沢山ある為皆ほくほく顔だ。


「昨日はご馳走様ー!」そんな声に軽く挨拶しながら受付窓口まで行く。

窓口にはメイジーさんが居て忙しそうに業務を熟している。

おや?

何か忙しそうね。

私たちのパーティー名を登録しようかと思ったんだけど仕事の邪魔しちゃ悪いから後にしようかな。

どうする?ってリズたちに聞いたら「それでいいよ」って返事が来たので登録は夕方にしようと思う。


一旦ギルドを後にしてリズたちが住んでいるって言う借家へ向かう事にする。

そう言えばリズたちが住んでる家に行くのは初めてだ。

なんかちょっと楽しみって言うかドキドキするね、初めて彼氏の家に遊びに行く女の子の気分?

ちょっと違うか。

築年数が古いので大きさの割に安く借りられているって話だったけど安い理由はそれだけじゃなくてちょっとだけ立地が悪く、ギルドがある街中からは離れていて平民が住む居住地の端っこに近い所にあるのがその理由なんだって。

で、そのリズたちが借りている家に向かう道すがらさっきの新パーティーの名前についてリズに聞かれる。


「で、リーダー。新しいパーティー名は決まったの?」


うーむ、リーダーはやっぱり私なのね。

私的には面倒見が良くてお姉さんキャラのリズが適任だと思うんだけどなぁ。


「リーダー、パーティー名はどんなの? 勿論可愛いくて女性らしくて華やかな名前なんだよね?」


メロディそれって一般的には無理難題って言うんだよ。

一応考えてはあるけどみんなが気に入るかは分かんないし……


「ま、言ってみたら? 万が一いい名前だったりするかもしれないしね。」


いや、ドロシー「万が一」の使い方間違ってるし。

それって私が変な名前付けるの前提で言ってるよね?

私ってそんな変な事ばっかり言ってる訳じゃないよ?

私の普段の様子見て分からないかなー。

そう言ってみるものの。


「……。」


分からないから言ってるのか。

残念無念。

よかろう、私の真の実力を見るがいい。


「新しいパーティー名は……」


「「「パーティー名は?」」」


「Rosy liliesよっ!」


「「ろ ろーじぃりりぃ ず?」」


「Rosy lilies かぁ。」


「ふふん。」


どうだ!

ぐうの音も出まい。

私の実力を思い知ったか!


「随分とイタイ名前を付けたもんだね。」


ちょっとドロシーさんそれはあまりに辛辣じゃありません事?


「だってねぇ、自分で乙女は ねぇ。 今は若いからいいけど年取ってBBAになって乙女とかイタ過ぎだって。ドン引きよドン引き。」


「うっ、それはそうだけど。」


いや、私も一瞬それ考えたんだけど、でもね、「Star lilies(姫百合)」よりはいいんじゃないかなって。

語感的には「Star lilies(姫百合)」の方が好みなんだけど、自分で「姫」なんて自意識過剰じゃない?

なのでまだマシな「Rosy lilies(乙女百合)」にしたんだけど……。


「ねぇ、その ろ ろーじぃ 何とかってどんな意味なの?」

「聞いた事ない単語なんだけど、それってどこの言葉?」


リズたちには上手く伝わらなかったみたいなのでこれは私の故郷のある地域で話されてる言葉で「乙女百合」って意味だよって言う。

正しくもないけど間違いでもない。

地球を1つの国と考えたら英語圏もイチ方言みたいなもんだし。

ちょい無理矢理ぎみだけど、まぁ丸っきり全部嘘って訳でもないからいいでしょ。


「ふーん、まぁ良く分かんないけどリーダーがそう決めたんならそれでいいよ。」

「私もリズに同じ、何となく女の子っぽいなーって雰囲気は感じられるからイイんじゃない?」


ねぇ、私一生懸命考えたのにその反応ってひどくない?

もうちょっと他に言いようがあったと思うんだけど?

そりゃ別にべた褒めしろとは言わないけどさ、言わないけどそれでももうちょっと、こう「それイイね。」くらいは言ってもいいと思うよ?

そんなだと私グレちゃうよ?

ホントだよ?


「もー、二人ともそんなどうでもイイみたいな適当な事言うからオルカが拗ねちゃったじゃないのー。」


「「だって、ねぇ。」」


むぅ。

ド ロ シー ! 

私別に拗ねてなんてないからね!

ふんだ!


「ほらぁ。」


ほらぁ、じゃない。

ドロシーもドロシーよ。

褒めてくれてもいいのに。

いぢいぢ。

折角考えたのに適当にあしらわれてちょっと投げやりな気分になっちゃうよ。


「「「あっ……」」」


そんな私を見て「しまった!」みたいな顔すんのヤメてくんない?

地味に傷つくし。


ふう。


まぁいいよ。

別に名前で価値が決まる訳じゃないからね。


「パーティ名これでいいよね?」


私がそう言うと3人とも同意してくれた。

それに私に一任した時点で私が決めていいって事だからね。

だからもう私の好きなようにするよ。

で、この話はこれでお終い、別に喧嘩したい訳じゃないもん。

そうこうしてる内にリズたちが住んでいる借家に着いた。


「じゃーん、ここが私たちが住んでる家よ。」

「どう? 古いでしょー。」


うん、確かに古い。

聞いてた通り古いけど思ったよりずっとまともって言うかボロ家ではないなって印象。

リズに案内されて中に入るとすぐにリビングがある。

中に入っても印象は変わらず、古い事は古いけど小綺麗だなって感じ。

きちんと掃除が行き届いていて小ざっぱりとしてる。


「思ったよりずっとイイわね。」


私の嘘偽りない正直な気持ちだ。

ドロシーもそう思わない?

ここだったら4人で済んでも特に問題なさそう。

悪くないね。

領主様からの褒美の家の話がなかったら別にここでも良かったかも?って思っちゃうかも。

だけど家くれるって言うからねー。

どんな家かは分かんないけど貰えるんだからもう家探す必要はないから。

って、それそれで今はそれこっち置いといて。

さぁ、私たちの新パーティーの装備品を渡すよ。


「じゃあ、みんなに渡すよ。」


そう言ってそれぞれの前に受け取っておいた防具とローブを丁寧にそっと置く。

防具はそれぞれに合わせて作ってあるので専用品だ。


「「「わぁーっ!」」」


3人とも顔をほころばせる。

4人でお揃いいいよね、私も嬉しくってついテンション上がっちゃう。

リズたちは今までの防具をいそいそと外すと早速新しい防具を身に着けてみる。


「うっわー、これすーっごい可愛い!」

「うんうん、女の子らしくていいよね。」

「リズもメロディも似合ってるよ。」

「そう? ドロシーもすっごく可愛い。」


いま私の目の前では見目麗しい美少女3人がキャッキャウフフしている。

いいわぁ。

眼福だわ。

ここは桃源郷ですか。

思わずへにょって笑っちゃいそう。

ヤバい、うっかり性癖が刺激されそう。

私も今までの防具を外し真新しい防具を身に着ける。

うん、やっぱいいわ。

この左胸のところの金属製のプレートに施された百合の花の彫金がまたいいのよ。

お値段はそこそこしたけどこれだったら文句は無いかな。

みんなも喜んでくれてるし良かった。


「で も ね、これだけじゃないのよー。」


ジーンズとスニーカーとリュックを支給しないとね。

ふっふっふっ。

そりゃ、驚きなさい!

『創造魔法』さんによってそれぞれの体格に合わせて作られたジーンズとスニーカーをストレージから取り出す。

ジーンズはスキニーとストレートの2種類でそれぞれにインディゴブルー、ブルー、ブラックの3種類で1人計6本。

ファスナーは使ってなくてスナップボタンを使ったボタンフライ仕様。

これだけあれば洗い替えも心配なし。

どう?

すごいでしょー。

ふふん、私の自信作だよー。

でもこれくらいで驚くなかれ、まだあるからね。


次はスニーカーだよ。

スニーカーは仕事用と普段履き用の2種類用意したから。

仕事用のは革と布のコンビでくるぶしまで覆って保護してくれるトレッキングシューズっぽいので、普段履き用のは布製のカジュアルなヤツ。

仕事用のは替えも含めて2足用意した。

色は茶色ベースに赤の差し色が入っていてつま先と踵部分は固くしてあって保護してくれるようになっている。

普段履き用のは軽くて歩きやすく踵部分は分厚い布で出来ていて、色は黒にオレンジのラインと白に紫のラインの2種類。

どっちも底はファクチスで出来ていて滑り止めのギザギザも付いている。


完璧!

まさに匠の逸品。

流石は私の『創造魔法』さん、良い仕事してます。

ほら、みんなどうしたの?

褒めていいのよ?

遠慮なさらないで。

あら、吃驚し過ぎて声も出なくちゃったのかしら?

それ程までに喜んで貰えるとちょっと戸惑ってしまうけれど、でも嬉しいものね。

ね、ボーっとしてないで着替えてみたら?


「やり過ぎよ、この馬鹿!」


「あ痛っ!」


ドロシーに頭をはたかれた。

ちょ~っとぉ、今のは痛かったよ。


「なんで叩くの!」


「なんでじゃないでしょ! これどういう事よ。」


どういう事ってこうゆう事よ。


「日々の暮らしに潤いを。 快適で素敵なスローライフを貴女に!」


両手を広げ満面の笑みをドロシーに向けて投げかける。


「痛い痛い痛いっ! そんなにポカポカ叩かないでよー。」


もー、さっきからマジで叩いてるでしょ!

ホントに痛いんだからね。

って言うか何でそんなに怒ってるのよ。

ジーンズとかスニーカーがあったらいいのにって思った事ない?

私はこっちの世界に来てからずっと思ってたよ。

だから作ったの。


「なんでそんな怒ってんの?」


「オーバーテクノロジーだからよ!」


あ、そゆ事?

それだったらだぶん大丈夫だよ。


「それ全部ちゃんと特許取ってあるよ。特許申請して通ってるのも確認済みだし。」


それを聞いて「へっ?」て顔をするドロシー。

あれ?

ドロシー知らなかったっけ?

言ってなかった?

ゴメンゴメン。

それの特許持ってんの私。


「そうゆう肝心な事は教えてよ。」


あはは、面目ない。

今度からちゃんと報告するよ、報連相は大事だもんね。


「なんかね、あまりにも前代未聞過ぎて誰も分かんなくてそのまますぐに審査通ったみたい。」


「そんなんでいいの?」


ドロシーがこめかみをグリグリしながらため息を吐く。

いいんじゃない?

だって商業ギルドの長がそう言ってたんだもん。


「ねー、難しい話終わった? さっきから私たち置いてけぼりなんだけど。」

「そうそう、怒ってないでドロシーも穿いてみたら?」


リズとメロディを見ると二人とも既にジーンズを穿いていた。

椅子に座って今まで履いていた靴を脱いで仕事用のトレッキングシューズみたいな方のスニーカーを履こうとしてる所だった。

二人ともスキニーの方を穿いている。


ワーオ。

やっばい。

めちゃ色っぽい。

リズもメロディも脚が長くてスタイルがいいとこ持って来て、細すぎず適度に肉付きが良くて柔らかで女性らしいラインだ。


「「どう?」」


そう言ってポーズを取る二人。

うん、いいよ。

すっごくいい。


「二人ともすっごい似合ってるよ。」


そう言うと二人は嬉しそうに笑う。

美少女の笑顔はいつ見てもいいものだ。

心を豊かにするよ。

うへへ。


「ドロシーもオルカも着替えなよ。」


そだね、せっかく作ったんだもん。

なので私とドロシーも着替える事にした。

まぁ私たちは元世界で穿きなれてるし履きなれてるからね、一切の戸惑いもなくちゃちゃっと着替え終わる。

そしてすっくと立ち上がってクイッとポーズを決める。

どう? 似合ってる?


「わー、オルカもドロシーも似合ってる。」

「二人とも可愛いー!」

「いやいや、リズもメロディも可愛いよ。」

「そ そう? 似合ってる?」


少々自信なさげにそう聞くドロシーだけど、そんな心配は全然いらない。

大丈夫、ドロシーは可愛い!

私が断言する、保証する!


「ドロシーが可愛いくないなんて言うヤツが居たら私がぶっ飛ばす!」


フンス!と力こぶを作ってみせる私。


「ドロシー愛が重い子が暴走してるー。」

「ちょっとオルカ、恥ずかしいってば。」


そう言ってほんのりと頬を赤らめるドロシーの可愛らしいこと。

愛い奴じゃ。


「あー。オルカが下品なオッサンになってる!」


「「「また漏れてる!」」」


おっと、すまぬ。



それと言い忘れてたけど決め台詞も考えてみたの。

そんなのいつ考えたんだって?

今だけど、なにか?

それはゴニョゴニョ。

いい?

せーのーっで。



「「「「私たち Rosy lilies!」」」」


決まった!






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