第124話 Heaven in the bathroom ②
2話続けてのキャッキャウフフ回です。
今回もどうぞお楽しみくださいませ。
リズとメロディのイチャコラに当てられてちょっとドギマギしてしまった。
私とドロシーが顔を赤くしているのはお湯に浸かってるのか、それとも恥ずかしくてなのか。
まぁ言わなくても想像の通りか。
まさか目の前でチュッ!するとは思わなかったもの。
ドロシーは「熱い熱い」って両手でパタパタと顔を扇いでいるそんな仕草も可愛い。
ううん、ドロシーなら何してても可愛い。
笑うのは勿論、拗ねても怒っても泣いても、とにかく全部可愛い。
ぶっちゃけ今すぐおつまみしたいくらい。
そんなドロシーを目を細めて見つめていた。
私は膝を軽く曲げて右脚を上にして脚を交差させる。
腕は胸の前でクロスさせながら、右手で左肩に左手で右肩にお湯を掛ける。
この恰好が私のいつもの入浴スタイル。
前世でもこの恰好でお風呂に入っていた。
そしてルカには「私より女っぽいってどうゆう事?」って良く言われていた。
「その仕草、私の知ってるオルカとまんま同じなんだよね。 ホントに別人なの?」
どうやら、ドロシーの前世の想い人も私と同じような恰好でお風呂に入っていたようだ。
うむ、私同様女子力の高い男子だったんだろうね。
世の中には居るんだよ、女子力の高い男子ってのがね。
実を言うと前世では私も『事務所の女子の一員』と呼ばれていた。
なんでやねん。
まぁそれも昔の話、今はまごう事なき正真正銘の美少女な訳だし。
ちなみにリズとメロディは肩を寄せ合いぴったりと引っ付いて今も恋人繋ぎをしてイチャイチャいる。
もう好きにしたら?の世界である。
私とドロシーは目のやり場に困るので一旦湯舟から上がって身体を洗う事にした。
立ち上がって湯舟の端に置いてあったタオルを手に取る。
私はうっかりしてた。
油断していたの。
「「「んっ?」」」
3人の声が重なる。
そして視線が私の下腹部に集まる。
ジーっと凝視されている。
「キャアァァァァー! みみみ 見たなぁー!」
咄嗟に手で隠したけれど時すでに遅し。
3人にはバッチリ見られていた。
「生えてない?」
「綺麗にお手入れしてるだけとか?」
ううぅぅ、見られた。
チョー恥ずかしい。
だってー、私だってなりたくてこうなったんじゃないもん。
最初から生えてなかったんだもん!
私のせいじゃない、不可抗力だよ!
全部あの駄女神のせいだもん!
誰にもバレてなかったのによりにもよってリズたちにバレちゃうなんてー。
ドロシーに変な子って思われたらどうしよう?
えっちな子って思われたらどうしよう?
そんな感情がぐるぐると心の中を駆け巡る。
「あー、そんな気にする事ないよ。」
「そうそう、お手入れしてる子結構いるよ?」
それはそうかもしれないけどぉ。
だってやっぱ変じゃない? 可笑しくない?
「だってほら、私たちもお手入れしてるもん。」
そう言ってリズとメロディはパカッと見せてくれた。
ほんとだ、確かに綺麗にしてる。
でもね、何の躊躇いもなくパカッとやっちゃうのはどうかと思うよ。
「私たち側の子たちって全部綺麗にしてる子も結構いるよ? 見た事ない?」
「ない。」
私がそう答えると「じゃあたまたま居なかっただけだね」ってあっさりと片付けられた。
「割りと常識だよ?」
「そうなの?」
リズが言うにはこっちの世界では衛生面の観点からお手入れをするのが一般的なんだとか。
私のような日本人は温泉文化ゆえの恥ずかしいと言うか奥ゆかしさなのではなかろうか。
元日本人のドロシーも私と同じ感覚を持ってるはずだからお手入れには抵抗があるはずと思って聞いてみたら、
「私もお手入れしてるけど?」
と普通に返事が返って来た。
何てこったい。
さっきリズが言ったように衛生面ってのが大きいらしい。
孤児院でそうゆう事もきっちりと教えるんだって。
すごい。
異世界って別な意味で進んでるのね。
ととと 取り合えず私身体洗うから。
前をタオルで隠しながら湯舟から上がり洗い場まで移動する。
手桶にお湯を入れて、タオルに石鹸をゴシゴシして泡立てる。
この石鹸は今までのよりも更に泡立ちが良くて香りもいい、前世で売られてた石鹸に近い物になっている。
私の渾身の作だ。
これはまだ特許登録してないので身近な人のみ、今はこの4人だけしか持っていない貴重品。
「これすっごい泡立ち!」
ドロシーが吃驚した声を上げている。
ふふん、そうでしょそうでしょ。
今回満を持して投入したからね。
領主様にお呼ばれしてるのに汗臭いとか思われたら恥ずかしいもの。
ドロシーの様子を見てイチャコラしていたリズとメロディも洗い場にやって来て石鹸で泡を立て始めている。
一斉に石鹸を使うとそれはもう素晴らしい香りが辺りに広がる。
甘くそれでいて華やかなフローラルノートが落ち着いた癒しを演出する。
「これすっごいいい香り。」
「うん、甘くて濃厚で、でも落ち着く匂い。」
リズもメロディも新石鹸の香りに蕩けたようにうっとりとした顔をしている。
十分に泡立ったところで身体を……じゃなかった。
最初は頭から洗うのが正解だったんだっけ?
いけないいけない、間違えるとこだった。
みんなに教えてあげなきゃって思って
「みんな、一番最初は髪から洗うん だよ」
と声を掛けたら私に言われるまでもなくちゃんと髪から洗っていた。
わーお、間違えそうになったの私だけだった。
「そんなの常識だよ?」byリズ
「常識ですよ。」byメロ
「女の子なんだからちゃんとしないとダメだよ?」byドロ
ぐっ。
何言ってんの?みたいに3人からダメ出しを食らった。
まだ間違えてないもん、間違えそうにはなっただけだし。
私の負け惜しみもドロシーに「はいはい、早く洗いなさい。」とまるでお母さんのごとく軽くあしらわれる。
「もーしょーがないなー。」
とドロシーがやって来て私の髪を洗ってくれた。
「お客さん、痒い所とかございませんか?」
なに、美容院ごっこ?
何かおままごとみたいでちょっと楽しいかも。
「ん、大丈夫。」
そう言って私は目を閉じる。
人に髪の毛洗って貰うのって気持ちいいし贅沢だよね。
優しい手つきで滑らすように髪を洗ってくれる。
なんか大切にされているみたいでチョットこそばゆい感じがするね。
「お湯掛けるから目閉じて。」
ザバーッと頭からお湯が降り注ぐ。
はー、スッキリ。
お礼にドロシーの髪を洗ってあげようかと思ったらもう既に洗ったあとだった。
残念。
次に洗うのは身体だね。
泡いっぱいのタオルで優しく優しく洗ってゆく。
首から肩、腕、胴体、アンヨ、順番にマッサージするように丁寧に洗う。
決してゴシゴシと強く洗ってはダメ、摩擦で肌を傷つけてしまう恐れがある。
4人で横一列に並んでキャッキャウフフと各々が自分の身体を洗っている。
会話も弾んでとても楽しい。
やはりこのメンバーが一番気楽で心地よくて安心できるよ。
「ねぇ、オルカ洗ったげる。」
そう言ってリズが私をドロシーの方を向くように座り直しさせて泡のいっぱい付いたタオルで背中を洗い始める。
「じゃあ、私はドロシーの洗ってあげる。」
メロディはドロシーの後ろに周って私と向かい合わせになるように座り直させてドロシーの背中を洗い始めた。
「「ええー、そんなの悪いよ。」」
パタパタと両手を左右に振って遠慮するも聞いてもらえない。
ダメだって、年上の先輩冒険者に背中洗わせるなんて何様?って話よ。
いや、ほんとダメだってば。
「いいからいいから。気にしないで。」
「気にしないで。」、リズはそう言うけど気にするなって言う方が無理だよ。
ドロシーも同じで元日本人としてはどうしても遠慮してしまう。
「メロディさん、本当にいいですから。」
ドロシーもそう言ったのだけれど
「同じパーティメンバーだし、友達なんだからこんなの普通だよ。」
と屈託のない笑顔でさらりと受け流すメロディ。
でも、ねぇ。
ドロシーは眉を八の字にして困り顔して私の方を見るけれども私も困ってるのよね。
これ、どうしたもんでしょ。
とは言う物のもうすで背中を向けて洗って貰ってるからね、今更「いいです。」なんて言っても通じないし。
ここは大人しく受けておく方がいいのか。
そう思っていた時だった。
むにゅん。
「ひゃん。」
油断してた所にいきなりおっぱいを軽く揉まれて変な声が出ちゃった。
「ごめーん、泡で手が滑っちゃったー。」
わざとらしい。
もー、悪戯しちゃダメでしょ。
「こら、態とやったでしょ?」
「いやいやいや、ホントに手が滑ったんだよ。にゅるんとね♪」
そう言いながらリズが後ろから両手を回し胸を揉みしだく。
ね、ちょっと。
「ダメ……」
「聞こえなーい。」
耳元でリズが意地悪く囁く。
その声にゾクゾクとしてくる。
あ ヤバッ。
……ん。
「ね、ほんとにダメ……」
私の声を無視して私の身体を的確に刺激するリズ。
精一杯の理性を総動員してドロシーを見ると私と同じようにメロディに胸を揉まれていた。
下唇をキュッと噛み声が漏れるのを必死に我慢している。
その切なそうにしているドロシーの顔が可愛いくて可愛いくて。
ああぁぁぁぁ。
思わず声が漏れてしまう。
あとはもう流されて……
波間に揺蕩う小舟のように
桃色の霞がかかった世界でまどろむ私
世界が白くなってゆく
白く白く
頭の中で真っ白な光がスパークする
「ここはドロシーの為に残しておいてあげる」
「ここはオルカの為に残してあげる」
耳元でそう囁かれたあと私とドロシーは
んーっ!!!!!!!
身体を震わせた。
天国ってお風呂場にもあったんだね
ぼーっとしたまま女の子座りして肩で息をしている私とドロシー。
すごかった。
自分でするより断然すごかった。
ぼやける視界の中リズとメロディが睦み合っているのをぼんやりと眺めていた。
すごーい、あんな事してるー。
うわー、そこまでするんだー。
ぶる。
ちょっと身体が冷えてきた。
お湯に浸かろう。
ドロシーの手を引いて湯舟に入る私たち。
ドロシーと肩を寄せ合い二人ぴたりとくっ付いてお湯に浸かりながらリズとメロディを見ていた。
「「すごいねー。」」
それしか言いようがない。
それが素直な感想だ。
あ、どうやら終わったみたいよ?
覚束ない足取りでやって来てドボンとお湯に浸かり「はあぁー」と息を吐く。
「「今日は燃えたー。」」
とっても満足げにそう宣う二人。
あー、はいはい。
さいですか。
私はとっても災難でしたけど?
何も今日じゃなくても良かったのに、今日じゃなければもうちょっと楽し……げふんげふん……何でもない。
「はー、やっとオルカとイチャイチャ出来たよー。」
「だねー、今日はいい日になったねー。」
リズとメロディは満面の笑みでそう言う。
「いやー、オルカもドロシーもいい反応してくれるから楽しくなっちゃって。」
リズさんや、いい反応ってなによ。
「そうそう、私もつい頑張っちゃった。」
メロディさんもですか。
そんなに頑張らなくても良かったのにとドロシーが目で訴えているの気付いてる?
リズもリズだよ、私あんなに乱れたの初めてだったんだからね。
「んふー、オルカの初めて頂きました!」
ヤバッ、また漏れてたみたい。
「オルカのその性癖一生治んないかもね。」
性癖じゃないし!
それに頑張ってお漏らし治すもん。
「まるでオネショする子供みたいだよ。」
3人に爆笑された。
くそー。
それから「オルカちゃんおもらちなおちまちょーねー」と散々揶揄われた。
お 覚えてなさいよ。
いつか絶対仕返ししてやるんだから。
そう言ったら
「返り討ちにしちゃうよーだ。」
って笑いながら軽~く返された。
お風呂から上がって脱衣場で濡れた身体をバスタオルで拭く。
柔らかくて大きなバスタオルは一般庶民には高級品だけれども材料さえあれば大概の物は作れる私には関係ない。
3人はふかふか柔らかタオルに感激しながら「ほえー」とか「すっごい柔らかい」と言いながら身体を拭いている。
さて、身体を拭き終わった所で下着を着る訳だけれども。
ストレージから自作の下着を取り出す。
ドレスを着た時に下着のラインが出ないように下は総レース仕様にしたけど上は普通のタイプにした。
だってそうじゃないと支えきれないんだもん。
なので普通のフルカップなんだけど透け感のあるゴージャスなレース仕様のブラにした。
一応意匠は上下で合わせてあるんだよ。
「なにそれ? そのレースのやつって下着なの?」
「なんかあんまり下着の役目してなくないですか?」
こっちの世界ではそうゆうラインを出させない為の下着なんて発想はないのかリズもメロディも不思議そうな顔で聞いて来る。
ただ、ドロシーはすぐに思い至ったようで、
「これってラインが出にくい下着だよね? ブライダルインナーみたいなもの?」
んー、ブライダルインナーとはちょっと違うけどまぁ似たようなもんだね。
リズとメロディは「ぶ ぶらいだる? なんだって?」とよく分かってないみたいだ。
まぁ百聞は一見に如かずだよ。
あとで分かるから。
みんなもまずは下着付けたら?
せっかくお風呂入ったのに、すっぽんぽんのまんまだと風邪引いちゃうよ?
あーみんなちょっと待って。
きちんと髪乾かさないでそのまま服着るの?
タオルドライだけじゃ髪の毛乾きにくいから今乾かしてあげるよ。
「順番だよ。」
まずは私から、次はドロシーね。
風魔法と火魔法の合わせ技で疑似的にドライヤーみたいな温かい風を出して髪の毛を乾かす。
「オルカの魔法ってほんと便利だねー。」
乾いた髪の毛を触りながら感心したようにリズが言う。
「んー、サラサラふわふわだ。」
メロディも満足してくれたみたいで何より。
おや?
ドロシーがジッと私を見ている。
なになになに。
どうしたの、そんなに見つめちゃって、私に惚れちゃった?
ちっちっち。
私って罪な女ね。
「オルカってほんと規格外よね。 チート過ぎだよ。」
ドロシーに呆れられた。
でもそれ今更よ?
私今までも大概やらかして来てるもの。
今頃自重したって意味ないし。
ね、お分かり?
「「だってオルカだもん。 気にしたら負けだよ?」」
「だね、オルカだもんね。何となく理解しました。」
リズとメロディの言葉に一応理解は示したけれど納得はしてない感じ?
私ってどんななのよ。
そこまで非常識じゃないよ?
自分では結構まともだと思ってるんだけど。
「「「えっ?」」」
なにその反応。
失礼しちゃうわ。
「「「まさか自分が普通だと思ってた?」」」
違うの?
私ってどこにでも居る普通の女の子よ?
「ねぇ、ドロシー、普通って何なんだろうね?」
「私に分かる訳ないじゃないですか。」
「無自覚にやらかしてる系女子オルカ。」
ねぇ、みんな酷くない?
「もうオルカは行きつくとこまでそのままで行きなさい。」
リズの最後の言葉で締めくくられた。
そして皆が納得して「うんうん」と頷く。
やっぱ納得いかないわ、解せぬ。