第123話 Heaven in the bathroom ①
今回と次回キャッキャウフフ回です。
どうぞお楽しみくださいませ。
リズたちが一緒にお風呂に入るって言ってきかない。
ねー、子供じゃないんだから大人しく待ってようね。 ね。
イヤ?
そうなんだイヤなんだ。
我が儘言わないの。
え?
誰にでも我が儘言う訳じゃないって?
我が儘言うのは私に対してだけ?
もー、そんな可愛い事言ってぇ。
メッ、だからね。
「カミラさーん、私たちも一緒にお風呂入るけどいいよねー?」
リズがカミラさんに一緒に入る事前提で聞いてるし。
もー、みんながみんなリズに甘い訳じゃないんだからね。
そんな事いきなり言ってもカミラさんも困るでしょうに。
「いいわよー。ゆっくり入って来なさいなー。」
って、カミラさんも甘々だった。
「うっし! カミラさんの許可も出たし一緒にお風呂入るよ!」
いやいやいや。
そこはカミラさんの許可じゃなくて私の許可とるのが筋なんじゃないの?
可笑しいってば。
けれど私には構わずに話は進んでゆく。
リズもメロディもウキウキとした様子で待ちきれないって顔してるし。
ドロシーはいつものように少し困ったような呆れたような顔して私に「ホントにいいの?」って聞いて来る。
いや、私に聞かれても困るし。
そもそも私には最初っから選択権はなかったんだもん、しょーがないよ。
「リズたちここのお風呂入るの久しぶりなんじゃない?」
「そうですねー、ここで住み込みで働いてた頃は良く入ってたんですけどねぇ。」
カミラさんに話を振られて昔を懐かしむように話すメロディ。
えええ?
リズたちここで働いてた事あるの?
ええ?
どうゆう事なの?
「私たちはですねー、孤児院を出て冒険者として独り立ちした時に、最初お金ないからある程度お金が貯まるまでここで住み込みで働かせて貰ってたんですよ。で、仕事の合間に冒険者の仕事とかして経験を積んでたんですよね。」
孤児院出身の女の子たちは孤児院を出て独り立ちする時に、まずはここで社会と言う物を知り経験を積むんだそうだ。
そこでカミラさんからもう大丈夫ってお墨付きが貰えたら一人前として認められて完全に独り立ちする事になる。
パトリシアさんもだけど、元パーティーメンバーのカミラさんも女の子の為の宿屋をやっている。
女の子の冒険者ってさ、女の子ってだけで不当に下に見られたり扱いが悪かったりとか、もっと酷い場合だと同じパーティーメンバーにすら乱暴されたりとかも昔はあったと聞く。
女の子が悲しい目に遭わないように守りながら経験を積ませる為に自分の手元に置いて育ててから送り出す。
パトリシアさんやカミラさんは全ての女性冒険者の味方って訳ね。
「パトリシアさんもカミラさんもスゴいなぁ。」
思わず呟きがもれる。
人の為に何かを為すって中々出来る事じゃないよ。
自分たちだって沢山イヤな目に遭っただろうにそれでも負けずにこうして宿屋をやって女の子たちの為に働いている。
ほんと偉いなぁと思う。
「リズもメロディも、もうすっかり大人ね。私の手を離れて行っちゃってお姉ちゃん寂しいわ。」
「お姉ちゃん? オバ……」
「おねえちゃん よ!」
すんごい圧力で凄むカミラさん。
「「はい、そうです。お姉ちゃんです。」」
「うん、宜しい。 さぁさ、貴女たちお風呂に入るんでしょ?」
笑いながらそう言って手を「いってらっしゃーい」てフルフルと振っている。
一応言いますけどね、ホントはお風呂に入るの私だけだったんですよ?
それなのに何故かリズたちも一緒に入るって話になって。
え?
お代はいいから、若い子は遠慮なんかするもんじゃないって?
いえいえ、遠慮しないといけないのはリズたちですから。
そんな攻防も空しく
「マルヒ確保ー!」
「確保ー! これより連行する!」
両側からリズとメロディに抱えられて脱衣所まで連行されてしまった。
見慣れたこの宿屋の脱衣所。
リズたちにしてみれば勝手知ったる何とやら。
腕を取られ抱えられるようにして抵抗らしい抵抗も出来ないまま連れてこられた私。
「ねー、ほんとに一緒に入るの?」
一応最後の抵抗をしてみる。
「勿論! オルカのごはんはいつも食べてるけど一緒にお風呂はまだだったもんね。」
「ですねー、アルマさんたちとは一緒にお風呂に入ったんですよね? だったら次は私たちの番。」
ええええ。
何でそんな事で張り合ってんのよ。
そう言えばハイディさんたちともバチバチにやり合ってたな。
「これは愛なのよっ!」
リズの意味不明の叫びが脱衣所に響き渡る。
そしてリズたちの愛が重すぎる。
ねぇドロシー、この人何とかならないの?そう目で訴えたけどドロシーからは無言で首を横に振られただけだった。
私とドロシーのやり取りを無視してリズが更に続ける。
「いやー、お風呂って久しぶりに入れるよー。楽しみだなぁ。」
「だよねー、最近はずっと水浴びばっかだったもんねー。」
今の時期って元世界なら7月の中旬辺り。
そのぐらいの季節ならシャワーでも寒くはなかったからこっちの世界で水浴びも別段可笑しくはない。
リズとメロディはいそいそと服を脱ぎ始める。
ぽぽぽーい。
上を脱いでぽい。
下も脱いでぽい。
二人とも下着姿を恥ずかしげもなく晒している。
上はキャミソールで下はドロワーズ、この世界では見慣れた女の子の普通の下着姿だ。
リズはほっそりとしていて相変わらずスタイル抜群のスレンダー美人、お胸は貧……可愛らしい慎ましいものだけど無駄のない引き締まった身体をしている。
メロディは背はそんなに高くはないけど小動物のような愛らしさがある、お胸はつんと上向きのたわわな美乳さん。
私が二人をジッと見ていると
「なによージッと見て。私たち見てムラムラしちゃった?」
「なっ、違うわよ。」
「違うの? 実はえっちな妄想してたりしてー。」
ぐっ、リズの言葉に反論できない。
だって目の前に魅力的な女の子が下着姿で居るんだよ?
妄想するなってのが無理な話よ。
「えええ えっちな妄想って言ってもほんのちょっとだもん。」
「やっぱり妄想してたんじゃないの、オルカのえっち。」
メロディのたわわな胸がぷるんと揺れる。
縦に横にぷるんぷるんと揺れている。
態とやってるでしょ?
「ほらほらぁ、オルカも脱いで。」
メロディが手を前に出してワキワキさせながら近づいて来る。
だだだ 大丈夫、自分で脱げるから。
あ こら。
ちょっと、ワンピースを捲らないでってば。
メロディが私のワンピースの裾を掴んでツツツーっと持ち上げる。
「もー、ヤメてよー。」
「良いではないか、良いではないか。」
メロディがエロ代官になっちゃってるし。
悪ノリし過ぎ。
「もー、怒るよ。 メッ!」
「ぐはっ、オルカに怒られた♪」
怒られてなんで喜ぶの!
「いいないいなー、メロディだけズルいなあー。」
リズもそんな事で羨ましがらないの。
邪魔しないで、服脱げないでしょ?
はい、下がって下がって。
踊り子には手を触れないで下さーい。
女の子同士なので脱ぐのは恥ずかしくない、でも流石に脱がされるのはちょっと恥ずかしい。
だから脱がされる前に自分でちゃちゃっと脱いでしまう。
今日の下着は清楚な白色のフルカップのブラと面積の大きいフルカバーのショーツの組み合わせ。
こっちの世界にはない元世界の下着。
今の所これを着けているのは私だけ。
まぁリズたちやドロシーの分は作る予定だから私たちのパーティーだけの専用品だ。
「はぁ、オルカってほんと惚れ惚れするくらいスタイルいいよねー。」
「だよねー、ボンキュッボンですもんね。」
そんなに見ないでくれる? 恥ずかしいよ。
「そうやって照れてるとこもまたいいのよ。」
「そうそう、お姉さん心にグッと来るんだよね。」
「それは分かる気がします。」
ドロシーも参戦して来た?
「おっ、ドロシー分かってるねー。オルカが照れてる顔って何故かそそられるのよね。」
「そうそう、それ!分かるー。お腹の奥がキューンてなる時があるもん。」
「そうなんですか? 私は胸の奥がキュンて来ますけど。」
ねぇ、聞いててこっちが恥ずかしくなるからヤメない?
「ほら、ドロシーも脱ぎなさい。何なら脱ぐの手伝ってあげようか?」
またメロディが手をワキワキさせながらジリジリと近づいて行く。
しかしドロシーもメロディの扱いに慣れたもので何でもない顔で「はいはい、邪魔しないで下さいね。」と手で払うように適当にあしらっている。
ドロシーは脱いだ服を丁寧に畳んで脱衣かごに入れている。
こうゆう几帳面な所は生来の性格なんだろうね。
服を脱いだドロシーもこの世界ではごく普通の女の子の下着、キャミソールとドロワーズの組み合わせだった。
でもドロシーの下着姿ってだけで滾る物があるわね。
これだけでご飯3杯はいける。
そのドロシーはと言うと、背丈はメロディと同じくらいだけどメロディよりは細身、だけどお胸は豊か、それもかなりのたわわ。
ミルクティー色の髪、つぶらな瞳、小粒でぷりっとした唇、そのどれもが私の心を惑わせる。
ドロシーを見てると自分を抑えられなくなりそう。
顔をポッと赤らめて潤んだ目で私を見つめるドロシー。
なんて可愛いのかしら。
「「オーイ、また盛大にお漏らししてるぞー! 底の抜けたビア樽か!」」
「そこまでダダ漏れじゃないわよ! わよね?」
「「「何でそこで疑問形なの!」」」
「オルカがお漏らしさんなのは私たちは知ってるから別に驚かないよ。けど人前ではあまりお漏らししないでね、一緒に居る私たちも恥ずかしいんだから。」
む、メロディめ。
何もそこまで言わなくても。
女の子は少しくらいお漏らしさんの方が可愛いんだよ?
昔からそう言うじゃない。
「「「言わない言わない。」」」
3人して即否定ですか。
ふーんだ。
そっちがそのつもりなら私だって考えがあるんだからね。
「じゃーん! ここに新しく作ったお花の香りの石鹸と、ふわふわ柔らかいタオルがあります。 ほれほれ。 これ、使いたくないのー?」
新製品の石鹸とパイル生地で作った大小のタオルをちらつかせる。
「「っ!!」」
「あ、ドロシーはいいよ。 はい。」
ニッコリ笑ってドロシーに手渡す。
「あ、ありがと。」
「「ずるーい! ドロシーばっか贔屓し過ぎだし!」」
「黙らっしゃい! ちゃんとゴメンなさいしたら貸してあげるわよ。」
「「ぐぬぬ、この卑怯者めー。どうして私たちが謝らないといけないのか。」」
「んん?どうしたのかなぁ? これ使いたくないのー?」
「「くっ。」」
「ドロシー、この石鹸お花のいい香りがするでしょ? これね、花の香りを付けた香油を使ってるの、そうするとふんわりいい香りがするのよー。」
ドロシーが石鹸に鼻を近づけてスンスンと匂いを嗅いでいる。
「ホントだ、すっごいいい香り。 これはガーデニア?」
「正解!」
リズたちがドロシーを羨ましそうに見ている。
その様子を見てほくそ笑む私。
ふふ、かなり迷いが出てるわね。
もう一押しってとこね。
私は石鹸を1つ手に取ってリズたちの鼻先をすすすーっと通らせる。
するとふわりとフローラルの芳しい香りが漂う。
「「はあぁ、なんていい香り。」」
「でしょ? それが今ならひと言ゴメンなさいって言うだけで使えるのよ? どうする?」
「「ぐっ、卑怯千万。 斯くなる上は堪え難きを耐え忍び難きを忍び……」」
ぷふ。
リズたちが肩をぷるぷるさせながら迷ってる。
ちょっとやり過ぎちゃったかしら?
ここまでのようね。
「はい、これ。 リズたちの分よ、使ってね。」
「「いいの?」」
「勿論! 私たち同じパーティーじゃない。」
さっきのはちょっとした意趣返しよ。
意地悪してゴメンね。
身体を拭く用のバスタオルと身体を洗う小タオル、髪に巻くタオル、それと石鹸をリズたちにも手渡す。
私は素早く下着を脱いでタオルを前に当てて大事な所を隠す。
いくら女の子同士でもすっぽんぽんの全裸は流石にちょっとね。
リズもメロディもなーんも隠さずにすぽーんと出したままだ。
あらま、あらあら。
ヤダわ、もー。
やっぱり下って髪の毛と同じ色なのね。
ドロシーは私と同じくタオルで前を隠してる。
うんうん、やはり同じ元日本人、すっぽんぽんは恥ずかしいものね。
けれどドロシーのもちょっと見てみたかったってのはあるんだけどね。
ま、それは後のお楽しみかな。
「ちょーっとぉ、何でオルカとドロシーは前隠してんの。女の子同士なんだから恥ずかしがる事なんてないでしょ? 私たちみたいにパカーって見せちゃえばいいのに。」
いや、パカーッはダメでしょ、パカーッは。
乙女としての恥じらいはどうしたの?
どこに捨てて来たのよー?
「ぴらっ。」
メロディが私のタオルを摘まんで捲ろうとする。
「きゃっ!」
思わず咄嗟にタオルの裾を手で押さえてしまう。
「きゃっ!だって。くぅー、そんな可愛い声出すなんて反則だよぉ。」
「メロディに激しく同意。オルカのそうゆう所がギャップ萌えでそそるのよー。」
くっ、どこのエロ親爺なのよ。
そんな熱に浮かされたような潤んだ目で見つめないでくれる?
こっちまで可笑しな気持ちになっちゃうじゃないの。
今はそんな事……そんな事……ちょっとは興味あるけど今はダメ、それしてたらイケない子になっちゃいそうだもの。
「ほーらー、私は忙しいんだから、ちゃっちゃとお風呂に入るよ。」
そう言って私は真っ先にお風呂場に入る。
まずはお湯に手を入れてみる。
アチチチ。
沸かしてすぐだからか結構熱い。
湯舟の側でしゃがんで下腹部辺りをタオルで隠し掛け湯をする。
アッチ。
2回、3回と掛け湯をして熱いお湯に身体を慣らす。
さて、入ろうかな。
立ち上がって脚を折り曲げて閉じるようにして湯舟を横からそぉーっと楚々と跨ぎ湯舟に浸かる。
とぷん。
んあ。
はあぁぁぁぁ。
「気持ちいいー。」
思わず声が漏れる。
日本人なんだもん、仕方ないよね。
後から入ってきたリズたちも掛け湯をして湯舟に入って来る。
リズもメロディもアンヨをガバッと開いてそのまま真っすぐに脚を投げ出すように湯舟を跨いで入って来た。
……見えた。
いくら女の子同士だからってちょっとは恥ずかしがりなさいよ。
見てるこっちの方が恥ずかしいじゃない。
「ちょっとー、リズもメロディもはしたないよ。女の子なんだからそんな脚を拡げちゃダメでしょ。」
「えぇぇー、女の子同士なんだし別にいいじゃない。」
「そうですよー、オルカやドロシーになら別に見られてもいいし。」
「あら、じゃあ私は見ちゃダメなの?」
リズがニヤリと笑ってメロディに言う。
「バカ。リズはいつも見てるじゃない……隅々まで。」
「ふふ、そうね。メロディの事は私が一番良く知ってるから。」
おおーい、そこ!
顔を赤らめながら二人の世界に入らないでくれます?
甘いとかイチャイチャとか通り過ぎてすんごいエッチな薫りがするんですけど?
ねぇ、そうゆう雰囲気はどうかと思うな私。
あ、コラ。
向かい合って恋人繋ぎして見つめ合ってんじゃないわよ。
チュッ。
ちょっと!
いきなり目の前でキスとかしないでよ!
ははは 恥ずかしいでしょ!
私もドロシーもテンパって顔が赤くなる。
「ムラムラしちゃった? オルカもドロシーとしたら?」
リズが悪戯っぽく笑いながら悪魔の囁きを言う。
へ?
ドロシー と?
「いいの?」
ドロシーを見ながら尋ねる私にドロシーは
「ダメ。」
そうなんだ。
ガッカリ、シュンとしてしまう私。
「だってリズたちが見てるもん。」
えっ?
そそそ それってリズたちが居なかったらいいって事?
二人っきりならOKなの?
マジで?
ホントに?
私信じやすいんだから信じちゃうよ?
ドロシーを見ると真っ赤な顔をしたままプイと横を向いている。
「二人とも初々しいねー。」
「私たちもあんな頃あったよねー、あの頃が懐かしいねーリズ。」
「そうだねー、私たちは子供の頃からずっと一緒だもんね。」
二人の馴れ初めには興味あるけど流石に今日はそれを聞いてる時間ないもん。
今度時間のある時にでもゆっくりと聞くとして、あんまりゆっくりしてると予約してた髪結いのお姉さんが来ちゃうからね。
あと少しだけお湯に浸かったら身体洗ってお風呂から上がらないとね。