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第12話 窯は出来た、しかし誰が窯を焚くんだ?

朝 いつものように小鳥のさえずる声で目が覚める。

今朝も毛布や髪の毛が朝露で濡れている。

手早く『乾燥』で乾かしながら、やっぱ屋根あった方がいいかな?そう思ってしまった。

屋根がないばっかりに毎日朝露に濡れた毛布や髪の毛を乾かすのも面倒くさいんだよな。

けどそれだと満天の星を眺めながら眠りにつくという最高の贅沢を味わえなくなってしまう。

うーむ。 試案のしどころだ。

けれど答えはほどなく出た。

やはり屋根付きにしよう。

今までたまたま雨が降らなかっただけで、じゃ雨ふったらどうすんだ?って話なんだから。

なので今夜からは屋根付きマイハウスに改造する事にした。


壁に手を当て魔力を流すと うにょん と壁が開く。

外に出てぐぐぅーっと伸びをする。


「んっ。」


毎度お馴染みの干し肉と果物でごはんにする。

相変わらずカチカチに硬い干し肉を嚙みちぎりながら咀嚼する。

朝の果物は、昨日収穫した「女神の贈り物」を選んだ。

昨日の晩は結局食べなかったんだよな、だから今朝食べる事にした。

見た目は超特大サイズのアップルマンゴーそのもの。

その果実からはそれはそれはかぐわしい香りが漂っている。

期待に胸を膨らませながらナイフで切り込みを入れる。

そして一切れ口に放り込む、すると果汁が口いっぱいに溢れ上品な香りが鼻腔をくすぐる。

しっかりと甘いのに後口は爽やかでサラサラと流れる清流のごとし。


「はぁぁ 美味しい♪」


掌を右頬に当て小首を傾げ、あまりの美味しさにうっとりとしてしまう。

こんな美味しい果物初めて食べたかも。

ゆっくりと味わいながら一口づつ食べると清浄なる息吹が身体の隅々まで染み渡るようだ。

嗚呼、もう食べ終わってしまった。 なんとも名残惜しい。

これまた採りに行こう。 決定。

これは出来るだけ沢山キープしておきたいな。



甘美なる朝ごはんを食べた後は毎朝恒例のステータスチェックだ。

さて、昨日と比べてどれくらい成長してるだろうか。

ちょっと楽しみだ。


「ステータス」


名前  オルカ・ジョーノ(城之内 薫)

種族  半神 界渡り人

職業  無職 巨乳 美少女

年齢  13歳

HP   100/100

MP   665/665

ユニークスキル

 言語理解

 創造魔法

 スキル獲得優遇

 魔法の才能

 芳香異体

 ストレージ /時間経過無効1つ・容量制限有(地球一個分)・時間経過有1つ

スキル

 魔法 火  LV2

 魔法 水  LV4

 魔法 風  LV4

 魔法 土  LV5

 魔法 木  LV5

 マッピング LV3

 鑑定    LV4

 魅了    LV2

 気配遮断  LV3

 探知    LV3

 探索    LV3

 索敵    LV3

 警戒    LV3

 木材加工  LV3

 金属加工  LV1

 採取    LV3

 採掘    LV1

 並列処理  LV1

 豪運    LV777


女神の祝福

 HP/MP 自動回復(小)

 毒・麻痺・呪い・魅了・混乱等の状態異常耐性(小)


HPは変わらず……か。 いいんだ、私女の子だし、別に筋肉ムキムキになんてなりたくないし。

MPはまた伸びてる。 相変わらず伸び幅がおかしい。

火魔法はレベルアップしてなかったが、水魔法から木材加工まで満遍なく1づつレベルが上がってる。

レベルアップのスピード速すぎないか? これが普通なの? 違うよな。

絶対おかしいもん、スキル獲得優遇と魔法の才能のせいだろうな。

あと、金属加工スキルと採掘と並列処理が増えてた。

『金属加工』は創造魔法で砂鉄から釘を創った時に獲得したんだろう。

『採掘』はそのまんま鉱物資源の採掘だ。色々と採取した時に獲得した模様。

『並列処理』とは同時に別々の頭脳で別々の処理をする事と私は認識している。

似たような言葉に並行処理と言うのがあるが、これは別々の処理を1つの頭脳で高速に切り替えながら処理する方法で前世ではマルチタスクとか言われていた。

こっちの世界に来て日常を過ごしながら同時に『鑑定』や『探知』なんかを切り替えながら使っていた。 これが並行処理って訳だ。

けれど並列処理が可能になると自分の意識のリソースを分割して有効活用出来るようになる。

つまり、例えば自分の意識のリソースを9:1に分けて、それぞれに並行処理をさせると最大で合計4つの命令を実行出来る。

少なくともメインの意識をフルに使っていても分割した残りの意識の方では2つの処理が実行可能と言う事だ。

これは地味に役に立つスキルだと思う。

なので今後は2つに分けた内の1少ない方に『探知』を割り当て、平行で『気配遮断』、『鑑定』、『探索』、『索敵』、『警戒』などのスキルを順番に使う。

『探知』を常時割り当てたのは安全第一だから。

メインの意識には『鑑定』と魔法を中心に鍛えていこう。

あと、なぜ魅了が上がっている? 意味不明だ。

昨日水浴びをしたからか? それとも私が自分の魅力に気付いたからか?

分からん。 分からんものは何をどう考えようと分からんのだ。



いよいよ今日は薪窯を造る予定だ。

いつもの河原に着いたらまずは『探知』と『索敵』で周囲の確認。

2日目に作っておいた薪窯用の基礎部分のところに歩いてゆく。

薪窯用の材料となる耐火レンガや粘土など材料をストレージから取り出す。

どのような形の薪窯にするかだが、自分の見て知っている形が四角い箱型の上に半円形の丸いドームが乗ったような形をした薪窯だったのでそれを元にする。

ここからはイメージが大事。

こんな感じというのをしっかりとイメージして、

『創造魔法 薪窯造り』

光り輝く丸い環が材料の下に現れる。

そして材料が光に包まれ、高速コマ送りのように薪窯が組み上がっていく。

下の段から順々に耐火レンガが順序良く綺麗に積まれてゆき、出入口部分は縦に細長く上が丸くアーチ状になっている、上まで積み上がったら一旦水平になって丸いドームのような屋根が出来て煙突が付いたら完成だ。


「ふう。 よし、完成っ!」


やはり材料を用意してあると消費魔力もバカ喰いって程多くはないな。

まだまだ余裕がある感じがする。

これなら今日は他にも色々と出来そうで良かった。


薪窯が完成したからと言ってすぐに使える訳ではない。

窯の中の湿度が高いと陶器が割れてしまうおそれがある為、本来なら割れ防止の空焚きが必要になる。

しかしここは異世界(ファンタジー)魔法のある世界なのだ、魔法の乾燥を使ってしっかりと乾かす。


次は窯詰と言う作業に入る。

前世の記憶だとここは重要な作業工程で、焼き上がりを想定して配置しなけばならず、窯詰だけで何日もかかると聞いた。

しかし私の場合は作品作りが目的ではないのでその辺は大雑把だ。

数もそんなに多くはないし窯詰はすぐに終わるだろう。


そしてここからいよいよ焼きに入る訳だが、ここからがさぁ大変!

数日かけて焚き続けて窯内の温度を上げてゆき高温になるまで焚き続ける。

窯の出入口を粘土で塞いで火を止めたら4~5日かけてゆっくりと冷ましてから取り出す。


と、ここまで考えて


「このまま焼きに入ったら私寝られなくない? ずっと徹夜すんの?」


うーん、である。

流石にそれはムリ。

人間寝なきゃ死んでしまう。


うがぁぁぁ せっかく造ったのにお預けかよ。

私の今までの苦労を返せーっ!



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