お祈りメール(2)
突然の出来事に戸惑っている俺には構わず、大地はさらに言葉を続ける。
「お前って確か、地元の企業に就職したんだよな? 仕事、順調か?」
「……まあ……それなりに……」
変なことを言って余計な詮索をされるのも面倒なので、とりあえず適当に話を合わせておくことにした。
っていうか、こいつ東京にいたのか……。全然知らなかった。
そんなことを考えている僕の背中を大地は嬉しそうにバシバシと叩く。
それにしても、こいつのテンションの高さは何なんだ? 昔からウザ絡みしてくる奴だったが、まさか社会人になっても変わらないとは思わなかった。
今はあまり関わりたくないなと思っていると、不意に大地に顔を覗かれた。
マズイ。まさか顔に出ていただろうか。焦った俺は咄嵯に目を逸らす。
しかし、大地は眉間にシワを寄せ、さらに俺の顔を覗き込んできた。
えっ、ちょっとマジで何なの? 怖いんですけど……?
大地は大きくため息をついた。そして困惑している俺に、呆れたように言う。
「お前、ちゃんとメシ食ってるか? 顔色悪いぞ。なんかあったのか? 悩みがあるなら聞いてやるから言ってみろ」
予想外の発言に驚くと同時に、少し胸が熱くなった。俺のことを心配してくれているのか……。
正直、誰かに相談したい気持ちはあったが、無職であることを知られるのは恥ずかしかった。しかも相手は旧友の大地だ。馬鹿にされたくない。
俺が何も言わず押し黙っていると、それを察したのか、大地は困ったような表情を浮かべる。そして次の瞬間、いきなり腕を引っ張られた。そのまま引き摺られるようにして連れて行かれたのは近くのファミレスだった。
席に着くなり、店員さんを呼び止めて注文をする大地。
おい待て。勝手に決めるんじゃねぇ。そう言おうとした時にはもう遅かった。結局、俺は強制的にハンバーグ定食を食べさせられることになった。
腹が減っていたので文句はないのだが、この強引さは如何ともしがたい。そう思っていたはずなのに、定食を食べ終わる頃には不思議とその鬱陶しさにも慣れ、俺の口は随分と滑らかになっていた。さすがは旧友である。
そんな俺の様子を見て、大地は満足げな笑みを浮かべる。
「それで? 何があった?」
そう聞かれたので、俺は今までの経緯を全て話すことにした。
最初は真剣な面持ちで聞いていた大地だったが、話が進むにつれてだんだんと険しい顔つきになっていった。そして、俺の話が終わると同時に、彼は大きなため息をつく。