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エピローグ

「んっ……痛ぁ……」


 頭痛と腹痛で目が覚めた。

 肌寒くて、思わず身震いしてしまう。

 

「あれ……神社?」


 目を覚ましたのは、近所にある小さな神社の境内だった。

 空を覆うような新緑の木々が風で揺れている。

 どういうわけか、ここで眠っていたらしい。


「――ッ!」


 いや、そうだ。

 思い出した。

 私は赤い女に追われて、この神社に逃げ込んだ。

 だけど女の恐ろしい顔を見てしまって、そのまま気絶したんだ。


「……どんな顔だっけ?」


 恐る恐る体を起こすと、目の前に社はあった。

 でも、何故だか嫌な感じはしない。


「んっ……いてて」


 石畳の上で寝ていたせいか、全身がじんわりと痛い。


「んーっ! ふぅ」


 背伸びをすると関節がポキポキと鳴り、いくらか身体が軽くなった。


「はぁ」


 お尻についた砂埃を払い、足元に並んだピンクのプールバックと水筒、空のペットボトルを拾い上げる。

 小鳥の囀りが聞こえて、少し冷たい風が吹いた。


「さむっ……」


 石段を降りると、太陽の光が全身に当たって心地良い。

 公園では、小さな子どもたちが鬼ごっこをしていた。

 そして公園の入り口に、あの女は居なかった。


「…………」


 多分、もう二度と出会うことは無いだろう。

 どういうわけか、それが少しだけ寂しい。


「お腹すいたなぁ」


 プールが終わったらすぐに帰る約束を破ってしまったから、お母さんは今頃心配しているかもしれない。

 まぁ、たまにはそういう日があってもいいよね。


「……帰ろ」


 誰にでもなく呟いて、私は歩き始めた。

 なんでもない、ただの帰り道を。



 ――終わり――

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