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2人の実戦

出会った女性、愛染つららは俺のことを知っている様だった。

俺には全く分からないわけだが、記憶がはっきりしていない俺に過去を問うほうが無理があるというものか。

仕事キャンセルしてくる、と言っていたつららが向かった方からはスタッフのものであろう驚きの声が響き渡っていた。


「全く問題ないって!じゃあいこっか!」


『どうすんだよ今日の予定!』とか『どうしようもないだろなんとかすんだよ!』

って怒声が聞こえてくるのは気のせいではないはずだが…


「多分、俺にできる事は何もないな」


目を、逸らすことにした。俺には荷が勝ちすぎる。 


「んで、どこに行くんだ?」


何の予定も聞かされていない。聞いたのは能力のことだけである。

まるでどこかに行くことが確定しているかのような口ぶりには違和感を覚えた。


「どこって…仕事始めるんじゃないの?」


つららがあやめのほうを向いて問いかける。


「いやー、まだ説明してなくて…」


どうやら、何か重要な説明をされていないようだった。


「今から、しようと、してたんだよ?ほんとだよ?」


「待った。ここで話す気?」


話し始めようとするあやめをつららが諫める。

一旦逢魔堂まで戻って、話をすることになった。



そして、逢魔堂のテーブルを少しどかして大きめのスペースを作ると、こほん。とわざとらしい咳払いをすると、あやめは語り始める。


「じゃあ、まず最初のお仕事。覚えてるよね。」


「ああ。百鬼正宗(なきりまさむね)の捕縛だよな。」


「そう。彼は一筋縄ではいかない相手だ。相手の情報は調べてあるから、先に伝えておいていいかな?」


有名な人物なだけあって能力は割れているようだ。

聞いておいて損はないので聞いておく。


あやめの話によれば、彼の能力は実に単純明快。刀の具現化だった。

その切れ味は最高峰、腕前も相まって一撃必殺の剣技へと昇華されているという。

特殊な能力持ちが多い中で刀と腕前のみで最高司令官まで上り詰めている時点で、その強さがうかがえる。


「剣技…か。純粋な強さはそれだけで脅威足り得るからな。」


「そう。じゃあ、次はあたしの能力をお見せする番だね!」


そう言うとあやめは自分の目元にピースサインを横向きに持っていくと、そのままシャッターを切るかのように指を閉じた。


「これが、あたしの能力。煌く世界の瞬間保存(ワンタイム・カット)


そう言って見せてくる紙には、あやめから見た風景がそのまま写っていた。


「一定の所作を取ることによって、私の見ているものを切り取って転写することができるって能力。」


綺麗に写されたその紙は、その瞬間をそのまま引き抜いたかのような生々しさすらあった。


「ただ、これやった後数秒くらいだけ色の見分けができなくなるんだよね。今は皆黒髪の白い服に見える。」


よく見ると、その瞬間だけあやめの瞳の色が無くなっている。

だが、ほんの数秒待つと綺麗な翡翠色の瞳に戻っていた。


「この能力…で戦うのか?」


正直、一切戦いにおいて役に立つようには思えない。

情報戦の見地では確実に情報を写し取れる能力ではあるのだが。


「流石にこれで戦えはしないかな!代わりにほら、これ。」


懐から短刀を取り出してクルクルと回す。

そしてぐっ、と姿勢をかがめてこちらに向かってくる。


「っ!?」


身をかわす暇もなく、後ろに回り込まれて首筋に刃をあてられる。


「ね?能力だけが戦いじゃないんだよ。」


いつの間にか短刀をしまって、あやめは元の位置に戻っていた。


「じゃあ、次は氷河の能力を見せて。私のは見たんだから、良いでしょ?」


そう言われて見せるものでもないのだが、これから一緒に戦う以上は情報の共有も必要だろう。

俺の能力は『銀世界の支配者(シルバー・マスター)』。

周囲の水分、及び大気等に干渉し、温度を操作する能力。

一気に温度を下げれば氷を作り出して武器にもできるし、相手の周囲のみを熱帯のように熱くすることもできる。

だが、その代償に俺の体温も同じように上下してしまう。

温度を下げる場合は俺の温度も徐々に下がっていき、温める場合はその逆が起こる。

使うたびに体調を崩す、使いづらい能力である。


それなりに分かりやすく噛み砕いて伝えつつ、どう戦おうか軽く考える。


「ふーん…凄い能力だなぁ。一旦、実戦やってみようか」


あやめがトントン、っとスキップするかのように距離を取る。

その足元を、凍らせる。


「ひゃっ!?」


突然生成された足元の氷に反応しきれないあやめはしりもちをついて転んでしまう。

あとは氷でできた槍を伸ばして勝負あり、といったところだ。

だったのだが。


「ちょ、どこ見てんですか変態!」


というあやめからの一声に、思わず目を背けてしまう。

別にみていたわけでは無いのだが。


「あー、もう大丈夫か?」


目を逸らして、確認を取る。


「はぁい、大丈夫ですよー」


というその声は、目の前。すぐ近くからした。

視線を戻せば首筋に短刀が突きつけられている。


「はい、あたしの勝ち!無力化ってのはきちんと相手の武器か、命の選択権を取ってっから言うもんだよ?」


「ズルくないかそれ!?」


という抗議もむなしく。そこに居た全員が『目を離した方が悪い。』との答えだった。

世の中の理不尽を少しだけ知った気になった。

危ない…

約1週間あけてしまいました。PCが繋がらなくなって急遽スマホから投稿してます。

ともあれ、ここまでお読み頂きありがとうございます!

能力名が中二病臭い?そりゃ当たり前ですよ。

本人たちに朗読させる時にちょっと赤面させるのが目t…

じゃなかった。心はいつでも中学生ですからね。僕は。

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