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偶像に会いに行く

俺の行動を明らかに操作された。

その感覚はあったものの、逆らうことができなかった。

それどころか、あの声に聞き覚えすら感じていた。


「あやめ、あの声はなんだったのか、それだけは教えてくれ。」


「あー、やっぱり気になっちゃいます?まあ流石に悪いことしたなって気はしてるのでちゃんと答えるんですけど。」

うーん、と少し考えたようなそぶりを見せるが、それならいいか、と話し始める。


「あの声は、この国どころじゃない。今や世界的な偶像(アイドル)愛染(あいぜん)つらら。彼女の声は、聞いた者の思考をそぎ落とし、行動をある程度まで操作できる。」


愛染つらら。その名前を聞くのは初めてではない。間違いなく断言できる。

この国で聞いたわけじゃない、もっと昔。記憶を失う前に。


「俺は、その人を…知っていたのか?」


あやめは、間違いなく俺よりも俺に詳しい。何もわからない俺には聞くしかない。


「うん。やっぱり、直接会える人は思い出せるのかな。」


あやめの反応はあっさりしていた。こう言われることを予期していたように、いつもの明るさは全く感じられないような静かさだった。


「じゃあ会いに行ってみようか。愛染つらら、本人に。」


聞けば、相手はトップスター。しかも持っている能力は相手の思考を操作するとてつもなく恐ろしいもの。

俺はどう返事をすべきか分からなかったが、


「行かないの?」


と問われて『行かない。』と言えるほど俺は強くない。

歩いて数十分。大きなスタジオの前に俺たちはいた。


「じゃ、いこっか。」


「いや、まずアポイントメントを取るとかそういうのじゃないのか?」


「大丈夫、いけるいける。」


腕を引っ張られながら中に入る。

『おはようございまーす!つららちゃん今どこですか?』

なんて普通に話し始めるあやめを止めようとするが、

『ああ、今はちょうど休憩中だから控室に居ると思いますよ?』

と、普通に返される。


「なあ、どういうことだよ。ここの関係者なのか?」


「ううん。ここの、ってよりつららちゃんの関係者。さて、ここだね。まずは一人で会ってみな。」


ドン、と背中を押され、扉の前に立つ。

ノックをすると、返事が返ってくる。


「失礼します…」


ドアを開けるとそこに居たのは、恐らくステージで着るのであろう衣装に身を包んだ青いロングヘア―が綺麗な女性だった。


「……氷河?」


こちらを見るなり名前を呼ばれる。

透き通るような声は、頭に直接響くかのように俺に響いた。


「あ…はい。夜上、氷河…です。」


無意識に敬語になる。自己紹介もたどたどしい。

緊張、とはまた違う、言葉にならない感情が心の奥から湧き上がるのを感じていた。


「やっぱり!絶対また会えるって信じてた!」


駆けよられ、抱き着かれる、

何も分からないが、とりあえずこの状況を他の誰かに見られるのはまずいということだけは分かる。

そして、とても綺麗に仕上がっているアイドル体形は俺への刺激が少々強い。


「これまで何してたのかも聞きたいけどここじゃ話しづらいよね。あ、私がどうしてアイドルになってるかも言わなきゃいけないし、でもまずは氷河の話をきちんと聞いて現状を共有しないとだね。とりあえずこの後の仕事キャンセルしてくるー!」


一切噛むことのない怒涛の早口。言いながら走り去っていく様に俺は


「いや、あの、ちょ…」


と、情けない声を出すしかなかった。


「ほほう、ええもん見させてもらいましたよー?」


と横からちょっかい出してくるあやめには一発チョップを入れておいた。


やっとここまできた…

ここまでお読み頂きありがとうございます!

今回登場してくださったのは

愛染つらら (@gkoxGAME) さんです。

本当は最初に出会うのが彼女の予定でした。

何故かこんなに引っ張って出会う形になりましたがここから色々動いていったりするはず…はず…


自分で書いていながら自信がありませんが、とにかく!

やや不定期ながらも更新していきますので次回をお待ちください!

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