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037 - グルンフィルステーション潜入準備

「おはようございます 」

 エンジュの挨拶(ひとこえ)で、意識が暗闇から引き上げられる。


「おはよぅ……」


「ぐぇ」

「おはようございまふ……」


 昨日は、みんなお腹一杯となったところで、早めの就寝となった。朝に古戦場到着前のジェットコースターから始まって、色々あったので疲れていたせいもあるだろう。

 いつも通り軽くシャワーを浴びて、食事を済ませるとエンジュが秘書の恰好で立っている。


「いろいろ活動してきた結果、色々と確認しないと今後の活動に支障が出ると思われます。 朝は報告会で始めましょう 」

 なるほど……とりあえず報告してくれるなら、お願いしよう。


「よろしくお願いするわ」


「まずは本艦の現在位置ですが、グルンフィルステーションから1光日の位置に停泊しました。 第2分艦隊とはステーションを挟んで反対側の位置になります。 第2分艦隊はステーションから0.82光日の位置を光速の10%の速度で移動しています 」


「あー、そういえば進んじゃってたわね……止めた方がいい?」


「この後どうするかにもよりますが、まだ、大丈夫です 」


「じゃ、そのままで」


「かしこまりました 」


「次は本艦周辺の状況です。 2日間に渡る観察の結果、グルンフィルステーションはやはり古戦場領域探索の拠点として活動していることがわかってきました。 観察の期間中に、古戦場領域に移動した船はジンさんの船を含めて9隻、戻ってきた船は7隻です。 これらの船はすべて違う船であることから、サルベージ作業は数日以上を掛けて行われているものと思われます。 ちなみに、ジンさんもまだ戻ってきていません。 その他の領域からの船は、到着した船が2隻だけです。 ちなみに到着した船のうちの1隻は、先日救出した、ミルア・セレスティンさんが乗っている船、クィーンバタフライ号です 」


「あ、ミルアさん無事に着いたんですね。よかったです!」

「今はステーションにいるのか?」


「そうですね。 船はステーションに入ったところでビーコンを切っていますから確実とは言えませんが、ビーコンなしで飛び立つ理由もないと思いますので、そう考えてよいかと思います。 あと、現在のグルンフィルステーションの大まかな地図ができました。 リアクターエリア、エネルギー経路、人の移動に関する情報が集まっています。 具体的には、行政区、上級住宅地区、宇宙港エリア、繁華街、工業エリア、交通機関、中級住宅地区、食料生産エリア、下層住宅地区等の分類ができています 」


 目の前に3Dのステーションが色分けされて表示される。中央シャフトが行政区を中心とする上級市民エリアで、中心から伸びるハブとハブに近い円筒が中級エリア、円筒の外周に近づくとスラムに近くなっていくようだ。

 スラム街は人が多いが、エネルギーが少ないのが良くわかる。

 各エリアには交通機関があるが、直通という感じではなさそうだ。


「ミルアさんの場所は分かるの?」


「いえ、分艦隊の距離からでは個人識別はできません。 ただ、宇宙港エリアから行政区、繁華街のあたりにいると推定されます 」


「ちょっと会いに行ってみる?」


 上手くすれば、偉い人に取り次いでもらったり、商人とかに顔をつないでもらったりすることもできるかもしれない。


「忍び込むのか……?」

「そうですね。少し気になりますね……」

 おや、タマミちゃんの方が乗り気のようだ……


「ピンポイントの場所はわからないので、会えない可能性の方が高いですよ 」


「あら、もっと近づけば分かるんじゃない?」


「それはそうですが…… 」


「まぁ、先に報告を全部聞いてしまいましょうか!」


「はい。 次は、艦船関係の状況です。 艦長のご要望で修理を開始した艦船工場が、昨日の8時に修理完了しました。 同時に、アルクタクト本体の修理も再開しました。 続いて艦長の希望の船の建造が先ほど完了しました。 就航までにはあと22時間のテストが必要です。 艦船工場ではラング希望の船の建造に移っています 」


「もうできたのね! 早く見て見たいわね!」

 建造に掛かる日数は聞いていたが、実際に出来たといわれると()()という間すぎて怖い……


「もう俺の船作ってるのか! すげぇ、早く見たい!」


「帰れば、すぐに見れますよ…… アリスが拗ねる前に帰りましょうね 」

 あー、そういえば1日以上アルクタクトから離れている。

 こんなに長時間離れるのは今回が初めてか……


「まぁやることやってからね」


「最後にアルクタクトの修理状況ですが、ハイブリット8号機の修理が明日完了予定です 」


「今回、手に入った資材……エムニウムコアだっけ? あれが手に入るとどれくらい早くなるの?」


「それに関しては、主機関の修理ではなく、相転移炉の修理に必要になります。 ですので、出番はもう少し後ですね 」


「分かったわ……報告は以上かしら?」


「はい。 以上です 」


「あ、そうだ、私からも報告が一つあるわ。昨日の古戦場領域での移動によりM(magitoron)P(粒子)の回収ができたという話だけど、現時点でMP残量は64.4 % になったわ。これの有効活用も考えないといけないわね」


「了解しました 」


「それって何ができるんだ?」 とラング。


「それが、まだあんまりよくわかってないのよね……一回使い切ったらほぼ回復しないものだから」


「MPの性質については帝国のテクノロジーでも未解明の部分が多く残っています。 艦長の故郷の技術の方が優れていたようですよ 」


 ……それは誤解です。


「すげーな、この船でもなんでも出来るのに、さらにすごいことができるのかー」

「艦長がやっている高度隠蔽もMPでやってるいんですよね? あ、そういえば、昨日の残骸を消したのも……?」


「そうね。あれは ”収納” という使い方よ。使い方も、使う用途もよく考えて使わないとね」


「そうです、艦長! あまり外部の人間にホイホイ技術を見せないでください 」


「昨日のは、いきなりでびっくりしましたよ!」

「確かに、よーく考えないとな!」


「あはは……」




「では、今後の予定を立てましょうか。私が気になっているのは3つね。ミルアさんの件と、私の新しい船、そして収納してしまった残骸の中のエムニウムコアね。新しい船はまだ動かすのに1日掛かるし、エムニウムコアも後回しでいいかな……ミルアさんの件は、ステーションの中を見て見たい、というおまけもあるわね」


「ミルアさんに関わる前に、新しい船を使わないのですか? 」


「どのみち、ビーコンの目途も立ってないし、新しい船が民間船でも、いきなりステーションに横付けするわけにもいかないでしょ?とりあえず、隠蔽で行けるところまで行ってみましょ!」


「潜入はホログラムで? 」


「あれは確か距離制限があるでしょ?」


「はい。 複数のダメージコントロールキューブを使用すれば範囲は広げることもできますが、広い所への潜入にはあまり向かないですね 」


「じゃ、最初だけは近づいてホログラムで下見をしましょ。様子を見て大丈夫そうなら実体で行きましょう。転送は使えるのよね?」


「今のところは大丈夫そうです。 気が付かれた場合、妨害される可能性はあります 」


「ということだけど、あなた達どうする?」


「ミルアさんも気になるので行きます!」

「タマミが行くなら俺もいくゾ」


「オッケー。じゃあ、ステーションに向けて移動開始!」


【アイアイマム!】




「ユークレアス分艦隊、グルンフィルステーションに向けて移動を開始します。移動方法はワープですか?」 とラング。


「そうですね。 0.5光時までワープで接近しましょう。 ワープ開始前に光速の20 %まで増速しておいてください 」


「了解。ユークレアス分艦隊、光速の20 %まで加速しまス」


「艦長、第2分艦隊はどうしますか?」

 タマミちゃんが分艦隊の担当になっているようだ。


「そぉねぇ。私たちもステーションに長居するつもりはないから、ステーション到着の2時間後くらいに合流できるポイントに移動できる?」


「かしこまりました。っと、エンジュさんこういう時はどうやって操作すればいいですか?」


「色々ありますが、ポイントと時間を指定するのが簡単ですね。 効率的な移動方法を出してくれるので、後はこのパネルで調整すればセットできますよ 」

 エンジュの説明に、タマミちゃんもテンポよく頷いている。


「艦長、第2分艦隊もワープの必要があります。よろしいですか?」

 まぁ光速でも半日以上掛かる距離に居たはずなので、ワープは必要だろう。

 少し遠目のところでワープアウトしてもらうか……


「ワープの距離を短めにして、すこし遠目でワープアウトして頂戴」


「了解しました。第2艦隊合流ポイントセット完了。移動を開始しました」


「本艦隊のグルンフィルステーション到着は3時間半後の予定でス」


「さて、それじゃあ……」


「艦長、上陸訓練を行いますよっ! 装備の習熟も必要ですからねっ! 」


「はーい」

 うん、知ってた……

(修正)

ダメージコントロールボックスを、ダメージコントロールキューブに名称変更しました。

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