第七幕 相克相生双生相乗相対運命デュエルLINE 17
七幕十七話です、よろしくお願いします
俺と睦美さんが結ばれた日。その深夜。
俺はまた、いつものようにベッドに寝転がって睦美さんと連絡を取っている。
睦美さんと連絡を取るなど、もはや特別なことではない筈なのに、初日以上に胸が高鳴る。
彼女ができた。それはやはり、一介の学生にとってはあまりに大きなイベントだった。過程が過程なのもあって、この高揚感は多分普通より大きなものだろう。
あの後、二人でずっとくっついたまま夕方まで過ごし、ちゃっかり夕飯まで頂いて帰ってきた。疲れたのか、睦美さんは暫く、ソファで俺の肩に頭を預けて寝ていたが。
それから、流石に泊まるわけにはいかないので帰ってきた次第である。
帰り際に頬に貰ったキスの感触は、得もいえぬ多幸感を俺にくれた。
帰ってから兄に体調不良で学校を休んだのがどういうことか問い詰められたが、事情を少し説明すると頷いて、肩をバンバン叩きながら泣いておめでとうと言っていた。
両親にはまだ睦美さんの話はしていないが、今週彼女が家に来ることになっているので、その時にタイミングが合えば否応なく晒すことになるだろう。……正直、そのことを忘れていた。両親に彼女を紹介するというのはなかなかに気恥ずかしいことなのだと、それを控えて初めて考えていた。
睦美さんが挨拶したがっているのもあるし、きっとそれは成るだろう。今なら二人そろえばどこでもイチャイチャしてしまいそうなものだが、自宅、というか身内の前だけは例外だった。
《土曜日、楽しみにしててね》
《ああ、そうしておくよ》
しかし、楽しみにといっても、何をしてくれるのだろう。いつもいつもなにかしらの手料理を貰っているわけだが、流石にゲストに料理を作らせる我が家族ではない。それが母か兄かは分からないが、いずれにせよ睦美さんが我が家のキッチンに立つことはないはずだ。
となると何なのだろうとは思うが、まあ詮索するのは無粋か。
《じゃあ、そろそろお休みかな》
言われて画面の左上にちんまりと表示される時間を見ると、日付が回っているのがわかる。
やはり、彼女と話す時間は短く感じるなあ、と思っていると、また睦美さんからメッセージが届く。
《おやすみ。大好きだよ》
……ああ、もう。
《おやすみ。俺の方が好きだけどな》
とだけ返し、電気を消してスマホを置いた。連続する通知にスマホが震えているが、今日はこのまま寝よう。
朝睦美さんの反応を一気見するのも、それは面白いものだし。
そうして、目を閉じる。浮かぶのは無論睦美さんだが、その後にちんまりと華月の言葉が脳裏を過ぎる。
華月の残した爆弾。
俺と睦美さんは、そのことに関しては不干渉を決めた。
俺たちが干渉することではないと思ったからだ。
が。
それでも、思うところはある。
それは……。
12
深黒の闇の帳が世界を支配する深夜。その中で輝く満月を部屋の窓から眺めながら、私は今日の出来事に思いを馳せていた。
本来なら今日、両親に引っ越しの話を伝えるつもりだったのだが、その必要は無くなった。まさか、私と姉が再び姉妹として相見えようとは。こんな未来があるなんて、思っていなかった。無論、罪が清算された訳ではない。昔のように接することができるかはわからないけど、それで十分だった。
欠けた半身を取り戻した私は、とてつもない充足感に満ちていた。
が、流石に月を見上げるにも飽きがくる。
向きを反転し、窓に背中を預け、スマホを開く。
姉の幸せ。私が願うのはそれだけだった。けど、もうそれだけを願う必要はないのかもしれない。その役目は、あの飛鳥という馬鹿に委ねても良いのだろう。
私も、私の運命を見据える頃合いなのか。
無論、姉は大事だ。今でも私にとって一番大きな存在だ。本来ならまだまだそんな時期ではない。が、相手が彼となると話は別だった。
姉の幸福に、繋がっているかもしれないのだ。私が幸せになると姉も嬉しい、と、それ以外の理由で。
具体的には、姉の幸福を司る相手の幸福に少し影響を与えかねない問題だから。どうするべきかなんてまだマギにもわからない。だからこそ慎重に行動する必要がある。
魔法のアプリを開き、私の運命を表示する。
即ち。
蓮城 要の名を。
読んでくださった方、本当にありがとうございます。
感想や評価、誹謗中傷でもくださると、作者は嬉しいです。
次回でもよろしくお願いします。
ここで七幕も終わり。ここまでで大体全体の半分くらいの予定です。もうすこし伸びるかもしれませんが。
あと、今週の木曜の更新は展開考えたいのでおやすみします。申し訳ありません…




