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馬鹿みたいに恋がしたい  作者: 川面月夜
第七幕 相克相生双生相乗相対運命デュエルLINE
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第七幕 相克相生双生相乗相対運命デュエルLINE 16

七幕十六話ですね、よろしくお願いします

十分程抱き合っていただろうか。

 流石に涙も引っ込んできたので、お互い背中に回した手を解き始めた。


「……まだ、どう向き合えばいいのか分かりませんが……それでも。前を向こうと、思います」


おずおずと、華月は言った。そのまま、フレンチトーストを食べる飛鳥君の方を見て、華月は続ける。


「……ありがとう、ございました」

「俺のためでもあるさ、気にすることじゃないな」

「……それでは……」

「気が済まないならなんかお返しでも」

「……わかりました。期待していてください」


 飛鳥君は一つ頷いて、


「甘いもの食べてたら、カフェオレでも飲みたくなってきたな」


 などとなんだか含みのある言葉を言う。


「……カフェオレも甘いと思うよ……?」


 と返しはするが、まあ、象徴としては悪くない。


「ちなみに、砂糖は」

「たっぷり」

「わかった」

「ありがとう」

 

 華月の頭をポンと撫でてから、飛鳥君のリクエスト通りにカフェオレを作りにキッチンに行く。

 たしかに、牛乳とコーヒーを混ぜるという行為にはなかなか感慨深いものがあった。


 三人分のカフェオレを作って持っていくと、飛鳥君の隣に華月が座って、何やら話し込んでいる。


「どうしたの?」

「いや、色々気になることがあるからな」

「あー、たしかに」

「……それに、嘘も訂正しないといけませんね」

「まだなにか隠してんのかよ」


 呆れ気味に言う飛鳥君にボクも同調する。なぜこんな風に育ってしまったのか……とは、冗談でも言えることではないか。

 飛鳥君の隣から華月を追いやり、そこに座る。呆れたようにさっきの席に着く華月とフレンチトーストを肴にカフェオレをやりながらまた顔を突き合わせる。


 皆が一息つくと、少し神妙な顔をして華月が切り出した。


「さて。では、私の嘘ですが……」



 華月が、とんでもない爆弾を残し去って行ってから、十五分経った。結構根底から覆されるものだったので、ボクと飛鳥君は内容も含めて唖然とするばかりだった。


 席は変わらず、隣に座り、空になったフレンチトーストのお皿を二人で眺めたり、また手を繋いだりしていた。


「……とんでもないやつだったな」


 という飛鳥君の華月評は、全く持って真実だ。去り際に「また会いましょう? お姉ちゃんと、お兄ちゃん」そんなことを言い残し、昔みたいな悪戯っぽい笑みを少しばかり浮かべて家を出ていった。


「この先、どうするんだ?」

「……そうだね、暫くは、このままだと思う」


 いくら一応の和解が成ったとはいえ、飛鳥君無しで会えるという自信はまだない。少しずつ慣らしていくしかないだろう。

 それと、両親。ある意味では華月以上にボクを追い詰めた存在だし、素直に会いたい、とは思えない。無論、華月と同様、このままでいいと思っているわけではないが、やはり暫くは慣らしの期間になるだろう。

 養ってもらっている分際で生意気なのはわかるが、だからとすぐ共に暮らせるかというと、そうではない。


「そうか……」

「そんな顔しないで。今、ボクすっごい幸せなんだよ」


 言いつつ、椅子を寄せて飛鳥君の肩に頭を乗せた。そのまま腕を絡めて胸に寄せ、抱きしめる。

 こうしていると、すごく落ち着く。そして、すぐ胸が高鳴る。


「い、今その必要あるのか……?」


 さっき、バスに乗っていた時は、華月を横に震えていたけど、今は違うではないか、と。

 そういう飛鳥君だけど、ボクに言わせてみれば、今こそその時だと思うのだ。


「今だからこそだよお?」

「……そ、そうか」

「嫌だった?」

「わかりきったこと訊くなよ」

「えへへ」


 胸が高鳴る。心臓がバクバクと鼓動し、布を越して飛鳥君に伝わってしまいそうなほどにドキドキしている。

 ……恥ずかしいけど、伝わってほしいとも思う。ボクがどれだけ彼を思っているのか。だから、もっと強く、強く抱きしめた。


「なあ、睦美さん」


 ふと、飛鳥君が呟くように溢した。

 その言葉を聞いた瞬間、抱きしめる力が緩んだ。多分、続く言葉は、その、アレだ。


 ボクたちは今まで散々、お互いの問題を解決しないと告白できないと抜かし続けてきた。抜け駆けしたボクだけど、まだ答えを聞いたわけじゃない。


 なかった。


 抱き抱える腕と、飛鳥君がこっちに向き直る。


 ああ、かっこいいなあ、好きだなあ。

 そんな思いが内心で言語化されるのと同時に、彼の口が開く。


「好きだ、付き合ってほしい」

「あ、う」


 わかってはいた。わかってはいたけど、実際に聞くと、こう。

 凄く、来るものがある。

 昨日の飛鳥君もこんな気持ちになってくれてたのだろうか。

 だとしたら、いいなあ。


「う、と。その……」


 答えなんて決まってる。決まってるのに、口が動かない。あまりに大きな思いを出力するに、この口は小さ過ぎた。


 だから。


 抱えていた左腕を離し、飛鳥君の口に……その、口を付けた。……キスをした。


 そうして、自分が何をしたのか理解して、したからこそ、今度は飛鳥君の腕でなく。全身を抱きしめた。

 彼の胸に埋まり、その匂いと温度を感じながら、嘘偽りない本心が溢れた。


「……ずっと、一緒にいようね」


 きっと、飛鳥君も赤面しきってる。だから今は、ボクに回された両腕が答えだ。


 あとは、言葉は要らなかった。

 しばらく、ボクたちはそのまま抱き合っていた。

読んでくださった方、本当にありがとうございます。

感想や評価、誹謗中傷でもくださると、作者は嬉しいです。

次回でもよろしくお願いします。


長かったですね…ここまで

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