第七幕 相克相生双生相乗相対運命デュエルLINE 11
七幕十一話です。目が痛いので途中ですが投稿します、明日追記しますので、どうかお許しを…
中学校に赴いたが、思うことはさして変わらない。双生会の影がない分嫌な思い出も少ない場ではあるが、結局どうあれ姉に収束していくのだ、私の思いなど。
体育に励む生徒達を柵の外から見やる。無邪気に楽しそうに授業に取り組む彼らと私たちと、何が違ったのだろう。この地に産まれ、生きてきた。それは同じなのに、なぜ私はこうも孤独なのか。
……馬鹿か。それは、全て自分が招いたことに他ならない。
それは、姉がどうとか関係なく、だ。曲土の娘である明美とかいう娘が姉に牙を剥いた時、私はことの顛末を理解していた。曲土がこのことを知ったなら、この娘はきっと碌な目に合わないだろう、と。それが具体的にどういったものかは流石に見当もつかないが、どうであれ興味はなかった。
姉は一応明美に友として接していたが、私はそうではなかった。姉以外の何も信用できずにいたからだ。だが、私も明美に心を開き、友として語らっていたら、何かが違っていたのだろうか。
或いは、破滅の見える明美に、私が手を差し伸べていれば。
そこから、外界への目の向け方が変わり、外界が私たちを見つけ、運命の呪縛を打ち壊す、そんなルートがあったのだろうか。
……周回するギャルゲーでもないのに、そんなことを考えてしまう。きっと、選択肢はいつだって提示されていた。それでルートが変わるかはわからないが、そういった可能性すら閉ざしていたのだと、今なら思える。
だって間違いなく、私が迎えたのはトゥルーエンドではないのだから。
無論、当時の私がそんな考えを容れるわけはない。考えるだけ詮無いことだけど。
日差しに目を伏せ、私は校舎に背を向けた。
◆
さて、次に赴きたるは小学校。
立つ荒波の高さは幼さと比例していたから、遡る毎に心持ちは穏やかになりつつある。
腹の底の諦観は拭えないにしても、覆って隠すくらいは、できる。
曲土との接触があったのはここに通っている時期だったが、それと小学校とにはそこまで関係はない。幼少の頃のあの劇の時点で、私達は目をつけられていたらしいから。
まあ、ここには特別思うことはない。そのまま幼稚園に向かう。正確には、その跡地へと。
少子化もあってか、私達の通った幼稚園は潰れたらしい。私達の都合上、あんまり大きな幼稚園に入れたくなかったという両親の思惑もあって、かつて通った幼稚園はそれほど大きなものではない。
しかし、それでも心に残る思い出は計り知れないほどに大きいものだ。こんな人生だから、なおさらに。
ペットボトルの水に口をつけながら、ぼんやりと、今は無きあの頃の情景を眼前の一軒家に重ね見る。
そこにあったのは、安息の時。園児達とも大きな衝突はなく、普通に。そう、普通に過ごせていた時期。家にあっては両親、そして姉と楽しく笑い、園にあっては友、そして姉と手を繋いで笑う。
そんな普通の安息が、ここにはあった。
それを思うと、胸がはち切れそうになる。
小さくないこの胸すら破裂しそうになるのだから、まったく持って笑えない。
幼稚園での思い出として最も強く残るのは、やはり皆で紡いだ劇だろうか。
思えば、あの後私は、ボク、を使うのを一時やめたのだったか。
……曲土と個人的に接触していた時期、私は内心でボクに戻っていたことがあった。思えば、最初にそうなったのは、園児達から姉を守ろうとした時だった。私は烏滸がましくも、姉を守ろうなどと思っていたのだ。
高校生になってもボクなんて一人称を使う程度には、私は平静を保てていなかった。
今となっては笑い話にもならないものだけど。
……ダメだな。わかっていたことだけど、ここに来るとどうにもセンチメンタルが抑えきれない。
「ほんと、笑えませんよ」
ここ通っていた時のように笑えたら。どれだけ良かったろう。けれど、その道を閉ざしたのは私なのだ。
だから、そんな資格はない。あってはいけない。
こんな感傷すら、本来は許されるものではない。
「……さて。そろそろ帰りますか」
名残惜しいけれど、だからこそ。
もう二度とここに来ることはない。
私は、この渋谷を去る。
慣れ親しんだ喧騒を忘れ、過去を振り切り新たな地に足を踏み出すのだ。
心残りがあるとすれば無論姉だが、彼がいればきっと問題あるまい。
私の役目は終わった。
そうして、また振り返った時。私は、自分の目を疑った。
「……久しぶりだね」
まるで、さっきまでの幻想がそのまま現出したような心地だったが、そうではない。
眼前の姉はあの頃より大きく成長しているし、何より。
眼前の姉は、かつてとは違い、一人の少年と手を取って私の前に在った。
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