第七幕 相克相生双生相乗相対運命デュエルLINE 4
七幕四話ですね、よろしくお願いします。
『それで、姉に全て打ち明けた、と』
「そういうことになるな」
時刻は、午前0時を少し過ぎた頃。
華月に、睦美さんに話したことをチャットで伝えたところ、即座に通話が来たのが2分前の話である。
チャットでない辺りに彼女の焦りが見える。彼女にしてみれば、これまでの行動全てをひっくり返すに足る行いだろうから、無理もない。
本当は、華月とももっと交流を深めてから状況を動かしたかった。
けど、親睦を深めるのは後でいい。本当に睦美さんと華月との和解を望むなら、多分外堀から埋めてやる必要がある。
きっと、今のこの華月という妹は、姉のためならほんとうになんでもできるのだ。……和解以外なら。
彼女の罪悪感を消すことはできないだろうし、それは否定してはいけないことだ。けれど、その上で、和解を望む。和解をしない方が姉は傷つくのだということを理解させる。これ以外に道はないだろう。
「睦美さんは、君が二回目に至った動機次第では、歩み寄ることができるかもしれないと言っていた」
そして、その道の上にある最も大きな石。多分、横から押し出してどけてやらないと、その道は通れない。
即ち、第三者である俺がやる必要がある。だから……。
『どうして余計なことをするのかな……』
ボソッと。俺の思考を遮るように、華月が呟いた。
『あなたは姉と幸せになればいいですよ。それでいいじゃありませんか。私の居場所なんてありませんよ、姉の側にはね』
「そんなこと」
『じゃあ、こう言いましょうか。私を姉の側におけば、私はまた姉を犯しますよ』
拳銃を突きつけられたような心地がした。けど、多分。
「……嘘、だな」
『は? あなたになんでそんなこと』
「姉妹だから」
節々から、血は争えないのだということがわかる。兄弟というのはそういうものなのだ。多分。能力が違っても、性質はどこか似ているものなのだ。
それに、丸わかりなのだ。ほんとうは華月が和解したいと思っていることなど。その思いがないなら、俺に事情を打ち明ける必要などないのだから。
「和解したいと思ってるから、俺とまだ繋がってるんだ、君は」
『……どこまでもイラつかせる答えですね……いいですか。私は意味もなく』
「そう、そこなんだ。どうして、すべてが終わっていたあの時にまた睦美さんに手を出したのか」
それだけは、いくら考えてもわからなかった。
『……まあ、約束ですからね。それは伝えますよ』
大きな溜め息の後、華月は続ける。
『姉の運命を、変えるためです』
「は? どういうことだ」
『そのままの意味ですよ。姉の運命の相手。そんなのいなかったんですよ、あの時は』
「……おかしいだろ、矛盾してる! 俺がアプリに導かれて睦美さんと繋がったのは、君が再度睦美さんに手を出す前だった!」
『運命は変わりませんからね。不変のものですから』
もう、意味がわからなかった。運命を変えるために睦美さんに手を出したのに、運命は変わらない? 何を言っているのだろう。
『運命が変わる運命だったということです。すべてはあらかじめ決まった一つの流れに沿っている。運命が変わることまで含めてね。それを含めて、運命、ということです。アプリが示す相手というのは、この運命における最終到達地点を指します……正当化するつもりはありませんが、私が姉を犯し、姉を追い込まなければ、あの時貴方は姉の元には行かなかったでしょう』
……それは、そうだ。そもそも睦美さんが助けを乞うたからこそ睦美さんの家に赴いた。ヘルプがなければ、あの段階で俺たちが直接会うことはなかっただろう。
『それが、あなたたち二人には必要だったのですよ。なぜなら、あの時あなたがあのまま淀見 つぼみと相対していた場合。あなたは彼女への恋心を振り切ることはできなかったのだから』
「そん、なこと」
『ない、と言いきれますか? 心の底から』
「それ、は……」
『別に、今のあなたの姉への気持ちを疑っているわけではありませんが。当時のあなたには無理だったみたいですよ。まあ、別に責めているわけではありません。それまで培った恋心を、実在の確信すらない者のために捨てろというのはなかなか酷な話ですしね』
凍てつく氷の声が、俺の肝を冷やしていく。
『っと。話が逸れましたね。……まあ、二回目に及んだのはそういう事情です』
「……なんで、そんなことがわかる」
『アプリの新機能解放の条件は、運命に則った行動を取った際に付与されるポイントによるらしいですよ。姉を犯すというのは、どうやらそれだけの行動だったようですね』
淡々と、淡々と。核心に触れていっているという確信があった。
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次回でもよろしくお願いします。
次回は地続きですね、またちょっと短くてすみません。最近他の作品の執筆が忙しくてあまり時間がとれていなくて…




