第五幕 相克相生双生運命デュアルLINE 8
久しぶりの投稿です、間開いちゃってすみませんでした。
よろしくお願いします。
「……正気を疑うよな、ほんとうに」
夜の9時。蓮城 飛鳥の部屋。まあ要は自室、そこで楽園たるベッドの上に寝転んでいる。
毎度のごとく兄にゲームで惨敗を喫した俺は、今日の昼のことを思い出していた。
最近の兄はよくわからない。つぼみとのことで落ち込んでいるかと思えば、俺のために弾けていたりもする。……不信任決議であんな大々的に活動などするのはかえって逆効果ではと愚物なりに考えるのだが、兄が楽しそうなので言及はしなかった。俺とてこれでも遠慮はするし、まあ兄がやるなら間違いはないのだろう。多分。
これまでの兄ならこういった時のテンションは落ち込むかブチ上げるかに寄っていたものだが、はてさて、今回は如何したのだろうか。
単に、虚勢なのだろうか?
という旨を、睦美さんに相談してみている。
睦美さんの過去を打ち明けられたとて、対応を変えるのは彼女の本意ではあるまい。平常を保ちながら、天津 華月について探るしかない。
《うーん、虚勢大半だと思うけどなあ》
睦美さんの返信が来るが、断定は出来ていない。あの過去があるから人物眼とかは養って来たのだろうが、断定するには流石に面識が無さすぎるか。
文化祭でちょっと話したのを除けば、体育の時にほんの少し顔を合わせたくらいらしいし。
《まあ、そうだよな。あれでメンタルは強いわけでもないし》
《弱くも見えなかったけどねえ》
《まあ、あれで繊細なんだよな》
《……そうだね?》
……今多分兄弟だなあ、とか思ってるんだろうな、と思うと少しムカっとなるが、実際否定のしようはない。
……ほんとう、どうでもいいところだけ似ているのだ。どうせなら容姿と才覚を寄越せというのに。
《ボクは馬鹿みたいな飛鳥君が好きだよ》
……エスパーかこの人?
それとも、俺がわかりやすいだけなのか。……いや、うーん。どうなんだろうか、それほど単純だとも思っていないが、睦美さんにとってはそうではないのか。
《顔真っ赤にしてるくせに》
今更好きの二文字に無条件に反応するほどピュアではないので、少し意趣返しをしてみる。まあ、今がそうかは、さてどうだろう。鏡がないので確かめようがない。そういうことにしておこう。
《ボクは真っ白だもん》
相変わらずの笑っていいんだがよくわからないアルビノジョークを飛ばす睦美さんだが、やはり顔は赤らんでいるだろう。あの人もあの人でわかりやすい部分はある。まあ、長々とチャットしていれば愚物にも少しは見えてくるものがある、ということだ。
手を握るだとか、ずっとそばに居る(意訳)と言った時だとか。何かアクションを起こす時、彼女はいつも顔をりんごみたいに赤らめていた。それに釣られて俺までドキドキしてくるのだから間違いではないだろう。
……そういうところも、可愛いなと思う。決して外面がいいだけの人ではないのだ、我が運命は。
《どうだかね》
《生意気。飛鳥君のくせに》
《こういうとこは割と同レベルじゃないか》
《だとしても、生意気》
《馬鹿なもので》
《うん、好き》
……これは、反則じゃないだろうか。
《あ、今絶対顔真っ赤でしょ》
お互い様だろ、という確信もあったが、照れ隠しする気すら吹き飛ぶ破壊力だったのは間違いない。
《俺の負けだよ、もうそれでいい》
《やった》
多分やり過ぎたと反省してるんだろうなあ、というのは容易に想像がついたが、このまま続けて勝てる気もしないので、少し話を変える。
《なあ、土曜、会いに行っていいか?》
天津 華月について探る為にも、不安定だろう睦美さんの様子を直接見る為にもそうした方がいい。そう思っての提案だったが、さて。
……俺はもしや結構とんでもないことを送ったのでは?
後悔というわけではないが、なんかそんな感じの感情が起こった。訂正、というか補足の文を考えようとしていると、
《わかった》
速攻で返信が来た。
どうやら言い訳は許してくれないらしい。
《良いのか?》
自分で切り出しておいてなんだが、ほんとうにいいのだろうか?
と考えていると。
《前はもっと切羽詰まってる時に自分から呼んだんだから今駄目な理由ないよね》
そんな最もらしい返答が来た。いや、全て打ち明けた上で家に呼ぶのは別の懸念が生まれるような気もするが、本人がそう言うのならいいのだろう。
それに、単純に彼女に会いたかった。つい先日会っておいてなんだが、うん、会いたかった。
通常のカップルなら同じ学校に通って毎日顔を合わせても足りないのだから、週一ペースでも供給が足りないのは自明といえば自明ではあるが、この俺がそんな普通に足を踏み入れようとは。なんとも感慨深いものである。
《じゃあ、土曜に向かうか》
《わかった。ご飯は楽しみにしておいてね》
《期待してる》
さて、一応の正念場になるのだろうが。
釣り上がる口角は、抑えようもなかった。
読んでくださった方、本当にありがとうございます。
感想や評価、誹謗中傷でもくださると、作者は嬉しいです。
次回でもよろしくお願いします。
……デートしてばっかだな、こいつら。




