第四幕 相克相生運命デュアルLINE 3
四幕の三話ですね、よろしくお願いします。
茜空が美しい午後6時。俺はひとりの帰路を渡りきり、家の中に足を踏み入れた。
『吹っ切れたな。いいことだ、見直したぞ』
「……わかったからな。自分の気持ちが」
言いながら、リビングには目もくれず、自分の部屋に入りどっかと勉強机についた。
もちろん、勉強のためではない。
一人になれて、座れる場所というのがここしかないだけである。そうでなければ勉強机などという忌々しい名前のついたものになど触れたくもないのが学生心理だろう。
『しかし、君が馬鹿だなんだとやっていたのは淀見 つぼみの気をひくためだろう? もう必要ないんじゃないのか』
「……それなんだよな」
睦美さんが俺のことを見てくれている以上、俺が変に気取る必要はないのは道理だ。それと、今までの俺は自分は馬鹿なのだから仕方がないという言い訳のために馬鹿を目指していたのではないかという気がするのだ。そう、今思い返してふと思い至った。
ならばそれはなんと愚かな事だろう。目指していた馬鹿とは程遠い、道化になりたい凡人というこのアプリの評価そのものだったのだ。
けど。今はもう違う。言い訳ではない、確固たる理由が、俺の中にあった。
「俺の事、馬鹿って言った時のあの顔。あれが忘れられないんだ」
あかね祭で俺と兄さんのテニスを見て睦美さんが言った、「馬鹿、だね、飛鳥君」という言葉は、今でも俺の中に鮮明に響いている。自分の生き方の全てが報われたようなあの心地を、俺は生涯忘れることはないだろう。
そして、そう言った睦美さんの顔は、なんだかとても楽しそうだったのだ。
だから、俺が馬鹿になることであの人が喜んでくれるなら、是非もないのである。
『なるほどね。男って、馬鹿ね、だな』
「全くだ。そのなんと心地良いことか」
『よし、良いだろう。なら、君にめでたい報告だ』
「なんだよ」
『喜べ! 新機能だ。運命のアプリ、D-LINE。その機能がチャットとキュートなエスコートだけと思ったら大間違いさ』
……正直、運命を謳っておきながらできるのはチャットだけかよというのは常々思っていたことだ。そうでないというからには、少し期待感が募る。しかし、アプリから出た言葉は、そんなものを遥かに超えるものだった。
『ズバリ、過去視さ』
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次回でもよろしくお願いします。
魔法のアプリチャットしかしてないやん問題を解決するために出された新機能、果たして作者は扱えるのか。




