第二幕 途上運命前夜デステニーLINE 6
二幕六話です。読んでくださっている方、ありがとうございます。
「……ふぅ」
頭上から、心地よい温水が降り注ぎ、真夏の汗を流していく。自転車を爆速で漕いだり、冷や汗だったりでかなり汗を掻いていたから、睦美さんのシャワーを貸すという申し出は結構有り難かった。
それにしても、なんともおかしなことになったものだ。この俺の人生において尋常ならざる出来事があるとすれば、それはつぼみの仕業に他ならぬと思いながら生きてきた俺だ。今更ながら、変な心地だった。
一人になると、色々な思考が巡る。睦美さんのこと。兄のこと。
しかし、結局どれも整理がつかず、水に流しては、また思考に耽る。そんな繰り返しだった。
女子のシャワーを借りるという奇怪な状況を、あまり実感したくないというのはあったろう。邪な方向に思考を伸ばそうとすれば、いくらでもできるシチュだ。
一度自覚してしまえば、後は胸が高鳴るばかりだった。一介の高校生であれば無理もないと思う。
あの美貌の女子が、普段ここで汗を流している。あの白磁の肌を、無防備に晒して、だ。
そう想像すると何か、女性の自転車のサドルを盗むような、縦笛を舐めるような、尋常の理から外れたような行為が、いくつも想起された。この場に当てはめるなら、風呂椅子だったり、歯ブラシといったものに置き換わるか。
「……やめよう」
しかし、いくらここで邪な想像をしようが、実際にできるわけでもない俺だし、そもそもそういった馬鹿は俺の範囲外だ。
人には理性がある。それを失っては、愚物以前に単なる獣である。
あの人の善意を踏み躙るような真似はしてはいけないのだ。
それはそれとして、高校生として想像するくらいは許してほしいが。
「……出よう」
風呂から上がり、睦美さんが出してくれたらしいタオルで体を拭う。
……あれ、このタオルって、睦美さんが普段使っているタオルで……?
「……」
なんとも、馬鹿げたループだった。
読んでくださった方、本当にありがとうございます。
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次回でもよろしくお願いします。
短いですけど絶対に入れたかった部分ですね。




