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馬鹿みたいに恋がしたい  作者: 川面月夜
第二幕 途上運命前夜デステニーLINE
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第二幕 途上運命前夜デステニーLINE 2

読んでくださってありがとうございます。

二幕の二話になります、よろしくお願いします。

 9月2日。時刻は、午前7時。小鳥の囀る、気持ちの良い朝。

 しかし、蓮城 要の精神は、まるでミキサーにでもかけられたかのように混沌としている。リビングで、母の朝食を手に取りながら思案に耽っていた。


「要、飛鳥、帰ってきてないの?」

「ああ、知人の家に泊まるそうだよ。そのまま登校するみたいだ」

「そう、後で挨拶しなくちゃね」


 実際のところ、飛鳥からの連絡など、あの不明瞭な一通が最初で最後であった。運命を探すとは果たして如何様な用か、要の鬼才を持ってしても答えは出てこない。魔法のアプリを手に、運命の相手とされる少女に会いに行ったなどとは、かけらも思っていない。


 昨日、家にも帰らずにどこかへ向かった弟のことが、頭から離れない。心配で仕方なかった。

 が、それと同じくらいに、つぼみの言動も気になっていた。

 昨日の、あの抱擁。


 恋人になってから、それらしいことなどしていなかった。精々が手を繋ぐくらいで、それ以上のことなど、飛鳥への負い目もあって、できてはいなかった。

 しかし、昨日のそれは、初めて進んだ一歩と言っていい。舞い上がる気持ちは、大きかった。とんでもなく頭脳明晰な要とて、所詮は男子高校生でしかなかった。


 こんな状態で、どう飛鳥に顔向けできようか。できたとして、なんと言葉をかければ良いのか。無論、何をほっつき歩いていたのか、親に心配をかけるな、言うべきことなどいくらでも浮かぶ。


 しかし、飛鳥の現状の元凶たる自分に何を言われても、さらに傷口が広がるだけなのではないか。

 結局、つぼみに相談するくらいのことしか、要はできないでいた。兄失格だという思いが、要に強くのしかかっていた。


《大丈夫。飛鳥は帰ってくるよ》


 そんな、昨夜のつぼみのメッセージを思い返す。

 つぼみのことを思えば、不安はいくらか晴れた。きっと、二人でならなんとかできる。そう思うことができた。


 朝食のトーストを食べ終え、普段通り、早めの登校。準備は前日に終えているから、後は歯を磨けば、登校するだけである。


「……飛鳥……」


 洗面台で、歯ブラシに歯磨き粉を塗ったくりながら要が思うのは、やはり弟のこと。

普段であれば、自分より遅く登校する飛鳥を嗜め、背中を押される形で家を出る。後ろに弟がいて、気怠げないってらっしゃいを受けるのが、ルーティーンだった。しかし、今日は、というか、先週からそれがない。


 弟が、傍に、居ない。普段であればあり得ないことだった。

 盲目の恋に落ちていながら、目を閉じれば要に浮かぶのは、二人の姿であった。


「何とも、色気のないことだ」


 ふと気づけば、十分の時が経っていた。

 歯磨き粉の味もしなくなる様な短い悠久を終え、なんとも憂鬱な気分を振り払うように両手で頬を叩く。


「……気張れよ、蓮城要。ここで俺が挫けてはダメだ」


 弟と共に居れないなど、考えるのも恐ろしいことだ。だから、弟が心を閉ざそうと、自分だけは門扉を解放していなければならない。

 さて、1日が始まる。傍に、弟のない1日が。

 制服に着替え、母のいってらっしゃいを受け、玄関を開いた時だった。


「……ただいま。兄さん」


 そこに居たのは、弟であった。


読んでくださった方、本当にありがとうございます。

感想や評価、誹謗中傷でもくださると、作者は嬉しいです。

次回でもよろしくお願いします。


シーンの切り替えに便利な男になってきた要君。

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