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馬鹿みたいに恋がしたい  作者: 川面月夜
第九幕 無要運命ダストLINE
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第九幕 無要運命ダストLINE 3

九幕三話です、よろしくお願いします。

 越谷レイクタウンは、吉川の隣町たる越谷市に位置するニュータウンであるが、大抵のものはそこにあるショッピングモールを指してレイクタウンと呼称する。

 虚無の街吉川には決して有り得ない大きな施設であり、その全長は一キロメートルに達する。

 

 ここにはなんでもある、と豪語できる巨大モールは周辺には他になく、吉川市民はレイクタウンを勝手に誇りに思っている。


 そんなレイクタウンの電気屋……でなく、アニメショップになぜか俺たち三人はいた。「記念品にするのなら、あんまり簡素なものでは味気ないでしょう」とは華月の言葉であり、その華月に導かれるままここまできたのだ。実際、無地のケースをしてお揃いだねなどと言うのは少し物足りない気はするが、だからとてアニメショップ? と思ったのだが、実物を見てみるとこれが普通にかっこよかったりするデザインが多い。アニメとのコラボ商品であるとは説明されなくてはわからないようなものもあり、世界の広さというものを痛感した。


「さて、お気に召すものはありますか?」


 華月が言う。傍の兄の手前アプリの名はだしていないが、その言葉は俺に加えて俺のアプリにも向けられたものだろう。


 アプリの視覚はカメラに依存するので、使用時の所感を確かめるためにスマホをかざすフリをしてアプリに並ぶケースを見せる。『ふむ……』と一つアプリがうなる。結構真剣に選んでくれているようだ。

 アニメショップであるゆえ、スマホケースのみを並べたコーナーがあるわけではない。大きく扱うアニメ作品のコラボ商品がコーナーごとに置かれている感じで少々煩わしさを覚えるが、アニメショップとしてはそこに文句を言われてもといった感じだろう。


「君は、睦美さんなら何を好むと思う?」

「そうですね……姉個人の趣向なら……パッと見てそれとわかるようなのはあんまり、でしょう」

「ま、そうだよな」


 悩む俺たちから少し遠い位置から、「お」、と兄の声がした。

 どうやら別で探してくれていたらしい。

 なにやらつぼみに対して思うところがあるようだが、こうして俺のために手伝ってくれるというのは実に助かる。……が、必要かと問われれば首を傾げはする。華月は何を思って兄を誘ったのだろう。

 思って傍の華月を見やると、悪戯っぽい笑みを浮かべてはぐらかされた。


「何かあったか?」

「いや、これ新刊出てたんだなって」


 兄が漫画本を手に取って言った。


「いやな」

「冗談だ。ほら、これどうだ?」


 物申そうとする俺に先んじて兄が指を指す。示されるまま目をやると、少女漫画とコラボした花柄をあしらったスマホケースがあった。


 睦美さんに似合はするだろうが、これはお揃いのものを探すという趣旨である。少し悩んでからボツにした。ところで、いちおう全体を見渡せるように翳していた俺のスマホから声がする。

 

『あそこだ』

「ふむ」


 二人を引き連れ、RPGのパーティのような風情を醸しながらアプリが示すエリアに赴く。


 最近話題になっているファンタジーアニメのコーナーである。俺も結構楽しみに放送を待っているものだ。

一般層にも広く認知される作品であるからか、そこにおいてあるケースのデザインもそれほど主張が強くない。


 白を基調とし、中央に作中に登場する紋章をあしらったデザインは華があり、色合いの面でも睦美さんには非常に似合うのが容易にわかる。


「ふむ、決まりですかね」


 華月が呟く。実際、これ以上に適したものはないように思われた。

 睦美さんがこのアニメを知っているかどうかほわからないが知らなかったとしても素直に惹かれるデザインであるし。


 これは後でアプリに感謝の意を示さねばなるまい。まあいくらレイクタウン広しといえども、このアニメショップ自体はそこまで広いわけではないからアプリの助けがなくともいずれはたどり着いたろうが、あんまり時間的余裕もない。

 即断は僥倖だ。こう言うと真剣に選んでいるのかと思われるかもしれないが、そうでもないとたぶんずっとこれと決められないまま悩み続けてしまうだろうから、これでいいのだ。そもそこを保証するための華月であると言ってもいいし。


 幸先よく一つ目のプレゼントを決め、次なるプレゼントを探しに向かう。


読んでくださった方、本当にありがとうございます。

感想や評価、誹謗中傷でもくださると、作者は嬉しいです。

次回でもよろしくお願いします。

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