第八幕 無要運命デートor LINE 15
八幕15話です、よろしくおねがいします。
恋人とは、果たして如何なものか。
ただひたすらに、胸焼けするほどに甘く、幸せな時間のなかにいる者ではないのか。
だとしたら、自分は一体、なんなのだろう。
蓮城 要は、目の前に座る恋人を見る。
綺麗な人だ。この人を恋人としたなら、きっと羨望の眼差しを向けられるであろう類の人物だ。
要もそちら側の人間ではあるが、まあそれはそれだ。
夜の観覧車。そのゴンドラの中、今日一日を楽しそうに振り返るつぼみを見ていると、どうしようもない焦燥感に駆られた。
しかし、恋人の笑顔に水をさすことを、要は良しとしなかった。そのため、特に追求することもない。
ひたすらに、つぼみに相槌を打っていた。
「今日はありがとね」
「ああ」
「楽しかったなあ。これなら、向こうもいい方向に向かうかな」
「そうだといいな」
要のその言葉に、無論偽りはない。上手くいっていることへの嫉妬がないといえば嘘だが、弟の幸福を願うのは本心だ。
しかし、観覧車に二人きりなのに、これといって恋人らしい雰囲気にならないのは如何なものか。
キスの一つでも迫ってみようか、と要らしからぬ思考が湧くが、それが実行に移されることはなかった。
なぜか。
それは、単純な話で、そういう気が起こらなかったからだ。
要に欲がないわけでは無論ない。
が、眼前のつぼみを見ると、なけなしの欲望は挫けてなくなった。
つぼみの視線は、ずっと。要ではなく、飛鳥たちの乗るゴンドラに向けられていたからだ。
要には、つぼみがわからなかった。
理解してしまうことが怖くて踏み込めなかった。
◆
そうして、ダブルデートは終わりを迎えた。
希望と不安と。その双方を加速させ、次なる運命へと、彼らは身を落とす。
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次回でもよろしくお願いします。
今回短くてすみません、本当はもっと盛る予定だったんですが、いろいろ削いだ結果、こうなりました。
……多分前話に添えといた方が良かったな……。




