呪いの剣
「この剣を診てくれ。突然動けなくなることがあるんだ。」
「・・・こいつを振ってると、悲鳴みたいなのが聞こえることがあるだろ?」
「そのとおりだ!やはり呪われているのか?」
「そいつは呪いなんかじゃねえよ。この穴だ。この剣は血を滑らせることで加速する仕組みだが、血サビで穴が開いちまったのさ。」
「・・・じゃあ俺はなんで動けなくなったんだ?」
「それはその『悲鳴』でお前さんが正気に戻ったからさ。」
「?」
「お前さんはなんで敵を切るんだ?」
「それは敵だから・・・」
「いいか若いの。俺に言わせりゃ呪われてるのは『勇者』なんて肩書きの方さ。その肩書のせいでお前さんは切りたくもない相手を切ってきたんだ。」
「そんな・・・」
(・・・それにしても不思議なこともあるもんだ。普通血サビでこんな穴の開き方はしねえ。あるいはこの剣、本当にこの坊主を止めようとしてたのかもな。)