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62 テイム

 他に行くわよ、とはいうもののこの階は探索を続けることになった。ボスらしいボスにも会ってないし宝箱も出てない。このままでは赤字なのだ。


 犬頭の出てきた扉に入って行く。さっきの感触だと犬頭はそんな強くなかったし、なんとかなるだろう。

 通路を彷徨い、扉を見つけては押し入る。空き部屋が多いが時々犬頭が数人いる。あかりがマジックミサイルを撃ち込み同時にレイラさん達が突っ込む。


「弱いな」

というかこいつら戦闘員じゃないのかも。ここは犬頭の基地で事務の人だったりするのかもしれない。僕たちやってること強盗なのではという気がちょっとしてきたぞ。


 ウワンウワン!!


 突然サイレンのような音が鳴り響いた。見つかったかな。というか特に隠れてないけど。


 通路の奥から一団の犬頭が出てきた。鎧を着て武器を持っている。警備員だか戦闘員だか。あかりが手を伸ばして呪文の詠唱を始める。間に合うか。時間を稼がないと。

 レイラさんのパーティがクロスボウと弓を乱射して僕とメイはダーツを投げる。犬頭達が物陰に隠れた。よし。


「撃つのストップ!」

僕らは逃げる振りをする。犬頭達が盾を構えながらジリジリ近づいてくる。SWATか機動隊みたいだな。そうそう、もうちょっと。よし。

「マジックボルト!」

あかりの呪文が発動。通路は白い光に包まれた。


「すごいな」

犬頭は吹っ飛んで消えてしまった。レイラさん達はあっけに取られている。レベル6の魔法使いはやっぱり尋常じゃない。


・・


「ボス部屋よ!」

「また?」

「さっきのはフェイント」


 攻撃力付与を僕とシャリにして両開き扉の前に並ぶ。扉を蹴り開ける。

「お邪魔しまーす!」

そういえばこれ久しぶり。


 大広間。さっきより広い。やはりこっちが本命か。奥の方に犬頭がわらわら。そして二つ頭の大きなトロールが一体。

『ボスっぽい!』


 あかりが呪文の詠唱を開始。僕とシャリだけが部屋に入って進む。メイやレイラさん達には後ろから飛び道具で援護してもらう。


 二つ頭のトロールに接敵。ボスらしく身長5mぐらいある。重機のような腕がブルンと振られる。空気が裂ける音。トロールの二つの顔を睨むと、さっき獲得した恩恵を頭に浮かべる。


『テイム!』

こいつがトロールなら効くはず。


 動きが止まった。


「後ろの悪い犬頭どもをやっつけろ!」


 二つ頭のトロールは後ろを向いた。ドカドカと奥に向かって走っていく。腕を振ると犬頭の体が宙を舞い、大混乱になっている。

「おにいちゃん、そろそろ!」

シャリに手を引かれる。シャリの体を抱えて、せーの。


『縮地!』


 僕らのいなくなった部屋は白い光と爆発音に包まれる。爆風が収まると犬頭達は吹っ飛んでいた。残るは二つ頭のトロールのみ。


「行くぞー!」


 こっちにタンクが二人いてアタッカー四人だったので危なげはない。なにげに大きくて背が高い相手だと楽だ。メイのダーツが顔に飛ぶのが嫌らしい攻撃となっている。シャリはもっぱら足の痛そうなところをメイスで叩き、僕は槍に炎を纏わせてチクチク突く。ボストロールは半狂乱だ。


『動きが鈍くなってきたな』

メイのダーツの痺れ薬が効いてるのかも。こいつもトロールだしな。後ろに回って槍を最大に伸ばす。距離は10メートルもないが、トロールが振りかぶったところを狙って。


『縮地!』


 短距離縮地で背中から胸に大穴を開けた。すかさず槍を縮めて離れる。二つ頭トロールは動きを止め、そのまま後ろに崩れ落ちるように倒れた。歓声が上がる。


「焼くよー!」


みんな楽しそう。ここで「ポーション原料にしよう」とはちょっと言いにくいな。


・・


 ボスの宝箱はちゃんとあった。どうもそういうものらしい。トラップは僕が解除して、中身は金貨と長剣だったので金貨は分配する。長剣は僕らのパーティで使うものはいないからレイラさんに譲った。トロールの瓶も分けようと思ったけど剣をくれるならいらないそうだ。これもおばあちゃん行きだな。


 帰りがけに例の装置を叩き壊したら金属が取れたのでバラして持って帰ることになった。小分けしてアイテム化する。

「僕たちがやってる事ってかなり野蛮人だよね」

宇宙船を見つけたから叩き壊して斧を作る材料にするみたいなことしてるよね僕たち。


 帰り道にあかりにいろいろ説明される。

「トロールとノームの間みたいな犬頭のモンスターがいてそれが人類と敵対する文明を築いてるのよ」

「なにその設定?」

「あまりにマニアックな設定だったから忘れてたけどそう言う世界観のシナリオもあるってことね」

「よくわかんないんだけど」


「ダンジョンの数だけ世界観があるのかも」

「じゃあ全てのダンジョンは違う世界に繋がってるの?」

「それはわからないけど……」

あかりは言葉を続ける。


「日本に繋がってるダンジョンがどこかにある可能性も出てきたわね」


「ところでおにいちゃん恩恵は?」

シャリが聞いてきた。そういえば説明してなかった。

「今度の恩恵はね……」


「テイム?本当に?」

あかりが口を挟んできた。

「それこないだ案に出てましたよね」

メイも話に加わる。

「確か、どうしたらいいかわからないって言ってました」

「あの時はそうだったんだよ」


 テイムというのはラノベによくあるモンスターを飼い慣らすスキルだ。どんな敵でも飼い慣らせるなら最強なんだけどな。


――


フィン:レベル3(up)(人間:転生者)

・恩恵:レベル判定、レベル移譲、気配察知、槍使い、投擲、格闘、縮地、精神耐性、スタミナ向上、ロケート、手斧使い、スコップ、庇う、耐久力向上、罠スキル、炎、クリーン、テイム(妖精)(new)


シャリ:レベル5(人間)

・恩恵:癒し(フィンに効果2倍)、プロテクション(フィンに効果時間2倍)、攻撃力付与、メイス使い、リワインド、状態異常耐性、催眠術


あかり:レベル6(エルフ:転生者)

・恩恵:鑑定、初級攻撃魔法、中級攻撃魔法、隠密、耐寒、マッピング


メイ:レベル4(人間:転生者)

・恩恵:衣装製作、アイテム化、投げナイフ/ダーツ使い、エンチャント


挿絵(By みてみん)

次回より新章 王都への長い道のり


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