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42 レベル6

「レベル4になるとなかなかレベル上がらないね」

「私の気持ちがようやく分かったみたいね」

帰り道で話しかけると、あかりは上から目線。なんか損した気分。


「それにしても……やっぱり何かが邪魔してると思うのよ」

歩きながら考え事をしていたあかりが突然つぶやいた。


「何の話?」

「お兄ちゃんの恩恵のことなんだけど」

いつものことだけど唐突だな。


「何かってどんな?」

「やっぱりまだテレがあるんじゃないかしら」

「こないだも言ってたけどそれなんか関係あるの?」

「じゃあ慣れちゃって刺激がなくなってきたとか?」

「それってどういう理論?」

「シャリとだって最初からあんなデロデロなキスしてたわけじゃないでしょ?」

「デロデロとか言わないでくれない?」

ほら、義理だけど一応妹なんだし。


「やっぱりレベル5が上限なんじゃないかな?」

「この議論レベル4の時もしたわよね」

そう言われるとそうなんだよね。


「まだデロデロが足りないのかしら」

「レベルっていうのは努力して上がるから意味があるって言ってなかった?」

「だからこの方向で努力してみるのよ」

この方向とはどの方向?


「デロデロだったら長くするのはやったよね」

こないだシャリと30分ぐらいキスしたけどうまくいかなかった。唇が離れないようにあかりに頭を押さえつけられてたんだけど、その後も唇がこわばって変な感じだったし。


「とにかく明日は初心に戻って最初からやり直すわよ」

どうも人の話を聞いてる感じがしない。


 そして翌日。納屋に集合。


「やっぱりそれ着ないとダメなの?」

「最初からとなると前例は踏襲しないと」

あかりはシャリのワンピースをピチピチになって着ている。身長160cmのあかりが140cmもないシャリの服を着るとそれはもう大変なことになる。伸びる素材とはいえよく入ったな。


「ちょっと太ったんじゃない?」

「エルフは太らないのよ」ギュッギュッ。

「おねえちゃん、その服おねえちゃん用に作ればよくない?」

「破れたらね」

ぶちっ。

 ヒップ部分でフェルトが断裂した。


「早く!」

服が分解する前に急いであかりは横たわる。


 僕はあかりの横に体を横たえると、その整ったエルフの顔を上から見つめる。ゆっくりと顔を近づける。シャリが横で見ている。

「シャリちゃん、いい子だから外に出てなさい」

「えー見たかったのに」

ぶつぶつ言いながらシャリが納屋から出る。再開。


「そういえばレベルアップの恩恵は何にするの?」

「本当は収納魔法がいいんだけど……」

「アイテムボックス?」

「定番よね」

「それってあるの?」

あかりは小首をかしげる。


「見たことないから多分無理なのよね。イメージがわかない。面白味はないけどマッピングにしようかな」

「なるほど。いいんじゃない」

あかりは職種的には斥候だ。マッピングは相性がいいだろう。


「感覚的にはあとちょっとな気はするんだけどね」

「それじゃキスじゃなくてもっとやっちゃうとか」

「僕14歳なんだけど」

「この世界では大人でしょ」

「R18はちょっと」


「もうちょっといろいろ試してみましょ」

あかりが僕を押し倒してきた。


 ブチブチブチブチブチブチ。


 またあかりのワンピースのどこかが大きく断裂した音がするがとりあえず無視。


 今日もう何度目かのトライかよくわからなくなってきた。仰向けの状態であかりの背に手を回す。

『あれ?』

あかりのつるんとした肌に直接手が触れている。手で探ってみるとワンピースは背中で大きく裂けていて、もはや背中から尻まで布がない。さっきの破れた音はこれか。


 背中が気まずいので頭の方に手を持っていくことにした。髪をゆっくり撫でると指先がエルフのとがった耳に当たる。そっと触るとあかりの目が見開かれる。耳の先を両手の人差し指と親指で挟み込んでみる。そのまま耳をふさいでみると、あかりがお返しで僕の両耳を塞いできた。耳の奥からキスの音が聞こえる。そして唾液のグチュグチュいう音。


 そのままゆっくりと横倒しになり、僕があかりの上に覆いかぶさった。互いに耳をふさぎあっているので唾液の音が耳の奥で響く。これはちょっと新しい感覚、じゃなくて。


レベル接続(コンタクト)!』


 あかりと僕との間にレベル回路が形成される。


レベル譲渡(トランスファー)!……通った!』


 なんと成功したよ。


「14歳の成分をたっぷり吸収しちゃったわ」

なんか肌がツヤツヤしている。

「抱きしめてチューで上がるレベルなんて認めないって前言ってなかった?」

「結果はすべてを正当化するのよ」

あかりは満足げだ。口角が上がっている。


「今のを手順化する必要があるわね」

「思うんだけどさ」

「なによ」

「唾液の量の問題ってことない?」

「そうかも」


 変な言い方だけどこれでレベルが下がったからレベル上げやすくなった。弱くなっちゃったから何か考えないとだけど。


――


フィン:レベル3(down)(人間:転生者)

・恩恵:レベル判定、レベル移譲、気配察知、槍使い、投擲、格闘、縮地、精神耐性、スタミナ向上、ロケート、手斧使い、スコップ


シャリ:レベル5(人間)

・恩恵:癒し(フィンに効果2倍)、プロテクション(フィンに効果時間2倍)、攻撃力付与、メイス使い、リワインド、状態異常耐性


あかり:レベル6(up)(エルフ:転生者)

・恩恵:鑑定、初級攻撃魔法、中級攻撃魔法、隠密、耐寒、マッピング(new)


挿絵(By みてみん)

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