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伝説の七人  作者: HITOSHI
11/18

『伝説の七人』第11章北海道のUFOの章

第十一章 北海道のUFOの章

1,「卑弥呼さん、1機目のUFOが出現した2192年12月15日に到着しました。」

香音が全員を集め、そう報告した。

「香音UFOが現れる正確な日時は?」

卑弥呼が訊いた。

「12月15日16時10分です。」

「じゃ、その10分前に移動して。」

「いや、20分前や。」

弥勒が卑弥呼を遮った。

「弥勒さん、何故?」

卑弥呼の指示に異を唱えたのは弥勒が初めてだったかもしれない、と湯川は思った。

「円陣組まなあかん。」

みんなずっこけた。

「その前に俺はこの時代の金田一長官に今回の計画について説明してこようと思う。この時代の長官は何も知らないからな。」

「それにこの時代の俺はUFOの調査してるから、それも引き上げてもらわないと、何処かで鉢合わせになるかもしれない。」

「そやな、その方がええと思うわ。でもこの時代の長官すぐ理解してくれるか?何やったらワシも一緒に行こか?」

「いや、余計信用してくれないと思います。」

湯川は言い切った。

弥勒はずっこけた。

「アホかお前、もうちょっと仏さまを敬わんかいな。」

湯川は無視して転送室へ向かった。


「湯川の奴遅いなあ。もう5時間も経つ。」

須佐之男がぼやいた。

「今、何時だ、香音。」

日本武尊が訊いた。

「15時半です。」

「もうこのまま16時15分まで待ちますか?」

清明が提案した。

丁度そこへ湯川が帰って来た。

「みなさん、遅くなってすみません。」

湯川は頭を下げた。

「で、金田一ちゃんはどうだったの?」

アルが訊いた。

「ああ、最初は驚いて頭掻きむしってたけど、2194年の俺と長官の会話を映像で見せると納得してくれた。なぜ日本州の住民を避難させたのかも理解してくれたよ。」

「調査隊も全て引き上げさせてくれた。この時代の俺きっと怒ってるだろうなぁ~。」

湯川は吹き出した。

「じゃあ、このままUFO飛来まで待ちましょう。それとこれヒデキ掛けてくれる。」

「ああ、カメラ眼鏡だな。」

「中の様子をこっちでもモニターしてるわ。それと放射能測定装置もつけてるから。」

「香音、この映像と音声を長官室でもモニターできるようセッティングできるか?」

「ええ、すぐにできるわ。」

「金田一長官聞こえますか?」

「ああ、聞こえてる。」

金田一から返事が返ってきた。

「長官いよいよです。準備は整いました。そちらでも中の映像見れるようにしました。」

「ああ、見えてるよ。この映像は記録しておこう。」

金田一は緊張気味に言った。

「それとヒデキ、中が真っ暗だと戦いにくいかもしれないからこれも持って行って。」

湯川は香音からドローンを渡された。

「強力な光量で照らすようこっちで操作するわ。」

「ああ、香音色々とありがとう。」

「今回はわらわにも何が起きるか想像もつかないわ。内部構造もわからない。みんなそれぞれの意思で行動して。

湯川とアルはUFOの事わかる限り調べて来てちょうだい。

だから清明は念のため強力な結界を張って。」

「わかりました。アルと湯川は私が守ります。」

「ワシは、時間軸が歪まんようチェックして、またこの時間に戻って来るわ。もし誰か危ななったらすぐ連絡してな、すぐ時間止めて助けに行くわ。」

おお、弥勒さんのその能力は安心できるなと湯川は思った。

「あ、そやそやこれ忘れとったわ、高次元でキリストはんが貸してくれた聖槍や。どうしょ、将門に預けとくわ。」

「ゲッ、これってロンギヌスの槍ちゃうん?弥勒のおっちゃん!」

アルが驚いて腰を抜かした。

「せやからおっちゃんはやめ言うとるやろが、それにお前まで関西弁になっとるがな、ひゃぁ~。」

弥勒がまた引き笑いした。

「その槍はキリストはんを最後に突き刺した槍や、せやからキリストはんの血が込められてる。奇跡起こしてくれるかも知れんで。」


「それでは、みなさんに新しい服を用意しました。この船にも使われている特殊金属を練り込んでますので、防弾くらいはできる筈です。

お部屋に用意してありますのでお着換えください。」

香音がみんなにそう言った。

みんな各部屋に着替えに散った。

ほどなくして、全員が転送室に集まった。

須佐之男と日本武尊は神装束で背に草薙の剣。

安倍晴明は白装束に黒の烏帽子。

役小角は山伏スタイル。

平将門は甲冑姿で背には聖槍。

みんな惚れ惚れする程荘厳な姿だった。

「それに引き換え俺達はジャージ姿かよ。

湯川は少し怒っていた。

「ぷぅぅ。」

アルも気に入らないようだった。

「大雪山に着きました。」

香音が目的の場所に着いた事を報告した。

「よっしゃ,円陣や。みんな肩が触れるくらいの円になり。で、右手の甲で隣の人の肩を叩いてこういう『なんでやねん』」

「なんでやねん」

日本武尊がずっこけた。

「お、タケルちゃんええやん、その突込み。」

「『なんでやねん』は南無阿弥陀仏、何妙法蓮華経、オンマイタレイヤソワカ、般若波羅蜜はんにゃはらみつ全ての語源やねん。

「ほんまかいな。」

湯川も思わず関西弁で突っ込んだ。

「ほな行くで。」

『なんでやねん』

「ええやん、みな声揃とるがな。」

将門に至っては、隣が香音だったため右手がすり抜けこけそうになっていた。

「そらそうなるわな、ヒャッ~。」

弥勒は笑っていた。

「アル、これ毎回やるのかな…」

「いいんじゃない、緊張感ほぐれて。」


2,8人の姿は大雪山の御鉢平のカルデラにあった。

8人は地面に腰を降ろし、UFO襲来に備えた。

「湯川、その宇宙船のシールドをわしとタケルで破ればいいのだな?」

「はい、その剣でお願いします。」

「そのシールドはこの時代の武器を全て跳ね返し爆発したんだろう。」

須佐之男の質問に被せるように日本武尊が訊いた。

「もしこの剣も刎ね返されたらどうなる?」

「大爆発が起き、ここに居る全員が死ぬでしょう。」

「タケル、人ひとり分くらい離れて、同時にシールドを引き裂く、6尺くらい上手く引き裂けたらお前は下をわしは上を裂く、これで船の外壁が露わになる筈だ。そこをまた引き裂いて入り口を作ろう。」

「入り口が開いたらまずわし達2人が中に入って様子を見てくる。お前らは念のため清明の結界の中に身を潜めていろ。」

須佐之男が指示をした。


エスポワール号は一度消え、またすぐに戻ってきた。

弥勒さん時間軸をチェックしてくれたんだなと湯川は思った。

船内では弥勒が「変やな…」と呟いていた。

そんな弥勒の声をかき消すように「ゴオォォォ」と地を揺るがすような轟音と共に巨大なUFOが飛来した。

「タケル、草薙の剣に念を込めろ。」

須佐之男が命じた。

須佐之男の剣は赤く、日本武尊の剣は青く光り輝いた。

UFOは直径1kmはあろうかと思われる黒い丸皿を2つ張り合わせたような形状だった。

巨大UFOは大雪山カルデラを覆いつくすように着陸した。


3,「行くぞタケル。」

須佐之男と日本武尊は猛烈な勢いで駆けて行きシールドに草薙の剣を突き刺した。

「バチバチ、バチバチと火花が散り、辺りには暴風が吹き荒れ、雷鳴が轟いたが、須佐之男と日本武尊はびくともしなかった。

清明の結界もびくともしなかった。

「タケル、引き裂け。」

驚くべき事に2人の草薙の剣はシールドどころかUFOの外壁まで一緒に切り裂いていた。

須佐之男と日本武尊は縦に横にと外壁まで切り裂くと、須佐之男が分厚い外壁を遠くに放り投げた。

「ドスン!」という轟音と共に外壁は地面に刺さった。

すでに須佐之男と日本武尊はUFOの中に入っていた。

やはり中は真っ暗なようだった。

時折、電球の煌めきのような光が空間を流れていた。

「清明さん、結界を解いてください。ドローンをあの中へ。」

「わかった。」

清明は結界を解き、ドローンを放った。

ドローンはUFOの中を上空へと移動し、辺りを照らした。

煌めきの正体はやはりレーザーだった。動く物に自動で反応してるようだった。

須佐之男と日本武尊はレーザーを手で撥ね退けながら、レーザーの発射管を叩き斬っていた。

「将門、上の方のレーザー発射管を火球で溶かしてくれ。小角も上空のレーザーを潰してくれ。清明も式神で上空を。下半分はわしとタケルでやる。」

将門は手のひらから火球を放ち、発射管を確実に捉え焼き溶かした。

清明は式神で発射管を塞ぎ爆発させていた。

小角は瞬間移動しながら発射管を握り潰していた。

湯川とアルは清明の結界で守られていた。

ものの数分でレーザーは全て沈黙した。

「あ、忘れてた。」

湯川は慌てて、この場の放射線量を測った。

眼鏡に現れた数値はたったの0,01ミリシーベルトだった。

「なんだアル、この中全然放射能高くないぞ。」

「よかったわね。放射線量がとんでもなく高かったら、清明ちゃんも将門ちゃんも小角ちゃんも死んでたとこだったわね。」

「あの人達危険を察知するよう本能的にわかるのかも知れないな。」

湯川は呟いた。

「湯川、何をぼさっとしておる。ミサイルの発射管はどこだ?」

須佐之男が叫んだ。

「スサノオさん、そんな慌てなくてもミサイルの発射は1週間後です。」

「うっ、そうだった。しかし念には念をだ。早いに越した事はない。」

やっぱり須佐之男さんはプライド高いな。

「その真ん中にある太い管がミサイルの発射管だと思います。」

前回の発射を目の当たりにしてる湯川は間違いないと思った。

「じゃ、こいつを叩き斬ればいいのか?」

「いやスサノオさん、斬っても底にミサイルは残ったままになります。発射管をねじ切ってミサイルごと引っこ抜いてください。」

「わかった。」

「香音はもしかしたら、ミサイルが壊された時、UFOが大爆発起こすかもしれないからすぐ全員を転送できるよう用意しておいてくれ。」

「あいよ。」

「卑弥呼さん、危険を察知したらすぐに香音に転送を指示してください。」

「わかったわ。」

湯川のくせにてきぱき指示しやがった。

「ちっ。」

アルは悔しそうだった。


4,「よし、じゃタケル2人で発射管をねじ切るぞ。」

2人が発射管に近づこうとした時、奥の方か『ガガガ』と音がし、船底がせり上がってきた。

そこには100体以上のロボットらしき物がいた。

ドローンが照らすとそこには、人と同じくらいの大きさのティラノサウルスと同じ形状の金属体が居た。

「ドロイドです。襲って来ます。」

湯川は思わず叫んだ。

清明がすぐに湯川とアルの周囲に結界を張ってくれた。

「ふん、こんな奴ら、素手で十分だ。なあ、タケル。」

「ああ、造作もない。」

須佐之男と日本武尊は向かってくるドロイドの両足を持って真っ二つに引き裂いた。

「ギョエエ~」ドロイドの悲鳴が響いた。

奴らには知能がある。

「人工知能か。」

湯川は呟いた。

須佐之男は大きく口を開けて噛みつこうとする敵に対して、上あごと下あごを掴み引き裂いた。そのまま頭を掴み地面に叩きつけた。ドロイドは『グシャ』と潰れた。

日本武尊の周りを数体のドロイドが囲んで爪を立てようとしていた。

日本武尊は「えええ~い。」と気合を入れ、ドロイドをぶっ飛ばした。

ドロイドは猛烈な勢いで壁に激突し、砕け散った。

小角はドロイドを抱えたまま瞬間移動し、別のドロイドにぶつけまくっていた。それはまるでドロイド同士がぶつかり合って砕け散ってるようにしか見えなかった。


清明は今まで使わなかった最強の式神十二天将から北に玄武、南に朱雀、東に青龍、西に白虎を配置した。

玄武は巨大な白の亀に蛇の尻尾、朱雀は赤い炎をまとった鳳凰、青龍は舌の長い青い竜、白虎は巨大なホワイトタイガー。

玄武は蛇がドロイドの首に噛みつき振り回し、亀の口から猛烈な勢いで水を吐きドロイドを吹っ飛ばした。

朱雀は灼熱の炎でドロイドを溶かした。

青龍はドロイドに巻き付きそのまま潰した。

白虎は長い爪でドロイドを押さえつけ、嚙み砕いていた。


将門は、火球でドロイドを爆破させながら、聖槍を突き刺し切り裂きまくっていた。

湯川とアルは、英雄達の戦いを口をあんぐり開けたまま驚愕の表情で見守っていた。

「アル、すげえな。」

「うん、すごい。」

みるみるドロイドは破壊されていった。

最後の1体を須佐之男が締め潰した。


5,「湯川全部倒したぞ。まだ何か出てきそうか?」

須佐之男が湯川に尋ねたが、それは湯川にも分からなかった。

「それはわかりませんが、一応発射管はねじ切ってミサイルの発射は止めてもらえますか。」

「わかった、タケル一緒に頼む。」

須佐之男はそういうと。日本武尊と発射管を抱え込み須佐之男は右に、日本武尊は左に身体をねじった。

発射管は『ギギギ』と音を立てながら、へしゃげ捻じり塞がった。

日本武尊は捻じれた上の部分を押して、発射管は完全に2つにねじ切れた。

「これでミサイルは発射できないでしょう。」

湯川は考えながら言葉を続けた。

「卑弥呼さん、このまま研究のためにこの管を抜いてもらおうと思うんですが、爆発しませんかね?」

「湯川はどう思うんだ?」

卑弥呼から逆に質問されて、考え込んだ。

「あの大爆発はこの船の動力の反物質がメルトダウンして爆発したと思うんです。この管ごと安定した状態で抜くことができれば、爆発する事はないと思います。原発と同じ仕組みなら。」

「原発に例えるなら、原子炉圧力容器ごと抜いちゃうってことね。」

そこはアルの専門分野だった。

「2人がそう言うなら、やってみて。」

卑弥呼のお墨付きが出た。

「もしもの時はお願いしますよ。全員バラバラなんて嫌ですよ。卑弥呼さん、弥勒さん。」

「任しとき!」

弥勒は備えてくれた。

「その時は、みんな爆発に巻き込まれて死になさい。」

卑弥呼は突き放すように言った。

「卑弥呼はん、それはあんまりやで。」

「冗談よ、うふふ。」

また卑弥呼が笑った。

「やだ、卑弥呼ちゃん冗談言うんだ~キャッキャッ。」

アルがはしゃいだ。

「邪魔くさい奴らめ、もう抜くぞ。」

須佐之男には冗談は通じないようだった。

須佐之男はへしゃげた発射管にづかづかと歩み寄ると、両足を踏ん張って管を肩にかけぶっこ抜いた。

みんなは頭を抱え衝撃に備えたが、須佐之男はあっさり引っこ抜いた。

特に何も爆発も振動も起きなかった。

須佐之男が抜いた発射管は4~50メートルの長さがあり、底には正方形の大きな黒い箱がついていた。

湯川は慌てて、放射線量を測ると、その箱からは高い放射線量が検出された。

湯川は須佐之男に頼んで、不要な発射管を斬って転送マーカーシールを張ってもらった。

そして香音にエスポワール号のエンジンルームに転送するよう指示した。

「これで調べる事ができる。ありがとう、スサノオさん。」

「湯川、特に変化はなさそうだな。」

清明は船の気配を探っていたようだ。

「ええ、多分もう大丈夫でしょう。」

「ねえねえ、じゃあ船に戻ろ。」

アルの提案にみんな賛成した。

どうせ酒飲みたいだけだろうがよ。湯川は心の中で呟いた。


6,7人は全員無事に船に戻った。

「みんなご苦労さま。よくやったわ。」

卑弥呼がねぎらった。

「ちょろいもんだったわね。」

「アル、お前何もしてねえじゃないかよ。」

「うるさい、バカヒデキ。」

また湯川はアルにケツを蹴られていた。

「ひゃぁ~。いつも通りの展開やな。」

弥勒は笑っていた。

「で、どうやった?手ごたえあったか?」

「まあ、湯川が心配する程でもなく、想定内の威力でした。」

日本武尊が答えた。

「うん、オラたちが命の危険感じる事はなかったかな…」

小角も大した手ごたえは感じていないようだった。

「将門はどうやった?」

「レーザーも跳ね返せる程度でしたし、ロボットもそれほど大きくも威力もなく物足りないほどでした。」

「清明はんはどうやった?」

「はい、念のため十二天将から四天将を召喚しましたが、その必要もない程度でした。科学に頼りきった文明のように感じました。」

「湯川はどう思った?」

卑弥呼が訊いた。

「レーザーは想定内でしたが、あのドロイドの形状は予想外でした。

どうみてもティラノサウルス太古の恐竜の頂点に位置する生物です。

あの宇宙船は地球の歴史の中から最強の生物をコピーしたと思います。

そんな能力があらかじめインプットされていたとしたらそれは脅威です。」

「それにUFO内部の放射線量が低かったのも気になるわね。」

アルも自分の意見を言った。

「ほうか、でもこの程度のUFOやったら七機ぐらい倒せそうか?」

「ふん、造作もない。」

須佐之男が即答した。

「卑弥呼ちゃん、この調子で毎日1週間後のUFO出現地に行って、七日でやっつけちゃおうよ。」

アルが能天気に言った。

「そうね、手早く片付けちゃおうか。」

卑弥呼も同意した。

「ちょい待ち、このまま時間軸に戻らんと、時を待と。」

弥勒が口を挟んだ。

「え、弥勒のおっちゃん何故?」

「もうおっちゃんでも何でもええけど…」

「ワシ時間軸チェックしに行ったやろ、こんだけの英雄が歴史からおらんようなってんやから、多少の時間軸の歪みはある筈やねん。」

「それが全然歪んでへんかった。歪み直す気満々で行ったのにがっくりきたわ。」

「ホンマやったらこの時代の湯川はUFOの調査しとる訳やろ、それを調査隊引き上げさせたって事は、この船も完成してへんっていうことやん。」

「でもちゃんと今この時代にこの船は実在してるやん。こういう時は時間軸が歪んでなあかんねん。その歪みを直すのがワシの役目や。ところがそれも歪んでへんねん。」

「お前らの活躍も時間軸から見とったけど、時間軸には何の変化もなかった。」

「何か変やねん。既定路線というか大河の流れに流されてるというか…」

「今はあんまり時間に逆らうような事せん方がええと思うねん。」

「せやから、このままこの時代で次のUFOの出現待った方がええと思うねん。」

弥勒は一気にまくし立てた。

「弥勒さんがそういうなら、このまま待ちましょ。」

卑弥呼が同意した。

「みんな異存はないわね?」

「湯川、次のUFOが現れる場所で待ちましょ。」

「はい、次は蔵王という山です。その間に俺はあのUFOから回収したBOXを調べてみます。香音、強力な放射能防御服を用意してくれ。」

湯川の研究心に火が付いた。

「ほな、その間にめしや。ワシはメシヤ(救世主)。」

「酒も用意してくれ。」

「オラも飲みてえ。」

「俺も食べてからにしようかな…」

「まあしゃあない、ヒデキ、飯くらい食わしたろ。」

「アル、弥勒さんの真似すんじゃねえ。」

「誰も突っ込んでくれんのかい。」

弥勒は頭を抱えた。


この時の弥勒の提案が、後に大きな意味を持つ事になるとは、まだ誰も想像もつかなかった。


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