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第三十八話『罰』


「ひっ……ひっ……ひっ……!なんなのだあいつらは!?」


 月明かりの照らす夜の港をゆっくりとした速度で走りながら、ダーレスは呟く。

荒い呼吸は疲れか、恐怖によるものか。


もしくはそのどちらも……。


「儂の邪魔ばかりしおって……!あぁ妬ましい!妬ましい!」


 垂れてくる汗を恨めしそうに拭いながら、他人を呪い、怨み、妬む。


3年前に自分が司祭であると偽装してから身についてしまったその悪癖を、隠すこと無く喚き散らしながら、走る。


 しかし、そんな彼は愚者ではあるが決して馬鹿ではない。


彼は目的もなくただ逃げるために走っている訳では無いのだ。


むしろ、忌々しいルーチェ・ゼーヴィントを殺した後の身の振り方として考えていた計画を、今の状況では無理だと判断して前倒しにするぐらいには、狡猾である。


「はひッ……はぁ……!」


 荒い吐息が漏れる。

長いこと体を動かしていないためか、とてつもなくゆっくりとした走りでも大変辛そうである。


 そんなダーレスの目指す場所は、アシエーラの玄関口と呼ばれている巨大な門のその先。

その先にあるグリム大森林すら通り抜けた、グリム大陸でも一番端に位置する、名前だけは世界中に出回っている国だ。


───そこは、アルハデス帝国。

正式な名称としては"偉大なるアルハデス皇帝陛下によって選ばれた人民が住まう国"というのだが、ともかくそこを目指してダーレスは走っているのだ。


「あの小娘を今すぐにでも潰してやりたいが…… 一旦他国に亡命した後で、態勢を整えてぶち殺してやる……!」


 ダーレスは憎々しげに虚空を睨み、忌々しいルーチェ・ゼーヴィントを次に会った時どのようにして嬲り殺すか考える。


 強姦、刺殺、殴殺、絞殺……

頭の中でそんなことを夢想して、下卑た笑みをその醜い顔に浮かべた。

その笑っているのに笑っていない瞳の奥には、凄まじい程の暗い炎、確かな【嫉妬】の感情が暴れ回るように渦巻いていた。


「はぁ……はぁ……!」


 港周辺にあった長い民家の群衆を抜け、繁華街へと向かう道の入口まで辿り着いたダーレス。


「ここを抜ければ、儂は……!」


 ニチャニチャと気持ちの悪い笑みを浮かべて、1人呟く。

その表情から察するに、もう既に帝国に亡命した後の計画を考えているのだろう。


「抜ければ、どうなるんだ?」


 しかし、独り言であった彼の呟きに、彼の背後からひとつの質問が帰ってくる。


こつこつと石を敷きつめられた道を打ち鳴らし、近づいてくるその声の主にダーレスは聞き覚えがあった。


───ダーレスは怨嗟にまみれたその顔で、震えながらそちらを振り向き叫ぶ。


「貴様、冒険者ァッ!

どれほど儂の邪魔をすれば気が済むんだッ!」


 そこには、ここに来る前にセラヒムに襲わせて海に落としたはずの、女冒険者が立っているのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【アーレ視点】


「アーレ殿、かたじけない……」


「馬鹿が、お前が謝る必要などない!

それよりも今は自分の回復に専念しろ!」


 目の前で意気消沈した様子のシンを、カバンに入れておいた薬草の塗り薬で治療しながら叱咤する。


「ですが、拙者のせいで……」


 ぐじぐじとそう呟くシンを見て、我は自分の髪をぐしゃぐしゃとかいた。


 先程逃げる時に襲われてしまったのは、確実に我が気を抜いてしまったせいだ。

そんなこと、少し考えればわかることであるのに……


 物事の全てを自分の責任のように考える、シンの悪癖が発動している。こうなったこいつは、凄く面倒臭いのだ。


「あー、じゃあ、もうそれでいいからッ!

とりあえずヌルが戦っている間に、全力で回復するぞッ!」


 我はシンの額にパシンと平手を打ち込むと、自らもMPを回復するために携帯していたポーションを飲む。


───ぐっ……不味い……!


 我はポーションの味が嫌いである……!

そもそも、なんで下級ポーションというのは効能が低いくせにこんなにも苦い味をしているのだッ……!


「拙者って駄目だ……もう誰も護れないんだ……」


「あぁ……!くそっ!イライラするッ!」


 隣でグチグチと陰気な言葉を吐いているシンとくそ不味いポーションのコンビネーションに、我はより一層のイライラを感じて髪をかく。

このままイライラし続けたら我、禿げるかもしれんわッ!


「ヌルッ!そっちはどうだッ!」


 我は気を紛らわすようにヌルに声をかける。

本来ならば戦闘中に外から声をかけるなどやってはならない行為なのだが、ヌルに限ってはその限りではない。


「うんっ!楽しいよ〜!」


「死ねッ!」


「ははは〜!敵さん頑丈でいいね〜!」


 事実、ヌルはよそ見をして今しがた殴られたが、殴られた部分は一瞬だけ穴が空いたあと何事も無かったかのようにゆっくりと戻っていった。


───そして、その攻撃直後で動けない敵に振り下ろされる、水の巨人の拳。


 その衝撃は石で舗装されている港の地面をグラグラと揺らすほどのものであり、それを何度も受けている敵はボロボロといってもいいであろう様態を成していた。


青を基調とした高そうな鎧はバキバキに砕け、その先にある肉体すらも傷ついている。


しかし、それも仕方ないだろう。


なんたって、生きてる方が異常なのだから……


「喰らえ〜!【水神の一撃(アクシア・クエイク)】〜!」


 彼女はそれが最後の一撃と言わんばかりに技名を叫ぶ。

偉大なる大地をも砕くとされる水神アクシアの一撃か。なるほど、言い得て妙である。


 我はそんなことを思いながら、あの凄まじい強さを持った敵が叩き潰されるであろう様をぼぅと眺める。


「……ッ!ダーレス様に、近づく冒険者……排除……ッ!」


「あれ〜!?どこ行くの〜?!もっと遊ぼうよ〜!」


───しかし、今までどんなに殴られても一歩も引くことのなかった敵は、なにかに気づいたように顔を上げるとばっと走り去ってしまった。


「なんだ……逃げたのか……?」


 我はもう既に見えなくなってしまった敵の走っていった方向を呆然と眺める。


逃げたにしては何かを呟いていたし、どこかおかしな様子であった。危機迫った表情というか、なんというか……


しかし、我の頭の中では、そんなことよりも一つの後悔が思考を支配していた。


「ポーション……飲む必要なかったなぁ」


そう、今しがた空になったポーション瓶を眺めながら、口に残るクソみたいな後味を噛み締めるように我はそう呟くのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【ながみ視点】


「───貴様、冒険者ァッ!

どれほど儂の邪魔をすれば気が済むんだッ!」


 目の前で唾を飛ばしながら叫び散らす存在に、軽蔑の目を向ける。


こいつの目の奥には、とてつもない邪悪が渦巻いている。

人を陥れようとする嫌な目だ。本当に気持ち悪い。


「邪魔するに決まってるだろう?

お前はルーチェさんを傷つけようとしているんだからな!」


 人を呪わば穴二つってやつである。

ルーチェさんに変わって、私が引導を渡してやる……!


そんなことを考えながら、私は目の前のダーレスに対して拳を向ける。


「くそっくそっくそっ!

何故みんなあの小娘に味方をするッ!なぜ神は儂を選んでくれなかったッ!?妬ましい妬ましい妬ましいッ!」


「それは、お前がそんな人間だからだよ……!」


「クソ冒険者がァァァァァ!黙れぇぇえええ!」


───恨みつらみを吐くその姿は、司祭とは思えない。


 聖職者と名乗るのもおこがましい程に醜い姿だ。

私は目の前で頭を抱えて恨み言を宣うダーレスに、絶対的な事実を突きつける。


 すると、ダーレスは図星をつかれたように動揺して激情すると、その勢いのまま私に殴りかかってきた。


「だから、女性に手をあげるのはどうかと思うって……言ってるだろッ!」


「グハァッッ!?」


 発狂したように私目掛けて突撃してくるダーレスの顔面に、腰の入った拳を思いっきり叩きつける。


ダーレスはその拳をもろに受けて吹っ飛ぶと、地面に倒れ込んでバタバタと暴れ顔を抑えた。


「いってぇ……人殴るのってこんなに痛いんだな……」


 一応歯とか頭蓋骨とかは避けたんだけどな……

私はピリピリと痛む拳をひらひらと風に晒しながら、倒れ込んで何やら悶絶しているダーレスの方へゆっくりと歩いていった。


「さぁ……ダーレス、裁きの時間だ」


「はっ……はっ……!くるなぁあ!くるなぁッ!」


 顔を抑えながら後ろへ這いずっていくダーレスの鼻から、赤い血が溢れる。


「お前の罪は、その壮大な嫉妬心だ」


「あぁ……あぁあッ!」


 ダーレスは恐怖で下半身を濡らし、様々な穴から液体を溢れさせている。


いい気味だ。


しかし、まだ足りない。

ルーチェさんが感じた、恐怖、悲しみ、絶望は……こんなものじゃないのだ。


私は頭の中でイメージを固める。


人を殺さない、非殺傷性のゴムの性質を持った布団。


こいつは、ここで殺すわけにはいかない。

何故ならば、その罪を償わなければならないからだ。


「い、いやだァァァアッ!儂は、儂はまだァ、まだァッ!」


 鳴き声を上げながらズルズルと這いずっていくダーレスに向けて、手を向ける。


 本当は【布団手裏剣】の一発や二発その土手っ腹に打ち込んでやりたいところだが、それは私のすることではない。


「この世界に刑務所があるかは知らないが、しっかりと罪を贖えよ?」


欲望のままに逃げようと這いずるダーレスにそう呟いて、私は【布団弾】を発動し


「ダーレス様に、手を出すなぁァァ!」


「ッ!」


 私は背後から迫り来る聞き覚えのある声を上げる存在の攻撃を、避けることが出来ない。


 私ももう既にボロボロなのだ。体力もない。

だから、確実に迫ってきている、背後から感じる威圧感の主を、セラヒムの拳を避けることが出来ない!


……まずい、このままだと、死ぬッ!

何故こいつがここに───ッ!


「よ、よく来たセラヒム!そのまま殺せっ!」


 見たくはないが、少しでも生存の確率を上げるために勇気を振り絞ってそちらを振り向く。


このまま背中向きでただ殴られるよりは、そっちの方がまだいい!

そして、私が後ろを振り向いたその先には、もう既に3m程度の距離で拳を振りかぶるボロボロになったセラヒムの姿があった。


「死ねぇぇぇ!」


 私はスローになった世界の中で、生きるために必死に重い体を動かす。


凄まじい威力を伴った、拳。


それを私のできる全力で避けながら、自然と片手をダーレスに向けていた。


───それは、生きるために選んだ、直感のような行動。


 ダーレスの【嫉妬】によって、セラヒムが操られているという、先程のダーレスのステータスを盗み見た際に思いついた僅かな可能性でしかないものに縋る行動。


私は凄まじい速度で【布団弾】のイメージを固めると、それを発動した。


「ぐッッッ!?」


 【布団弾】がダーレスに命中する。

ダーレスはその衝撃で吹っ飛び、意識を失った。



……しかし、やはりというかセラヒムは止まらない。



私の眼前まで来た必殺の拳。


それを私が避けられるはずもなく、無惨にもその顔に受け


「……ッ。……?」


なかった。


 セラヒムの拳が私に当たる直前で、私の背後からやってきた手にパシンと止められたからだ。


「ながみぃいッ……楽しそうなことしてるじゃねェかァ!?」


 口元に大きな傷のある、細いつり目の尖った黒髪。

リギドさん程ではないが身長が高く細身で、残忍そうな印象を与えるその口元をニヤリと歪ませ嗤う彼。


 しかし、私は知っている。

彼が悪い人ではないということを。


「ザック先輩……!」


「そうだァ…オレは、ザック……!"首切りザック"だァ!

ヒャッハァァァァ!」


 ザック先輩は興奮したように叫ぶと、手に持ったナイフをペロペロと舐めた。


「ザック先輩、助けに来てくれてありがとう……!」


 私は恐怖で震える体を無理やり動かして、拳を構える。

今の私には何も出来ないが、それでもザック先輩の邪魔にならないように自分の身を守るぐらいはしなければ……!


「ながみぃ……いいからここはオレに任せてゆっくり休めやァ……!」


「しかし……!」


 目の前で立ちすくむセラヒムから発せられる殺気に、こうやって身構えでもしないと耐えられないのだ。


「いいから黙って……って。



───いや、その必要はねェな……」


 そう呟くと、ザック先輩は手に持っていたナイフをポケットにしまった。

私はザック先輩の謎の行動に驚いて、困惑しながら声を荒らげる。


「ザック先輩!なぜ武器を納めるんだ!?こいつは……」


「ながみ。アイツ、よく見てみろォ……」


 叫ぶ私に神妙な顔でそう示すザック先輩。

私は、困惑し恐怖しながらも、その場から動かないセラヒムを不審に思ってよくよく観察する。


すると……あることがわかった。


「あいつ、気絶してるのか……?」


 思わず私は言葉を発した。

身体中から溢れ出る殺気、こちらを睨みつける必死の表情……

体は拳を構えるような姿勢を取っていて、今にも撃ち放ってきそうな気配すらある。


───しかし、その目は白目を向いていて、その場から動くことは無い。


 そう、セラヒムは、私に次の攻撃を放とうとする姿勢のまま、立ったまま気絶していたのだ。


「う、嘘だ……気絶しているのに、なぜあれほどの殺気を……」


「こりゃ相当な執念を持ってお前を狙ってたなァ……よく生き残ったなァ、ながみィ?!」


 ザック先輩の言葉を、右から左へ流すように聞く。


これほどまでの執念を作り出す【嫉妬】……私は、ザック先輩が来なければ死んでいた……?


───いや、それだけじゃない。


 多分、初撃で吹き飛ばされた時、ルーチェさんがこっそりと私にかけていた何らかの魔法がなければ死んでいたし、海から落ちた時もヌルが助けに来なければ死んでいた……


私は、今回、本当なら三回は死んでいる……!


 体がぶるぶると震える。

恐怖と絶望と、悔しさで頭が支配される。


魔物の長から逃げ切って、ヴォレオさんを襲ったリザードマンの手を切り落として、ルミネさんを完封して……調子に乗っていた。


自分は強いと思い込んで、甘い考えで格上に戦いを挑んで……


愚かだ……私は……!


「オイ……聞いてんのか、ながみィッ!?」


 私の前で、神妙な面持ちで叫ぶザック先輩。


「ザック、先輩……私は……」


「いいかァ……よく聞けよォ!?

お前はなァ、きちんと依頼をこなしたんだァ!」


 ザック先輩はいつもの通りに、しかし、芯のあるしっかりとした言葉を私に教える。


「お前は、まだオレにも、こいつにも勝てねェぐらい弱ェ……」


 それは、今回の戦いで身に染みてわかった。


 私は弱い。

人の力を借りなければ、何も出来ずに死ぬぐらい、弱い。


それはわかっていた。


わかっていたはずだった。


だが、その事実をザック先輩という格上に突きつけられたことで、私は胸が苦しくなって顔を俯かせた。


「だかなァ……それは仕方の無いことだァ!」


 しかし、そんな俯いている私に、ザック先輩は声をはりあげてそう言った。


 私はその言葉に驚いて、顔を上げる。

そんな私を見て、ザック先輩は口角を少しだけ上げながら話を続ける。


「強さっていうのはなァ……一長一短で身につくものじゃねェ……」


 ザック先輩は口元の傷にふれながら、何かを思い返すように呟く。


「長いこと冒険者やってるオレでもBランクだァ……上には上がいるし、そんな奴らは死ぬ程死線をくぐってる……」


 自嘲気味ニヤリと笑いながら、遠くを見つめるように語る。


「今回、お前は何度も死ぬような目にあったかもしれねェ……だがな……」


「そんな中で、こんな格上相手に護衛対象を守り抜いたんだァ……それだけでも立派なもんだぜェ!?」


 ザック先輩はいつものように底抜けに恐ろしく明るい口調で、私にニヤリと笑った。


「しかも、そんな状況の中で仲間を呼ぶ判断をして、その結果お前はこんなふうに生きているんだ……それは、相当すごいことだァ……!」


ザック先輩は話しながら少しづつ私に近づいてくる。


「お前は、今回何度か死線をくぐった。

だから、きっと強くなれる。だから……」


「……だから、あんまり気負うなや。これからだァ」


そう言って、私の頭をぽんと叩いた。

その私に向けられた顔は傷だらけで……怖いけど、どこか優しいような、安心するようなものだった。


「……そう、かぁ。私は……強く……」


強くなれるのか。


私は、空を見上げる。


月が、十字の形に瞬いている。


綺麗だ。


そんな月を見る私の目から、月明かりがこぼれた。


「ザック先輩。帰ったら、戦い方を教えてくれないか……?」


「あァ……いいぜェ……お前を強くしてやるよォ。

……だが、とりあえず今は、帰るぞォ」


 ザック先輩はそう言って、セラヒムとダーレスを抱えてギルドの方へ歩き出した。


「そうか……ありがとう」


 私は前を歩くザック先輩の背中を眺めながら、そっと呟いて

……また1歩、前へと、ゆっくりと歩き出すのだった。


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