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異世界ふとん至上主義!  作者: 一人記
第一章

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33/156

第三十二話『久々の青い板』


 ギルド二階にある角部屋で目を覚ました私は、横で寝ているルフの顔を眺めながらぼーっとする。

 私が昨日の夜に召喚した、ふわっふわの羽毛ふとんで包まれているルフの顔は大変気持ちよさそうである。

ほっぺがぷにぷにで可愛らしい。ちょっとつついてみようか?


 そんなことを考えていると、大通りに面するように取り付けられている窓から太陽の眩い光と町の喧騒が聞こえてきた。


シーアシラ港町に来てから、3日目の朝である。


「ここ2日、色んなことがあったなぁ……」


 リギトさんたちと出会ったり、ルーチェさんの依頼を受け始めたり、ルフとの関わり方を考えることになったり……

なんかここ最近、感情的になることが増えている気がするなぁ……

私、そこまで感情的なキャラではなかったんだがなぁ……?


 私はそんなことを思いながら、長らく見ていなかったステータス板を呼び出した。そして、その青い板に目を移す。


「ずっと見てなかったから、どうなっているか楽しみだな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

永巳(ながみ) 叶夢(かなむ)  性別︰女  種族︰人間


レベル︰14  MP︰105


スキル

〘研究︰10〙〘火魔法︰7〙〘創作︰4〙〘回避︰4〙

〘槍術︰3〙〘悪食︰1〙〘記憶︰1〙〘歩行術︰1〙


2次スキル

〘熟考強化︰2〙〘高速思考︰2〙〘惰眠︰1〙



固有スキル

〘ふとん召喚〙



スキルポイント︰24   スキル検索︰


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

         《取得可能》

精神耐性[10]歌唱[10]土魔法[10]風魔法[15]



       《スキルポイント不足》

水魔法[30]殺生[50]怠惰[100]


        《進化可能スキル》

〘研究〙⇒〘探究〙・・・1ポイント


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

         〘ふとん召喚〙


MPを消費し ふとんを召喚する


消費MP︰10


ふとんポイント︰42


疲労軽減︰1 ホーミング︰1 材質変化︰1 結界︰5



取得可能(消費ポイント)


 回復(5) 浮遊(10) 消費MP軽減(15) 走行(30) 


進化可能(消費ポイント)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふむ……Lvが4上がって、MPが20増えている……」


 あとは回避が3から4に、槍術が1から3……さらに、ふとんポイントが20増えているな?

加えて、前まで取得可能スキル欄にあった〘記憶〙〘歩行術〙を新たに取得していること。


 そして一番重要なのが、研究がレベル10になり進化先となる〘探究〙というスキルが出ていることかな?


前の研究にはお世話になったからな……主に食料の確保に……!


「さてさて、君達はどんな能力なのかな……?」


 青い板の新たに出てきたスキル達をタッチして、詳細を確認する。歩行術は前もみた気がするが、まぁ一応見ておこう!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

          〘歩行術〙


歩きやすくなるスキル。

体に負荷のかからない歩行を無意識下で行うようになる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

           〘記憶〙


記憶能力を高めるスキル。

憶える能力に付随して思い出す能力にも影響を及ぼす。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

           〘探究〙


真理を探究するスキル。

対象物の真理を知ることができる。

対象物に(11−Lv)秒触れて、〘探究〙を発動することで対象の真理を読み取ることができる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 歩行術は町に来る前に見た通りだが、記憶は割と便利そうな能力だな?

 そういえば私は元から物覚えはいいほうだったが、流石にステータスにあるスキルLvのような細かな数字まで覚えていられるほどではなかった筈だ。


もしかしたら"記憶"のおかげかもしれないな?


しかし、そんなことより……


「真理を読み取る……?」


 私は書いてある内容が理解できず、思わず口に出してしまう。


〘探究〙スキル……なんという抽象的な内容なんだ……!

発動条件は軽い数式まで使ってしっかりと書いてあるというのに……!


「これは取って発動してみるしかないのか……?」


 研究を進化させるために必要なスキルポイントは、たったの1ポイント……

しかし、今までの経験からして、二次になったスキルは強いかどうか分からないものが多かった……!


だが……もしかしたらふとん二次スキルの様な劇的な進化を遂げるかもしれない!


 私はごくりと生唾を呑みこみ、〘探究〙のスキルまで指を持っていく。


そして、〘探究〙のスキルをポチッと押したのだ!


「ふ、ふふ……取ってしまったな!」


 好奇心という衝動に負けてしまったが、取ってしまったからにはしょうがない!


これは、とりあえず試してみるしかないな!


「そうと決まれば、対象だが……」


 キョロキョロと周りを見渡す。

しかし、私の心を動かすようなめぼしいものは見当たらない。

いや、そこら辺の木の壁とかに試してみてもいいのだが、初めて知る真理が木の壁ってどうよ?


正直それはないだろう……!


「なぎゃみ……どうしたの……?」


 私が考え込むように部屋の中を歩いているのがどうやら少し煩かったようで、ふとんで寝ていたルフを起こしてしまった。


 ルフはその私の様子を見て、眠そうな目を擦りながら話しかけてきた。


「悪いルフ。起こしてしまったな」


「ううん。べつにいいよ。……それで、なにしてるの?」


「私か?

いや、対象の真理を知るという新しいスキルが手に入ったから、その対象となる輝かしい第一号を探しているのだよ!」


 ルフはそれを聞くと、ふとんからバッと飛び起きて私に近づいてきた。顔を見ると目がキラキラしている。

どうやら、いつものやつを発症したようだ……


「なぎゃみ、それわたしにつかって……!」


「え?いや、それは……」


「おねがいなぎゃみ!しんり!わたしのしんり、きになる!」


 渋る私の腕にしがみつくようにして、必死に縋ってくるルフ。

目はいつもより倍増してキラッキラしていて、興奮していることが丸わかりだった。


「えー……うーん……もしかしたら危険かもしれないしなぁ」


 内容的にはおそらく大丈夫であるが……まだなんにも試していないので、もしかしたら危険かもしれないのだ。

それを使うというのはちょっとなぁ……?


「きっとだいじょうぶ……!だからはやく!」


 ルフは相当興奮しているようで荒い息をしながら私の手をぶんぶんと振り回す。

ルフは子供にしては力がある方なので、私は手と一緒に頭までぐわんぐわんと揺らされて、目の前の世界が歪んだ。


「わかったわかった!わかったから振り回すんじゃない……!」


「やった!はやくはやく!」


「ハイハイ、わかったよ……」


ルフの必死の猛攻に根負けした私は、ルフの頭に手を置くと10秒数え始める。


10、9、8、7、6……


「なぎゃみ、まだ……!?」


「今やってるよー」


落ち着かない様子のルフを撫でながら、カウントを続ける。


3、2、1、0……


おまけに−1!


「よし、これでいいだろう!」


「みえた!?しんりみえた!?」


「まぁ待て……えーと、〘探究〙発動!」


 私は10秒経ってなくて発動しなかった……なんてことになりたくないため少し余分に数える。

そして、慌ただしいルフを横目にしながら〘探究〙のスキルを発動させた。


 すると、目の前に見知ったものが現れる。

それは先程まで、というか、今も片手で発動して持っている青い板であった。


「これって、ステータス板か?」


私は目の前に出現したそれを確認する。


「えーと、内容は……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ルフ・ウルフ 性別︰女  種族︰青狼族


レベル︰12  MP︰12


スキル

〘嗅覚︰5〙〘聴覚︰8〙〘走術︰3〙〘思考︰2〙

〘予測︰4〙



固有スキル

〘気力纏い〙



スキルポイント︰25   スキル検索︰


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ねぇみえた!?しんりみえた……!?」


「これって……ルフのステータス?」


 私は青い板に書いてある情報を眺める。

私のものでは無い、知らないスキルが多々あるステータス表。


「なぁ、ルフ。

君のフルネームは『ルフ・ウルフ』で合ってるか?」


「え?……うん、わたしのふぁみりーねーむはうるふだよ?」


「そうか……ルフ、悪いな。

真理っていうのは、対象のステータスが見えるって意味だったらしい。ルフのステータスを見てしまった」


 申し訳ない気持ちでワクワクしているルフにそう答える。

もしかしたらステータスは凄まじい個人情報かもしれないし、悪いことをしたんじゃないかと心配になってしまったのだ。


「べつにいい。

……でも、すてーたすはいつもみてるからがっかりした。

もっとおもしろいものかとおもったのに……」


 しかし、ルフは全然気にしていない様子でそう言い放つと、とたとたと歩いていき、ふとんに潜り込んで二度寝を開始してしまった。

どうやら相当興ざめしてしまったようである。


ルフ……萎えて二度寝なんて、いつの間にか私みたいなことをするようになってしまったな……!


と、そんなことよりも……だ。


「このスキル、滅茶苦茶有能なのでは?」


 10秒触るという制限がついてはいるが、ステータスは強さの指標となるし、他人のステータスがわかるのはとてもいい。


 話の通じる相手なら、握手のていで触って発動する……なんてことも出来るだろうし、仲間に使えば作戦が立てやすそうだ。

まぁ発動前にステータスを見ていいかの了承は貰った方が良さそうだが……


 そして、研究の進化系ということは、おそらく今まで使用用途をしっかりとこなして熟練度をあげなければ分からなかった植物や食材などの情報が、先程の10秒タッチ法でわかるのでは無いかと私は踏んでいる。


 そうなれば、とても楽であることは間違いない!

何故ならこの青い板は、私の知る日本語で表示されるのだ。

もしこの方法で依頼なんかを見ることができれば……!


「ふふふ……もしかしたら内容が分かるかもしれない……!」


 部屋にはほくそ笑むような私の笑い声が響く。

我ながら黒い笑みをしているなぁ……!


「あ、そうだ。ふとんポイント割り振らなきゃ……」


 顔に浮かべていた悪い笑みを一瞬にして引っ込めると、大量にあるふとんポイントを割り振り始めた。

悪巧みよりも、ふとんの強化の方が大事なのだ。


しかし、42ふとんポイントか……


「取れるな……!」


 完璧布団パーフェクトふとんの条件である、走行……!

これがどこまで走行できるのがは分からないが、私にとってこれを取ることは必然的な運命である!


「……ふとんポイント、消費!【走行】取得ッ!」


ふ、ふふ……ふとんポイントが12になってしまったが……


悔いはない……!


私は不敵に笑いながら完璧布団パーフェクトふとんお披露目の瞬間を想像して、一人酔いしれるのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【ながみ 現在のステータス】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

永巳(ながみ) 叶夢(かなむ)  性別︰女  種族︰人間


レベル︰14  MP︰105


スキル

〘火魔法︰7〙〘創作︰4〙〘回避︰4〙

〘槍術︰3〙〘悪食︰1〙〘記憶︰1〙〘歩行術︰1〙


2次スキル

〘熟考強化︰2〙〘高速思考︰2〙〘惰眠︰1〙〘探求︰1〙



固有スキル

〘ふとん召喚〙



スキルポイント︰23   スキル検索︰


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

         《取得可能》

精神耐性[10]歌唱[10]土魔法[10]風魔法[15]



       《スキルポイント不足》

水魔法[30]殺生[50]怠惰[100]


        《進化可能スキル》



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

         〘ふとん召喚〙


MPを消費し ふとんを召喚する


消費MP︰10


ふとんポイント︰12


疲労軽減︰1 ホーミング︰1 材質変化︰1 結界︰5


走行︰1


取得可能(消費ポイント)


 回復(5) 浮遊(10) 消費MP軽減(15)


進化可能(消費ポイント)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


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