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第十二話『閑話︰第一回おふとんドラフト会議』

【主人公視点】


───第一回ッ!ルフ用即席おふとんドラフト会議〜ッ!


 いえええぇぇぇい!


私A︰さぁ始まりました第一回おふとんドラフト会議、実況解説の私Bさん、今回はどのような会議展開となるのでしょうか?


私B︰そうですねぇ……やはり、ルフ選手は子供ということで肌が弱い可能性があります。

ですので、その点を踏まえたドラフトとなるのではないでしょうか?


私A︰なるほど……そうなると、注目となってくるおふとんは、限られてくるかもしれませんね。会議展開に注目です。

それでは、私の脳内会議を見ていきましょう!


「……」


 さて。というわけで、茶番もそこそこに初めて行く訳だが。


まず、そもそも何を悩んでいるのか、という話をしていこうか。


悩んでいること、それは……ルフにとって最高のふとんは何か?ということである。


 私は一流の布団研究家として、ルフにあったふとんを選ばなければならない。

しかし、今現在の私では、ルフの体質や体温、硬さの好みなど分からないことが多い。


 だから、悩んでいるのだよ。


 だが、私も布団歴23年目。

ある程度のレベルのものならもう検討はついている。


というわけで、手始めに掛け布団から選んでいこうとおもう。


 まずは、軽く説明をしよう。


 みんなは一概に掛け布団と言っても、様々な種類がある事をご存知だろうか?

肌掛け布団、合掛け布団、2枚合わせ布団、冬用本掛け布団、それに加えて中綿の素材……


 選び始めれば、その豊富な種類にきっと目を回してまうふとん初心者も多いかもしれないな。


 だが、選ぶのが面倒臭いからといって適当に安いものを選んだり、自分の体質にあっていないものを選んでしまうと大変だ。

暑かったり、寒かったり、ムレたり、体を痛めたり……最悪の場合、直ぐに買い直すことになってしまうかもしれない。


 なので、それぞれの特性をしっかりと覚え、季節や自分の体質にあった種類、素材選びが重要となってくる。


 しかし、今はルフのために早急に準備しなければならない。

そのため布団の種類の特性について詳しく説明してしまうと、数時間では足りなくなってしまうだろう。


 だから、悔しいが今回は軽い説明だけで勘弁して欲しい。


 まず、肌掛け布団だ。

肌掛け布団は、主に春や夏に使う掛け布団である。

軽量で適度な保温性があることが特徴で、夏場エアコンの風に直接当たりたくないって人なんかには特におすすめだ!


 次に合掛け布団。

これは肌掛け布団と冬用の布団の中間を取ったような掛け布団である。主に春、夏、秋に使用される。

多すぎず、少なすぎない中綿の量で保温性もしっかりしている。

そういった点から、春や秋のちょっとした寒さや、夏につけるエアコンの風が寒いってときに大活躍するぞ!


 次は、2枚合わせ布団だな。

これは、肌掛け布団と合掛け布団を2枚セットにした布団である。掛け布団のホックを止める事で1枚の布団として使用できるのが特徴だ。


 しかし、特筆すべきは、ひとつ持っていれば一年中対応出来るところだろう。


 どういうことかというと、暑い季節の春夏は肌掛け布団1枚を使い、ちょっとした寒さの秋と冬の初めは合掛け布団の方をつかう。

 そして、本格的に寒くなってきた冬本番は2枚合わせの状態でぬくぬくできるという、夢のような布団となっているのだよ!

というわけで、季節にあわせて自由な調節がしたいという方にピッタリな布団になっている!


 そして、最後に冬用本掛け布団。

中綿の量が圧倒的に多く、冬の極寒に耐えうるための保温性を備えた最高のぬくぬく布団である。

特徴しては、あたたかい!単純明快で1番大事な点である!

私が一番好きな掛け布団がこの冬用本掛け布団なのだ!


 しかし、ほかのものと比べてしまうと少し重いので、もしかしたら寝苦しいかもしれない。

だが、中身の素材や側生地の素材にこだわれば重さも改良されるので、ぜひ自分にあったものを見つけて欲しいと思う!


 以上で、掛け布団の説明は終わりだ。


 そして……次に敷布団の説明をしていこう!


え?まだ続くのかって?


……まだ続くが?


……さて、まず敷布団の種類から行こう!


 大まかな種類としては、羊毛混固わた敷き布団、羊毛敷き布団、体圧分散敷き布団、合繊敷き布団となる。


 最初に羊毛混固わた敷き布団。

羊毛混固わた敷布団は、中芯にポリエステルの固わたを使い、その周囲を羊毛でくるんでいるものを指す。

 特徴として、ポリエステルを圧縮した固わたというものが中に入っているため、底つき感という寝ている時に背中が床についているような感覚を抑えてくれるのだ。


 量販店なんかでも売られているので、気になったら試してみて欲しい!


 次は、羊毛敷き布団だ。

これは、先程説明した羊毛混固わた敷布団とは違い、固わたの入っていない100パーセント羊毛のものを指す。

 羊毛は吸湿性、発散性、弾力性に優れているため、ムレにくく、しかもふわふわで大変気持ちいいものとなっているのだ!

……しかし、固わたが入っていないため、しばらく使っていると羊毛がヘタってきて、ふわふわ感が失われてしまうというデメリットもある。


 次は、体圧分散敷き布団。

これは、最近よく出回るようになってきた敷布団で、特殊形状による体圧分散性と通気性が特徴だ。

 本来ならば、頭、肩、腰、足にかかってしまう体重の負荷を、その特殊な構造によって分散してくれるというものである。

また、体を沈みこませるために作られた特殊構造は、その性質のためか繊維どうしの間に空間があり、通気性が抜群となっている。


 どの布団を使っても、肩こりや腰痛、体の疲れが消えない人などは一度試してみると良くなるかもしれない!


 最後に、合繊敷き布団だな。

合繊敷き布団は比較的安いものが多いという印象が強いだろう。

しかし、なかには良いものもあり、ほかの素材とは違い人工的に作られたからこそできる、抗菌・防臭性や防ダニ性などの機能性を付加したものがあったりする。


 また合繊布団は洗えるものも多く、ホコリもたちにくい。

なので、アレルギー体質の人にもおすすめだ。


 これで敷き布団の説明は以上になるのだが、最後にちょっとだけ素材の特徴をまとめて終わろうと思う。


───だから、どこかに行こうとしているそこの君!

あとちょっとだけ付き合ってくれよ?!


 素材は大きくわけて羽毛、羊毛、ポリエステル綿の3種類!


 羽毛の特徴は保湿性、吸湿性、放湿性に優れ、軽くてふわふわ!しかし、値段が高かったり、ものによっては臭いがしたりする。


 羊毛は羽毛と同じく保湿性、吸湿性、放湿性に優れ、なおかつ燃えにくい!

しかし、購入直後や長期密閉保管後は臭うことがあったり、ヘタったりしてしまうことがある。


 ポリエステル綿は値段が安く軽くて洗えて、綿埃が出にくいのでアレルギー体質の人でも安心!しかも、抗菌などの機能性加工が施されいるものもあったりする!

しかし、保温性がそこまで高くなく、吸湿性が低い上、ヘタってしまう。


 以上で、説明終わりだ!


───な?早かっただろう?


……え?いや、長すぎ?

ここまでだけで3000文字近いって???


そ、そうか……じゃあ、次は気をつけるとしてだ。

というわけで、以上の点を踏まえたところ、私は以下のものをルフの仮おふとんにすることを決めたのだ。


 まず、掛け布団。

掛け布団は子供ということもあり、なかなか重いものは辛いかもしれないと考えた。

 しかも、今の気候は暑くもなく寒くもない。

というわけで、軽くてふわふわな上、保湿性、吸湿性、放湿性に優れれた羽毛を中綿に使った、合掛け布団に決めた!


 そして、敷き布団だが……

さっき説明したものではなく、綿わた敷布団というものを採用しようと思う。


……いや、は?と思うのも仕方ないだろう。

私だってわかる。あれだけ説明しといて、その中から選ばねぇのかよ!ってなるのは重々承知なのだ。


 しかし、しかしだよ!


 肌の弱い子供にとって植物性の天然素材を使っている綿わた敷布団は、まさにピッタリな代物だと私は思ってしまったのだ!


 その他にも、吸湿性が良くムレにくかったり、保湿性が高かったり、クッション性も程よく高かったり……

多少重いのと手入れに時間がかかることを除けば、最高のものであることに間違いはないのだ!


 というわけで、以上のふたつがルフ専用(仮)おふとんになるわけだ!


……よし、作るものが決まったら、早速イメージしよう!


 ふふふ、最高のおふとんを作ってやろうじゃないか!


 私はそう意気込みながら、先ほど考えた素材のふとんをイメージしていく。

軽くてふわっふわで、臭いもしなくて暑すぎず寒すぎない……

素材は全部一級品!


ふふふ……!

これで寝てしまったら、もう元の寝具には戻れないだろう……!

ルフには悪いが、君も今日からふとん信者になってもらうよ?


「ふとん召喚!」


 ワクワクしながら私がそう呟くと、私のMPが消費されて望みどうりのふとんが出てきた。


 私はすぐさま床にふとんをひくと、とりあえず膝枕していたルフをゆっくりと寝かせ、その上から掛け布団をそっとかけてあげた。


「……うむ。これでよし、と」


 すぅすぅと寝息を立てるルフの顔は、大変穏やかなものだ。

ふにふにしてそうなほっぺたが気になって、ついつい指で押してしまった。

 しかし、それでもいっこうに起きる気配はない。

もうぐっすりだ。よっぽど疲れていたのだろう。


「ふふっ……」


 指でつついたら、口からふぅーと息が漏れたのを見て、おもわず笑ってしまった。

全く子供というのは可愛らしい生き物である。


 いやぁ……しかし、食事中にいきなり机に突っ伏した時は肝が冷えた。

ああいうのは怖いからやめて欲しいね!


……まぁでも、私も寝起きの時の食事はよく寝た覚えがある。

特に朝なんかは酷いもので、頭から味噌汁に突っ込んだことが何度かあるくらいだ。


 それに比べれば、可愛いものだな。


 私は一人納得すると、ルフを眺めながらゆっくりと時間を過ごす。

ゆったりとした時間が流れ、この世界に来てから初めての安らぎを得ていたかもしれない。


しかし……それも長く続かなかった。


私は、気づいてしまったのだ!


───ルフの頭の下に、枕がないことに……な!


 そんなわけで、第一回ルフ専用枕ドラフト会議が始まるのだが、それはまた別の機会に……。


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