「ざまあ系のび太」が猛威を振るう
のび太のパーティーは4人。ジャイアン、スネ夫、しずか。いつもの4人組です。本日はスネ夫の家にお呼ばれしました。世界最新のテレビゲームをやろうというのです。これにはパーティーのみんなもワックワクのドッキドキ。ところが部屋に着いて、あらかた自慢と自分語りを終えたスネ夫がおかしなことを言い出します。
「ごめんな、のび太。このゲーム3人用なんだ。帰ってくれるか」
余りにも唐突で失礼な提案。当然のび太は反論します。
「だったら多く呼ぶなよ。ていうか3人用のゲームとか見たことないぞ」
ジャイアンは劇場版ではないと気づいているので暴力に訴えてのび太を排除します。
しずかもTVアニメと分かっているので、止めることはせずに沈黙をつらぬきます。
パーティーを追放されたのび太は泣きながら家までダッシュします。そして元々持っていたスキル「家にドラえもんがいる」を使って憎き元パーティーメンバーに復讐を実行するのです。
はい、ここは重要です。藤子・F・不二雄が描くのび太は最後には自滅してしまい、反省することで話を終わらせます。そんなのび太でさえも、英語圏では「甘やかされる有害アニメキャラクター」として扱われています。
しかしここは日本です。きっちり甘やかします。ひみつ道具でマウントとって、一時的ではありますが良い気分に浸ります。
しかししかし。ここは「なろう」です。のび太の育成が失敗した世界線を進みます。まだ終わりはしないのです。独裁スイッチ(ボタンを押すだけで人間を消せるアイテム)を取り出しウッキウキで連打。かわいい子を残し、その子がなびくような男を消し、消去法的ハーレムを形成するのが「ざまあ系のび太」です。
しかもそれでは足らないと。羨望されたいと。「ざまあ」と言ってみたいと考えます。しかしジャイアン、スネ夫は真っ先に消してしまっている。よし、都合よく少しだけ復活だけできるボタンが裏についていた・・・ことにしちゃおう!
上手いこと復活したジャイアンは状況を把握してのび太に泣きながら懇願するのです。「許してくれ」と。そこで「ざまあ系のび太」は待ってましたと言わんばかりに「もう遅い!」と言い放ちます。満面のドヤ顔です。絶望したジャイアンを十分に目に焼き付けると「ざまあ系のび太」はジャイアンの目の前で再び独裁スイッチを押すのです。
それを見守っていたハーレム要員の子は一斉に歓声をあげて君主たる「ざまあ系のび太」を称えるのです。「ざまあ系のび太」は気分上々。軽く引いちゃってる子をスムーズに消しながら勝利の余韻に浸ります。
ここで「ざまあ系のび太」の物語はおしまい。トゥルーエンドです。
いや、これはいけない。
コンプレックスがある、それは分かる。
その上で、やはりだめだ。
では、何をどうすればいいのだろうか?