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短編集

悪役令嬢と呼ばれる女が婚約者の王子に婚約破棄を言い渡されるというありきたりな話

「レイ・ジョーコ・ウーシャック!

 そなたとの婚約をここに破棄する!

 そう叫ぶキンパツーノ・イケーメン・ドッカーノクニ王子の声。

 貴族学院のダンスホールに居合わせた貴族の令息・令嬢、ならびに教師陣は呆気にとられてしまう。



 とくに名指しで言われたウーシャック地方、ジョーコ侯爵家の娘であるレイは。

 顔面蒼白、とまで行かずとも、突然の事に呆然愕然としてしまう。

 足もふらつく。

 それでもどうにか立ってられるのは、事前にキンパツーノ王子が言っていたからだろう。

『すまないが、これから茶番を行う』と。



 思い返してみれば、兆候はあった。

 ダンスホールに入る前からキンパツーノ王子の顔はこわばっていた。

 ご学友らや教師への挨拶など一通りの事はこなしてはいたが。

 その態度はどこか固い。

 何かを胸に秘めてるような、何かを抱えてるような。

 そんな雰囲気があった。



 そこに来ての発言、いや、宣言である。

『済まぬ、皆の者』

 ダンスホールで一段高くなってる場所に立ち、王子は声をあげた。

『歓談中の中、また卒業記念のダンスパーティの最中であるのは承知している。

 この場がどれほど重要で重大なのかも』

 その声に居合わせた者達が王子に注目する。

 王子が何かをしようとしてるのは明らかだからだ。



『だが、この場だからこそ敢えてしておきたい事がある。

 我ながら馬鹿げてると思う。

 場をわきまえるべきだとも思う。

 しかし、それでもこの場だからこそ決着をつけねばならない事があると』

 そこまで聞いた多くの者達は、何かとんでもない事が起こる事を覚悟した。

 それがなんであるかは分からないまでも。



 誰もが緊張をしている。

 そうでないのは、王子を含めた一部の者達だけしかいない。

 こわばった緊張が張り巡らされる中、王子は更に声を続ける。



『これは茶番だ』

 その瞬間、緊張に包まれた者達は一様に同じような態度をとった。

 すなわち、

『…………はっ?』

と呆気にとられる。

『…………えっ?』

と驚くでもよい。

 どちらにせよ、よからぬ何かを危惧していた一同は、その心配をあらぬ方向に吹っ飛ばされた。



 そんな一同の空気は痛いほど王子も感じていく。

 しかし、あえて場の雰囲気を読まずに話を続けた。

『やらないで良い、やってはいけない事であるとも思う。

 しかし、どうしても私はやっておきたいのだ』

 それがなんであるのか分からない。

 しかし、生徒と教師の大半は何かどうしようもない事に付き合わされてる気になってきた。



『レイ』

 何がどうなってんだ、と思い始めてる一同。

 それらを無視してキンパツーノ王子はレイを呼ぶ。

 彼の婚約者で、幼少の頃寄りの付き合いの娘だ。

 年齢・学年共に一つ年下で、卒業祝いであるダンスパーティに参加する資格は本来はない。

 だが、婚約者という立場はそれらを許容する条件にはなっている。

 そのため、この場に入る事を許されていた。



 もちろん、キンパツーノ王子から招待状ももらっている。

 そんな彼女を呼び、王子は真顔で向き合った。

 壇上からなので見下ろす形になってしまう。

 また、緊張の為にこわばった顔になってしまうので、どうしても威圧感が出てしまう。

 そんなキンパツーノ王子の顔を、視線をそれでも正面から受け止め、レイ侯爵令嬢は前に出ていった。



『なんでしょうか、殿下』

 敬称で婚約者を呼ぶレイ。

 その顔は王子と同様にこわばっている。

 それがもともときつめの、あるいは派手めの顔立ちをしたレイに威圧感を与えてしまっている。

 高圧的な態度、と言い換える事も出来る。

 ようするに、偉そうに見えてしまっている。

 当然ながら本人にそのつもりはない。



 ただ、持って生まれた容姿、見た目のせいでそう思われてしまうだけだ。

 加えて言うならば、生来の穏やかな性格も災いしている。

 心根優しく、一歩引いた性格。

 それ事態は美徳であるだろう。



 しかし、反面大きな重圧には弱く、そういった場面に出くわすと緊張して顔がこわばってしまう。

 顔だけでなく体も萎縮し、それが緊張につながってしまう。

 声もすぐには出なくなるほどだ。

 そのせいで子供の頃からいらぬ誤解を生んできてしまった。



 何かある度にこわばった表情をするものだから、それを怖がる者も出てきてしまう。

 ここに持って生まれたきつい顔立ちが組み合わさり、評価を悪い方向に積み上げてしまう。

 もちろん、本人はそれで周囲を威圧したいわけではない。

 むしろ逆で、目の前で起こった緊張をもよおさせる事態に足がすくんでいるだけである。

 なのだが、それが『怖いお方だ』という評価になってしまっている。

 また、それが転じてある意味『毅然としてる』という評価にもなってしまっている。



 更にはそんな性格がもたらす口下手さ。

 これも悪い方向に作用していた。

 奥ゆかしいというか引っ込み思案というか。

 何をどう言おうか、伝えようか。

 そう考えて時間がかかってしまう。

 それが返事の遅さになる。

 そして、そうしてる間は望まぬ仏頂面をさらすことになる。

 それが『無言で怒ってる』という誤解を生み、レイの評価を悪い方向に高めていく。



 さりとて気が弱いわけではない。

 言われれば相応の受け答えはする。

 するのだが、一拍遅れること、その間仏頂面になってしまうこと。

 加えて緊張のための硬質になってしまう声とあいまり、返答が冷たいものだと思われてもいる。



 実際のところ、レイが口にする返答の大概は穏便なものである。

 極端な話、罵倒や侮蔑であっても、やんわりと受け流そうとするものが多い。

 度を超えたら話は別だが、普段のレイは面倒や問題も穏便に片付けようとしている。

 そう願ってるし、実際にそうしている。

 そういう意味では、周囲に流されない、状況に左右されない気丈さがあると言えるかもしれない。

 ただ、周囲がそう思わないだけだ。



 そんなこんなでついたあだ名が『悪役令嬢』

 自然ととってしまう(不本意な)態度をみて、いつしかそう呼ばれるようになった。

 大いなる誤解というしかない。



 もちろん、こんなあだ名、表立て言うわけではない。

 あくまで裏でこそこそ言われているだけである。

 だとしても褒められたものではないが。

 実態と乖離したあだ名など罵倒や侮蔑といった悪口の類いであろう。



 なお、レイ・ジョーコ・ウーシャックの名誉の為に述べるが。

 険しく見られがちではあるが、彼女は決して不細工というわけではない。

 むしろ美人である。

 当代一とか、絶世の、とはさすがにいかないが。

 それでも現在の国内でも屈指の美貌をほこっている。

 加えていうならば、ドレスに身を包むその体も抜群のスタイルをほこっている。

 見た目だけでも、何かが劣ってるという事は無い。

 性格・内面については既に述べたとおり。

 ただ第一印象でとかく損をしているだけである。

 不憫というしかない。



 そんなレイ・ジョーコ・ウーシャック嬢であるが。

 婚約破棄をぶっつけられて硬直している。

 いったいなぜ、どうして、何か落ち度でも────彼女の頭の中ではそんな言葉がメリーゴーランドよろしくグルグルと終わり無く回っている。

 彼女には全く心当たりがない。

 知らないうちに不興を買うような事をしたのか、と思うが、自分から悪さをしたつもりはない。

(いったい何が……)

 そう思って呆然としてしまう。

 事前に『茶番だ』と言われていてもだ。



 そして、そうして立ってる彼女が、いつも通りの仏頂面。

 あるいは能面のごとき無表情で立ち尽くすものだから始末に悪い。

 それはまるで、言われたことに憮然と、しかし毅然と対抗してるように見える。

 当事者はともかく、見ている周囲はただ事ならぬ気配を勝手に感じ取ってしまう。

 おかげでダンスホールはとんでもなく緊張に満ちていく事になってしまう。



 そんな状況を作り出した原因であるキンパツーノ・イケーメン・ドッカーノクニ王子であるが。

 その張本人は壇上になった場所からゆっくりと降りてレイの前へと歩いて行く。

 ゆったりとしたその歩みは、若年ながらも王者の風格を感じさせる。

 だが、こわばった顔は風格に威厳を与え、威圧感をもたらしている。

 それを見た者達は、そんな顔を向けられるのが自分でなくて良かったと。

 歩みよる先に自分がいなくて本当に良かったと。

 一部を除いて誰もが心底そう思った。



 だいたいにおいて、金髪碧眼の整った顔立ち。

 背丈も高く、文武両道に成績も良い。

 これまた絶世とか当代一とまではいかないまでも、十分国内トップ10には入るくらいに優れた外見をしている。

 性格には強引なところも少々見られるが、それもリーダーシップとして見られる範囲。

 むしろ実行に移す前や緊急時以外は、できるだけ多くの意見を聴取し、それらを役立てようとする思慮深さと度量をしめしている。

 王者ならばこうであってほしいという願望。

 それを若年ながら既に身につけはじめている。



 そう見られているのがこのキンパツーノ王子殿下である。

 野郎からすれば憎たらしくて仕方ないほど様々な才能にあふれたイケメンである。

 しかも才能にあぐらをかくことなく、日々の努力を忘れない努力家・勉強家でもある。

 非の打ち所を探すのが難しい人間だった。



 そんなキンパツーノ王子がわざわざ婚約破棄を宣言する。

 何がどうなってるんだと誰もが思った。

(そんなにレイ様が嫌いだったの?)

(やっぱり、悪役令嬢は駄目だったのか?)

 無言で見つめる周囲の連中がそんな事を考えていく。



 そんな視線を集める中で、キンパツーノ王子がレイ侯爵令嬢の前に進み出る。

 双方、緊張した面持ち。

 周囲にはそれが、冷徹なにらみ合いに見えている。

 しかし実態はそんなものでんはない。



(どどどどどどどどど、どうしましょう!

 殿下が、殿下が目の前に!

 しかも、何か起こってるように見えるのですが?!

 あの、あの、あの、温厚なキンパツーノ殿下が?!?!?!?!)

 レイ侯爵令嬢はこのように内心慌てふためいていた。

 だが、持って生まれた性格と、貴族令嬢として感情をおさめる教育がそれを押しとどめる。

 少なくとも、外見で彼女が慌てふためいてるというのが分かる要素は皆無である。



 一方でキンパツーノ王子の方も外見上での変化は見られない。

 強いていうならば顔をこわばらせているようにも見える。

 しかし、それは口を引き結んでる時に見られる表情であり、普段とさほど違いがないように思われた。

 なのだがしかし、

(ささささささささささ、さあ!

 やるぞ!

 決めるぞ!

 今日こそは、今日こそは、今日こそは!!!!!!!!)

 レイに負けず劣らずテンパッテいた。



 そんな二人が正面から相対してるのだ。

 すさまじい緊張感が生まれてくる。

 周りで見ている者達はつばを飲みこむしかない。

 すぐ近くにいた者達は、雰囲気にのまれて後ずさったり失神しそうになっている。



 周囲を(そんなつもりは全くないのに)巻き込みながら二人は見つめ合う。

 傍から見たらそれはにらみ合ってるようにすら見えた。

 そんな二人のうち、先に口を開いたのはレイの方だった。

「王子殿下」

 声は落ち着いている…………ように聞こえた。

 まるで何事もなかったかのように。

 婚約破棄という重大な宣言すらも、いかほどのものでないと言わんばかりに。

 もちろん内心はとんでもなく動揺している。



 対するキンパツーノ王子も、

「なんだ?」

と(身長差の関係で)睥睨するように見下ろしながら問い返す。

 声も硬いままで、まるで相手を圧倒しようとするかのようだった。

(違う!)

 そんな自分の声に、王子殿下は自ら突っ込みをいれる。

(こんな声を出してどうする!

 もっと、こう、なんとかどうにかならんのか!)

 自分の体なのに、自分の思うように動かない。

 それがもどかしく腹立たしい。

 しかし、ここで止まっていても仕方がないので話を進めていく。



「先ほど、婚約破棄と申されましたが」

 キンパツーノ王子の返事に続いて、レイ侯爵令嬢が言葉を続ける。

「それはいったいいかなる理由によるものなのか。

 ご説明はあるでしょうか?」

 氷のように冷徹に聞こえる、穏やかな、平坦な声だった。

 日常会話をする時のような。

 そんな声が出すために、どれほどの気力と精神力と根性を用いてるのか。

 知ってるのは本人と、彼女のひととなりを知る一部の人間だけである。

 そんな彼女の、当然すぎる質問に、

「知れたこと」

 王子は泰然自若(と勝手に周りが判断した)な態度と声で応じる。

「全てはこのためだ!」

 そう言ってキンパツーノ王子殿下は、



 ────その場に膝をついた。



「…………え?」

 呆然となる会場。

 誰もが目を点にする中で。

 真っ先に声をあげたのは、王子殿下の真ん前に立つ(正解:立ち尽くす)侯爵令嬢であった。

 その間抜けな一声は貴族の娘としてはしたないものではある。

 だが、この場でそれをただすような無粋な人間はいない。

 みんな、同じような気持ちだったのが大きい。

 彼女の間抜けな声は、この場にいる全ての者の代弁だった。

 そんな彼女の前で。



「レイ・ジョーコ・ウーシャック!」

 彼女の名前を王子は呼んだ。

「いや、今はレイと呼ぼう」

 しかも呼び捨てだ。

 よほど親しい間柄の者のなかで、それも公式ではない場所でならばさほど問題はない。

 だが、公式ではないにせよ、多くの者が集まる中では少々はしたない行為とされる。

 礼儀というほどではないが、マネーやエチケットとしてどうかという程度に。

 だが、あえて王子はレイを名前で呼び捨てにする。

「実際の婚約破棄をする気はさらさらない。

 そんなもったいない事とても出来ない!」

 王子の言葉に誰もが「は?」と思った。

 じゃあなんで婚約破棄を叫んだのかが分からない。

 その前に茶番と宣言してるのは確かだが。

「しかし、それはそれとてして、どうしてもやらねばならないのだ」

 何を?

 誰もが思った。

 ごく一部を除き。

「レイ、あらためて申し込みたい。

 王子としてではなく、キンパツーノとして」

「…………いったいなにを?」

 震えるのを隠した冷淡に聞こえてしまう声が問う。



「この私…………この俺、キンパツーノと結婚してほしい!」



 その声がダンスホールに響き渡った。



 誰もが、いったい何を、と思った。

 婚約などとっくにしてるだろうにと。

 それがなぜ今更求婚なの、と。

 誰もが頭に疑問符を浮かべた。

 それに答えるように、キンパツーノは説明台詞を口にしていく。



「婚約は既に為されている。

 しかしそれは、我が王家と侯爵家としてのもの。

 家同士のつながりしかない」

 その通りである。

 支配層、王侯貴族の婚姻とはそういったものである。

 可能な限り本人の意思も尊重されるが、それでも家同士の付き合いから逃れる事は難しい。

 完全に恋愛結婚が出来るのは、末端でほとんど権力のない、下級官吏が役目の貴族くらい。 さもなければ、家の事をあまり考えないで済む二人目三人目の子供などである。

 家の継承者はまず自由がない。

 その中で、最大限当事者の好みや気持ちを考慮するのがせいぜいである。



「だが、それはそれとしてだ。

 俺は当事者として本人の承諾が得たい」

 そう切り出す王子は、膝をついたまま問いかける。

「レイ、どうか俺と結婚してほしい。

 家同士のつながりとは関係なく、この俺の意思としてあなたに求婚する」

「…………」

 言われた方は先ほどまでとは別の意味で呆然とする。

(え、どういう事?)

 言ってる内容が頭に入ってこない。

 入ってきてはいるが、理解力が働いてない。

 それがようやく活動を再開し、意味をくみとるまでにしばらくの時間を必要とした。



「お前との出会いは幼少の頃。

 俺が5歳で、お前が4歳だったか」

 説明のために我らの王子様は説明台詞を続行する。

「そのとき、俺はレイを見て何も言えなかった。

 こんな綺麗な子がいるとは思ってもいなかった」

 十四年の歳月を経て、そのときの事実が情報開示される。

「それから三年。

 なんとか理由をつけてレイと会える機会を作っていたが。

 それが婚約になるとまでは思ってなかった」

「…………」

「その時はこんな偶然があるのかと驚いた。

 天の神々をはじめとした全てに感謝をしたほどだ」

 そこまで大きな出来事だったのかと誰もが驚いた。

 そして、婚約おめでとうと居合わせた貴族子女は思った。

「だが、時が経つにつれそれでいいのかと考えはじめた」

 いったいなにを、と聴衆は首をかしげた。

 そんなに求めていたならそのまま喜んでればいいのだから。

 しかし、王子殿下はそれはそれで心配と不安があったようだ。



「この婚約、家同士の取り決め。

 年を経るごとに俺はその事が分かってきた。

 つまり、そこにレイの気持ちがないことを」

 そりゃそうだ、と誰もが頷く。

 貴族の婚約である。

 まして王家とのものならば、貴族側に拒む権利があるわけがない。

 全くないわけではないが、普通は断ることはない。

 よほどの事情がない限りは。

 また、当事者同士のそりがどうしても合わない限りは。

 それくらい王家との婚約は重いものである。

「だから俺は悩んだ。

 もし、レイが断れずにこの婚約を受け入れていたならどうすればよいのかと」

 たとえ当事者が嫌がっていたとしても、周りの事を考えて言い出せない。

 そういう事もある。

 なので、婚約の継続が必ずしも双方合意の上というわけではない。

 そういった場合もある。



「それでもだ。

 レイをめとれるなら、と俺はこの婚約をそのまま継続させた。

 こんな機会、逃したら永遠に後悔するのは分かってるからな」

 ここでキンパツーノ王子殿下、ため息を一つ。

「レイの気持ちがどうあろうともだ」

 つまり、相手の気持ちを全く無視していたという事である。

 自分の欲望、欲求、わがままのために。



「しかし、ここに来て俺も気がかりだった。

 このまま無理矢理話を進めても良いのかと。

 レイの気持ちを無視したまま進んだら、何か良からぬ事が起こるのではないかと」

 そういう事もあるだろう。

 気持ちを無視して、心を踏みにじれば、その分の揺り戻しがどこかで起こる。

 いつ、どうのような形で起こるかは分からない。

 しかし、報いは必ずやってくるものだ。

「だから、あらためてレイの気持ちも確認したい」

 それが今回の茶番と称した出来事の理由であった。



「それとだ」

 そこに王子様はとどまらない。

 更に先へと突進を続ける。

「この婚約、家同士のものだと既にいった。

 つまり、俺からレイに求めた事は無い」

 当時8歳の男の子がそんな事出来るわけもないだろう。

「だからあらためてはっきりとさせねばならない。

 家が求めたからではなく、俺が望んだからだと」

 それを聞いて誰もが、『おおっ!』と胸の中で声をあげた。



「レイ、もう一度言う。

 俺と結婚してくれ。

 王家として、王子としてジョーコ侯爵家との接点も必要だろう。

 だが、それよりも一人の男として。

 このキンパツーノ、レイを妻にむかえたい」



 キャー!

 という黄色い完成が貴族のご令嬢の方々からあがった。

 彼女らからすれば、恋愛絵巻の物語そのもののような熱烈な求婚である。

 興奮するなと言う方が無理だろう。



 それは男子も同じで、歓声こそあげなかったが王子に内心感動していた。

(すげえ、家も何も関係なく……)

(一人の人間として求婚だと)

(男だ、男すぎる)

(いや、男じゃねえ。

 あれは漢だ)

 そんな事を周りにいる男子生徒は考えていた。



 そんなキンパーツに駆け寄る男子が数人。

 驚き困惑する生徒や教師陣の中にあり、例外的に冷静さを保っていた者達だ。

 いずれも王子の側近ともいうべき者達である。

 宰相、騎士団長、学者、芸術家、優秀な平民出身者。

 いずれも国の将来を担う人材候補として名が高い。

 そんな彼らは、跪く王子の傍らに同じく膝をつく。

「殿下、これを」

 その中の一人、宰相の息子が小さな箱を王子にさしだす。

 そちらに目をやって頷いた王子は、それを手に取り箱をあける。

 その中から小さな髪飾りを取り出し、レイの前に。

「荷物の持ち込みは難しかったから花束は用意出来なかった。

 その代わりといってはなんだが……これを花の代わりとしたい」

 言いながら差し出すのは、丁寧な作りの工芸品だった。

「名高い工房に発注したものだ。

 レイの髪に似合うものをと思ってな」

 それも求婚の際に差し出される花束の代わりにと考えられたものだ。

 花の形があしらわれている。

 それが示すのはシラヒメユリ。

 告白、求婚に用いられる事の多い花の一つだ。

 花言葉は、『純粋』『一途』『揺るぎなき愛』



 差し出されたレイ侯爵令嬢は予想すら出来なかった状況に驚きぱなしである。

 家の都合で決められた政略結婚と思い、それを当然と思って受け入れてきた。

 王子もそんな家の事情で婚約をして、それをそのまま受け入れてきてるものだと思っていた。

 その本心はどうあれ。

 ただ、レイにとってはありえないほどの幸運であった。

 当時、子供ながらに人気を博していたキンパツーノ王子である。

 そんな彼と婚約と聞いて心が躍った。

 それは時間を経てもなお変わる事はなかった。

 政略結婚であろうと、この結びつきを神々と親に感謝したものだった。



 ただ、自分が周りにどのように思われてるのか。

 どのように評価されているのか。

 耳に入ってくる様々な評判。

 それを聞くに、自分が決して人に好かれる質ではないと思っていた。

 そうした話を聞くに、だんだんと一つの考えが芽生えてくる。

(王子殿下は無理をして婚約を続けてるのではないか?)

 もちろん確かめた事は無い。

 しかし、自分が人に好かれるとは思えなくなっていたレイは、それが確実な事実であると考えていった。



 ただ、そうであってもせっかくの婚約である。

 放棄するのはもったいない。

 家同士のつながり、王家との接点という都合を無下にするわけにはいかない。

 そうでなくても王子との婚約である。

 一人の女としても、このつながりを捨てたくなかった。



 それでも婚約という形で王子を縛ってるのではないか?

 王子は本当にこの婚約を受け入れてくれてるのか?

 自分のわがままに王子を巻き込んでるのではないか?

 家や政略を利用して相手を踏みにじってるのではないか?

 そんな考えが常に頭に浮かんでくるようになった。



 それを気にしないほどに図太い性格だったら幸せだったのだろう。

 だが、自分の幸せを優先して他を犠牲に出来るほどレイは厚かましくはなかった。

 それでも相手の気持ちを確かめる事も出来ず、このまま一緒になれる日までは逃げ切ろうと思いもした。

 それがどれだけ浅ましいかを自覚しながら。



 そう思って十年以上。

 まさかの婚約破棄宣言。

 ああ、とうとうこの時がきたか、と思った。

 いずれそんな事にもなるんじゃないかとは思いもした。

 それがこの日この時だとは思わなかったが。

 それも仕方ないとは思いもしたが。

 ただ、せめてもの意地として理由だけは聞こうと思った。

 婚約破棄にいたるその心情だけでも。



 そう思っていたらこれである。



 まさかがまさかで覆される。

 そんな気分だった。

 まさかの婚約破棄。

 それから即座に続く、まさかの告白。

 しかも求婚。

 何がどうなってるのか分からない。



 それをようやく飲み込めた時、レイの目から涙がこぼれていった。



「ど……うしたんだ?!」

 驚きあわてる王子。

 膝をついた姿勢からレイを見上げ、その涙に驚く。

 すぐにでもその涙を脱ぐいたかったが、それも出来ない。

 求婚時に膝をついた場合、相手の返答までその姿勢を保つ。

 それが慣例的に行われている、貴族の求婚のしきたりだった。

 それを知るが故に、王子は膝をつき続けるしかない。

(なんたること!)

 やむなき事であるが、己のふがいなさに腹がたつ。

 レイを泣かせてしまったこと。

 その涙すら拭うことが今は出来ないこと。

 それがとにかくもどかしかった。



 ただ、泣いてるレイを誰もが放っておくわけではない。

 即座に側に側近とも言うべき女子生徒が集っていく。

 いずれも名のある貴族令嬢。

 そして、王子の側近となる予定の男子生徒の婚約者達である。

 全員顔見知りであり、ご学友と言われる者達だ。

「レイ様、さ、これで涙を」

「慌てる必要はありません」

「まずは深呼吸を」

 そういって感極まってるレイを落ち着かせていく。

 いずれもレイとの付き合いもながく、流れる評判とは裏腹の人柄を知る者達だ。

 レイが今どんな気持ちであり、どんな理由で涙を流してるのかも察している。



「殿下」

 その中の一人、公爵家の令嬢が膝をついて声をかける。

「レイ様はただいま感極まっております。

 落ち着くまで今しばらくの時間をいただけないでしょうか」

「無論だ」

 即答である。

「申し訳ないが頼む。

 今、俺はここから動くことが出来ん。

 情けない話だが、代わりの頼む」

「かしこまりました」

 慣例を知る公爵令嬢は頷いて承諾する。

 そして、涙を流し続けるレイを他の港同じようになだめていく。



 そして、レイを最も近くで励まし、なだめ、応援しているもの。

 庶民出身であるが、聖女の候補という事で貴族学院に入学を許された少女だ。

 この少女、当初は身分違いという事で周りの女子と距離を置かれていた。

 それも仕方ないと割り切り、意地悪がないだけマシと思って学校生活を過ごしていた。

 しかし、それを見かねたレイに声をかけられ、以来何くれとなく世話を焼かれていた。

 そんなレイの助けになればと必死になって声をかけている。

 その声に応え、レイも涙を流しながら頷いている。

 そこには身分の差を超えた絆が確かにあった。



 それから数分。

 どうにか気持ちを落ち着けたレイは、あらためて王子の前に進む。

「醜態をさらしました」

 声が震えてるが、相手にはしっかりと伝わる。

「いや、こちらこそ済まない。

 君の気持ちを全く考えず追い込んでしまった」

「いいえ!

 そんな事は────」

 言ってる途中で声を閉じる。

 思った以上に大きな声が出てしまった。

 それを恥じ入る。

 が、それを気にする者は誰もいない。

 それよりも、王子への返答が待ち望まれていた。



「失礼しました」

「いや、気にする事は無い」

「ありがとうございます。

 それで、返答ですが」

「ああ」

 王子、神妙になって頭をたれる。

 それにつられて周りの者達も事の成り行きを食い入るように見守る。

 誰もがレイがどのような返事をするのかを待った。

 レイも早く想いに応えようと言葉を口にしようとする。

 しかし、それが難題だった。



 どのように応えればいいのか?

 こういう時にはどのような返答が適切なのか?

 貴族令嬢としてのたしなみから、様々な返答方法を考えてしまう。

 この場にふさわしい物語の一節を口にするべきか?

 あるいは詩の一節の方が良いか?

 こういった事はより美しく飾るために、品の良い表現に気持ちを仮託するものだ。

 それがもってまわった貴族の話し方と言われるものになる。

 なのだが、今はそんな事を考えてる余裕がない。

 何よりも返事を待たせるわけにもいかない。

 だいたいにしてから、王子がそういった手法をとってない。

 率直に求婚をしてきている。

 ならば、



「はい、お受けいたします」



 ひねりも何もない、率直な言葉の方が良いだろう

 そう考えてレイは、素直な言葉をそのまま口にした。

 その次の瞬間、ダンスホールに響き渡るほどの歓声があがる。

 周囲の者達が男子女子教師の違いなく声をあげている。

 誰がはじめたのか、万歳の斉唱すらはじまった。

 そんな中で、もっとも大きく喜びをあらわにしてるのは、他でもない王子殿下であった。



「まったく……」

 その様子を見ていた王弟殿下は呆れるや困ったやらという顔をしている。

 この王弟殿下、貴族学院の卒業記念の監督の役目も兼ねた来賓としてやってきていた。

 なのだが、到着早々の婚約破棄宣言に面くらい、今の今まで中に入る事が出来ずにいた。

「あいつは本当に……」

 そういって甥にあたる王子殿下を見つめる。

 楽しそうに嬉しそうに。



 本来、婚約破棄の一方的な宣言は重大な問題になりうる。

 家同士のつながりを重視する貴族においては当然である。

 それが王族のものならば国政に影響を与えかねない。

 王弟殿下もそれを一番に考えた。

 それくらい王子の婚約破棄宣言は常軌を逸した愚行なのである。



 なのだが、最初に『茶番』といったのが気になった。

 茶番で婚約破棄とはどういう事なのだと。

 それで様子を見る事にもしたのだが。

(まさかあんな事をするとはな)

 婚約破棄を宣言し、その直後にあらためての求婚。

 その流れを考えれば、最初から婚約破棄をするつもりは無かったという事なのだろう。

 そして、家同士のつながりなどとは関係なく、レイをめとりたいという意思表示をしたかったのだろう。



(あとでそのあたりの本音を確かめないといかんな)

 たとえ婚約破棄が見せかけだけであったとしても、放置するわけにはいかない。

 本音をしっかりと確かめねばならない。

 でなければ後の禍根になりかねない。

 王族として国政とは無縁でいられない以上、礼儀やしきたりに関わる部分はおろそかに出来ない。

 これは王弟という立場上絶対に放置できない事だった。



 もちろんそれが全てではない。

 むしろそれは建前である。

 確かに王侯貴族というのは建前やしきたり、そして慣例などにうるさい。

 それをよりどころとしてるのだから仕方が無い。

 だが、だからといってそうしゃちほこばってるだけという訳でもない。



 理由や事情や状況次第で柔軟性も出していく。

 でなければ国の運営など出来やしない。

 今回の出来事、婚約破棄を茶番と断ってるので、そう大きな問題にはならない。

 なので、そちら方面の追求はさほど重視してない。



(それよりも……)

 王弟殿下としては、もっと気になる事がある。

(あいつ、いつからそうだったんだか)

 甥っ子が侯爵令嬢によせる気持ちである。

 いつから本人の意思としてレイ・ジョーコ・ウーシャック侯爵令嬢にホの字だったのか。

 家同士の付き合いやしがらみだけではなく。

 親戚として、男として非常に気になる。

(根掘り葉掘り聞き出さないとな)

 それこそ事情聴取を名目に。

 完全な公私混同である。



 だが、それくらいなら許されるくらいに融通はきく。

 建前・しきたり・慣例というのは、それくらい柔軟なものであった。

 ただし、これについてはキンパツーノ・イケーメン・ドッカーノクニ王子殿下にとって受難となるだろう。

 それもこれだけの騒ぎを起こした責任がある以上免れることはない。



(それと、兄上にも報告せねばならんか)

 まさか報せないわけにはいかない。

 あとあとの問題を避けるためにも、今夜の事を国王であり、キンパツーノの父である王弟の兄に伝える必要がある。

「誰かある」

 周囲に声をかける。

 即座にやってきた者に、要件を伝えて走らせる。



(さて……)

 国王が事の次第を聞いてどうするか。

 それは分からない。

 ただ、キンパツーノを呼び寄せ事情を聞くのは確実だ。

(俺もしっかりと参加しないと)

 来賓兼監督としては絶対にそこに加わらねばならない。

 その時の事を想像し、王弟殿下は意地悪い笑みを浮かべた。

 心底楽しそうに。



 そんなこんなの卒業記念ダンスパーティであったが。

 もうダンスなんぞしてる場合じゃない、と言わんばかりになった。

 完全に主役となった王子キンパツーノは、側近だけではなく他の生徒からも祝福と賞賛を受ける事になった。

 次々に前に出てくる貴族男子達の挨拶に、王子は満面の笑みで応じていく。



 もう一人の主役となった婚約者である侯爵令嬢レイも同じだ。

 次々と面前に出てくる女子生徒からの祝福を次々に受けていく。

 その際にはいつものような硬い表情は見せず、温和な笑みを浮かべていた。

 それを見て多くの女子生徒は、噂されている悪役令嬢というあだ名とはかけ離れた応対を受けていく事になる。



 併せて、今まで自分達の抱いてきた印象をあらためていった。

 それをすぐさま女子のおしゃべりネットワーク(別名:井戸端会議)にアップロードしていく。

 この日を境にレイ・ジョーコ・ウーシャック嬢の評価が一転する事になる。

 なのだが、それが定着するまではまだ少しばかり時間が必要になる。

 一度流れた噂というのはなかなか変わるものではない。

 同時に流れた、この日の出来事の顛末とは裏腹に。



 なお、婚約破棄宣言からの求婚は、低俗ネタ・ゴシップ好きの貴族界隈で末永く語られてい事になる。

 様々な戯曲や演劇、恋物語の題材になるほどに。

 更に時代が進むと、映画、漫画、アニメにもネタの一つとして使われる。

 死後も自分たちのやった事が残ってる事を、当の本人達はどう思ってるのか。

 それは永遠の謎である。



 なお、なぜ卒業記念のダンスパーティでこのような事をしたのかというと。

「これから一年、レイに会えなくなる。

 そうなる前に、気持ちを確かめておきたかった」

というのが理由だった。

 それを呼び出して事情聴取する父王と、監督責任者として同席していた王弟の二人に語った。

 理由としてはあんまりにもあんまりなものに、聞いた二人は開いた口が塞がらなかった。

 また、

「どうせなら証言者を大量に作ろうと思って。

 あの場なら確実に誰かがいるので」

 そんな発言を聞いた国家元首とその弟は頭を抱えるしかなかった。



「まったく……」

「おまえと言う奴は……」

 なかなかに優秀な王子として、将来に期待をかけていたキンパツーノであるが。

「これは教育を間違えたかな」

「少しばかり鍛え直す必要がありますな」

 王国の国政の頂点に立つ二人は、そう言って今後の教育方針の大幅な転換を考えていく事になる。



「気持ちは分かるがな」

「しかし、もうちょっとやり方を考えろ。

 あと分別をもて」

 もっともな事なので、キンパツーノは何も言い返せない。



「だが、その心意気やよし」

「鍛え甲斐がある」

 そう言って大人二人は不敵に笑う。

「そこまでやる度胸があるなら、まあ、たいていの事はなんとかなるだろう」

「こちらも手加減しないで済むのでありがたいですな」

 二人のその言葉に、キンパツーノは今更ながらに『やりすぎたか?』と思い始める。

 もう全てが遅かったが。



 その後。

 学院卒業後、キンパツーノは王としての実地教育を施されるになる。

 最高責任者に就任した王弟殿下は、それはそれは熾烈な猛特訓を次代の王候補に施していく。

 それは傍らでみていた侍従達すらも震え上がらせるものであったとか。

 そんな教育にキンパツーノがねをあげそうになる事も一度や二度では無い。

 だがそのたびに、

「その程度でレイを嫁に迎えられると思ってるのか?」

 この一言でやる気をたたき出していく事になる。

 おかげで王子への教育は過去に例がないほどに急速に進んでいく事となった。



 一方のレイものほほんと日々を過ごしていたわけではない。

 あらためて王子への輿入れが確定した事で、必要な教育が施されていく。

 もとよりそういった教育をしに学院に通ってはいる。

 だが、ダンスパーティでの一件が、それを更に加速させていった。

「がんばります」

 レイはめげる事無くそれに向かっていく。

「殿下もがんばってるのですから」

 揺るぎない心が困難を乗り越えさせていく。



 そんな調子で二人は、次期国王・王妃として必要な修養を身につけていった。

 ただ、その修了を待っていたらいくら時間があっても足りない。

 なので、きりの良いところで結婚とあいなった。

 学院卒業から二年。

 キンパツーノ・イケーメン・ドッカーノクニ王子。

 レイ・ジョーコ・ウーシャック侯爵令嬢。

 吉日にご成婚。

 これをもってキンパツーノ王子は王太子に。

 レイ侯爵令嬢は王太子妃に。

 以後、夫婦としての生活が始まる。



 その結婚の日に、花嫁の髪には求婚の際に用いられた髪飾りが添えられていた。

 殺伐とした話を書いていたせいか、こんな話も書いてみたくなった。

 真新しさなどこれっぽっちもない、何番煎じなんだよと言われるようなものだが。

 小説家になろうのサーバーに無駄な負担をかけてるような気がしてならない。


 それ以前に、これって恋愛なんだろうか?

 そこが悩ましい。



 なお、感想はメッセージで。

 返事はしないけど、それでもいいなら。



 こんな話でも、多少は楽しんでもらえたらありがたい。

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