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2話 能力鑑定


皆は何か急に知らないところに飛ばされたからかざわざわしているが、僕にはなぜか確信があった。ここは異世界だと。魂の根底が、俺の根本が、なぜか喜びの念を表させる。


不思議な感じだ。今まで忘れていたような、それが一気に吹き出てきそうだが、出てきそうで出てこない。まるでそれが禁じられているように。


しかし、これってやっぱりそういうことだよな? 異世界転移のテンプレのひとつであるクラス転移ってやつだよな!


ということは勇者の能力でチーレム生活が待っているって言うっことでーー


ーーだめだ。これ以上はイロイロとよくない描写が入ってしまう!


「こんにちは、俺は山崎健です。すみませんが今の状況があまり飲み込めていないので説明を求みます。」


僕がそんな事を考えているうちに健は僕らの代表になってくれたようだ。まぁ誰も異論はないだろうが。


「むぅ、なるほど。では説明しよう、ここはカテドラル皇国、我はカテドラル皇のカテドール=カテドラルだ。そして私たちが何のために君たちを召喚したかと言うと、魔王を討伐してもらうためだ。」



その場の空気が凍る。なぜか、それは一見冗談のようなことを言っている王様がとても真剣な表情だったからだ。



「魔王は我々の国のみならずこの世界の様々な国々に被害をもたらす災厄だ。勇者殿達よ、どうか我々に力を貸してくれないだろうか」



クラスメイト達は今の状況がなんとか飲み込めてきたようだ。流石に今のは演技ではないだろう、と信じることができような、そんな様子だった。


「しかし、俺たちみたいな戦いの技術がなく経験もない、おまけに知識もない連中に倒せるほど魔王が弱いなら、そこにいらっしゃる騎士さんや魔術師さん達で倒せるのではないですか?」


「うむ、何も知らないそなたらからしたら気になって仕方ないだろう。教えよう、我らが勇者召喚魔法を行使して召喚したそなたらにはそれぞれ女神様に加護職業という特別な職業をいただいているはずだ。それは()()例外なくこの世界で最強の職業たちと言える。そしてこの世界では生まれ持った才能、つまり職業でほとんどのことが決まる世界だ。なのでその才能(職業)を持つ、そなたらにしかできないのだ。だから魔王討伐に是非!協力してくれないだろうか!」


超が付くほどのテンプレ展開だな。


「なるほど、わかりました、では是非魔王討伐に協力させてください。皆もそれでいいか?」



「当然、いいわよ。私たち成績上位者で、魔王とかいう頭が悪そうなやつを倒しましょう!」


と、絵里さん。


「オッケーだよっ、健くん!ついでに夜の戦いで私も倒しt……」


「言わせないぞ!このビ○チが!」


ど、それぞれ恵さんと小太郎くん。


「オッケーだよー」


と、正くん


「他の皆はどうかな?」


「「「「「「大丈夫!!」」」」」」


あれ? なんかトントン拍子で話が進んでいっているけど皆はとても大事なことに気がついていないようだ。


「ちょっと待ってください、質問があります!」


皆が怪訝な顔をする。


「何だ?いってみるが良い。」


「元の世界に帰るにはどうしたら良いんですか? また僕達が魔王を倒した時の報酬は何ですか?」


「そうだな。そこを忘れていたぞ。そなたらがもとの世界に帰るためには、魔王を倒して、その魔石を使い、消失魔術(ロストマジック)である次元魔法を行使しなければならない。そして報酬だが前払い分で皇城への無料宿泊権、一部近衛騎士の貸出、成功報酬は帰還魔術の構築援助だ」


ふむふむ、前払いは僕らへの監視用、後払いは僕らに権力を持たせないように、か。随分とお優しい国に召喚されたもんだ。


「もし断ったらどうなるんですか?」


「勝手に呼び出して悪いと思っている。だがそれとこれとは別の話。なので多少の支度金を持って城を出ていただく。」


って言うことは、最初から選択肢なんて無かったのか。全く知らない世界でなんの知識も技術もなしに生きていけるはずがない。これは事実上の脅迫


「わかりました。僕も魔王討伐に協力するのに賛成です。」


「ということですので、俺たちのクラスの皆で魔王討伐に協力させていただきます! 早速ですが、何か僕たちに出来ることはありますか?」


「うむ、では本当に早速だが、貴殿らの加護職業を鑑定しようではないか。シャーロット、こちらへ!」


王様がそう言うと、王様の後ろから僕と同年代くらいの女の子が出てきた。


「こんにちは、加護職業鑑定士のシャーロットと申します、我が国の第3皇女でございます、本日は皆様の加護職業を鑑定させていただきたく参上いたしましたわ。」


可愛くて、とても礼儀正しい。正にお姫様って感じだな。


「では鑑定を始めさせていただきたく思いますわ。どなたから鑑定を始めましょうか?」


と、シャーロットさんが聞くと皆が一斉に健の方を見た。かく言う僕もその一人だが。



「では、ヤマザキケン様、よろしいでしょうか?」


「え~? 何で僕なんだよ、皆」


と、言いつつ健は少し嬉しそうにイケメンスマイルを浮かべながらシャーロットさんの方に歩いていく。


「ではケン様、手を握らせていただきますわ。」


するとシャーロットさんは健の手を握りしめる。男子から健に羨望の眼差しが、女子からシャーロットに嫉妬の眼差しがそれぞれ向けられる。


それを気にすることなく目を閉じ、なにやら呪文を唱え始めるシャーロットさん。



「神よ、願わくばこの者に与えた加護を我に教えたまえ、加護鑑定(アナライズ)ッッッ!!!」



すると健の体が光りだし、やがて止まった。するとシャーロットさんが目を開けて、こう言った。


「ヤマザキケン様の加護職業は、聖勇者ですわ。」


「それってすごいのか?」


と、健。


「聖勇者は加護職業の中でも、更に最強とされている職業でございますわ。」


「「「「「おぉぉぉぉぉ!!!」」」」」


正直予想はしていたが健は何か凄いらしい。


「では次の方どうぞ。他の方は並んでお待ちください。」


と、シャーロットさんが言った瞬間ものすごい勢いで大半の男子たちがシャーロットさんのところへ我先にと押し掛ける。それを女子たちは冷めた目で見ている。


バカだなぁ。そんなことしても女子からの好感度下がるだけなのに。と、思いながら最後の方に並ぶ。


順番が近づいてくると何かドキドキしてさっきの健とシャーロットさんの映像が頭の中に浮かぶ。


なので必死に自分の加護職業の自慢をしている男子の下らない話に耳を傾ける。想像しちゃだめだ、だめだ、だめだ!


そして順番が回ってきたので俺も人のこと言えねぇな。と、思いながらシャーロットさんの所へ行く。


「カゲカワシュン様ですね?では、手を握らせていただきますわ。」


や、柔らか……じゃねぇよ!あぁもぅ!何を考えてるんだ俺は!


「神よ!願わくばこの者に与えた加護を我に教えたまえ!加護鑑定(アナライズ)


心のなかで葛藤している俺を尻目に鑑定が終わったようだ。さぁ、俺の加護職業は何なんだ!


するとシャーロットさんは僕に申し訳なさそうにこう言った。



「すいません、カゲカワ様の加護職業は()()、ですわ。」




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